あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

HOME | 201204-201303 | 第659話

第659話 感想 小説『傾物語』

第659話 感想 小説『傾物語』
 
 いきなりネタばれで始めますが。西尾維新さんの小説『傾物語』(かぶきものがたり)。道に迷った幽霊である八九寺真宵(はちくじ まよい)。幽霊になったいきさつは母の日に遭った交通事故。その交通事故にさえ遭わせなければ八九寺は迷わなかったのではないのか。それならば――という物語。先行して『化物語』のアニメなりその原作なりに目を通しておかないと意味不明のはずです。
 この作品。読み始めてすぐに後悔しきり。バカじゃねーかと。こんな使い古されたタイムリープネタをそのまま使うかよと。いやもう本当にそのまま使っているんですよ。しかも案の定のベタベタな展開で。
 あー。これもう時間とお金の無駄だったと思いつつせっかくだからと最後まで読み続ける私。そして九割九分まで駄作の烙印を押す寸前の最後の十数ページ。そこで狙い澄ましたヘッドショットを喰らいました。泣きましたもんね。私の中の中学生が。ベタでいい。これでいい。これを読みたかったと。
 中学生が泣いている横でオッサンの感想を。
 えーと。この作品はパラレルワールド物ですね。本当にベタな作品でありましてひねりも何もありゃしません。ただもうすがすがしいほど直球でベッタベタな展開です。本当に途中で呆れ果てましたもんね。でも最後まで読んで良かったと。途中で投げ出さなくて良かったと。そう感じさせられます。いや。展開は本当によくあるものなんですよ。でも良かったなぁと。
 ベッタベタ。すなわち王道ですが。王道のストーリーはなぜ王道と呼ばれて受けるのかを思い知らされます。
 今回は八九寺をネタにしていますが描かれているのは阿良々木と忍との強固な絆です。この二人の関係はとうとうここまで来たのかよと。妖刀を両手に一本ずつ下げて二人で戦うべき相手を待ち構える阿良々木と忍の格好良さ。そして二人の前に現れた相手の姿は。そしてその相手と邂逅した後の展開は。実にアニメ化を意識した物語が書かれているんだなぁと。まあベタなこと極まりないですが。
 

2013/01/06

ついでに一言
 
 本当に9割9分は駄作ですよ。価値があるのは最後の20ページにも満たない部分です。
 


おまけにもう一言
 
 凝ったプロットも伏線も考える必要はありません。ただ読み進めるだけでよろしい作品です。