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—鬱陶しい亭主の場合—

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第657話 感想 アニメ『偽物語』

第657話 感想 アニメ『偽物語』
 
 綺麗に終わったはずのアニメ『化物語』の続編であるアニメ『偽物語』(にせものがたり)です。綺麗に終わったはずのものに続編。地雷を踏むかもしれませんが見なければ地雷かどうかわかりません。他人様の意見は当てになりませんのでこの目で見ることにしました。
 それではまずは私の中に住む中学生の感想から。ネタばれあり。原作未読。
 私の中の中学生は「つきひフェニックス」のオープニング曲「白金(ぷらちな)ディスコ」が良い曲だと言っています。合いの手の「ハー ヨイショ」のあざといほどのかわいらしさに魂を抜かれて足腰が立たないそうです。
 ただし作品の内容は全体として感心しなかったそうです。正義を目指して活躍する中学生姉妹。人呼んでファイアーシスターズ。ありえねぇ。そしてそのファイアーシスターズとその兄との異常なまでの睦まじさ。ありえねぇ。風呂場で全裸で痴話にいそしむ吸血鬼の搾りカスとその主様。ありえねぇ。渾身の力で蹴り跳ばした兄が無傷で立ち上がるのを見て驚きもしない空手有段者の妹。ありえねぇ。白昼の住宅街で堂々と家屋を破壊する陰陽師コンビ。ありえねぇ。もう何もかもありえねぇ――そう言っています。
 まあ『偽物語』ですもんね。何もかも偽物なんでしょ。この作品においては。この作品そのものが。それが証拠に偽者代表として現れた詐欺師・貝木(かいき)があっさり退場してしまいますもんね。この作品で一番活躍しなければならないはずの人物である貝木にとってこの作品は彼の「本物の」活躍の場ではないことが明白です――だそうです。
 次にオッサンの感想。
 本作で最大の難点。詐欺師の貝木とメインヒロインである戦場ヶ原とが過去にお互いに惹かれあっていたらしい描写に「え?」と。劇中で語られているもので判断する限り家族崩壊のきっかけになったらしい男と恋心を抱く仲になるなら戦場ヶ原はあまりにも病みすぎ。そりゃ確かに病んでいたのでしょうけれど無理な筋だなと。
 それを無理ではないとするならば。そのありうる男女の形として思い当たるものが一つあります。あたかもアルコール依存でDVの夫とその夫に虐待されても耐え続けて周囲の助け舟を拒否するろくでなし妻のような共依存のベッタリした男女の形です。ツタとツタとが絡まりあってどう頑張っても解けなくなっているような。それで二人で地獄の底まで堕ちていきましょう的なドロドロした物語ができあがるはずです。18禁のね。そういうことですので。これはかなり強引で後付け臭がきつい設定だと感じました。
 それから主人公である阿良々木と吸血鬼の搾りカスである忍(しのぶ)との関係が困ったことになっています。阿良々木の入浴中に風呂場に全裸で現れて髪を洗って欲しいと阿良々木に迫る忍。これはまぎれもなく求愛行動です。
 今回は髪ですが。いずれは背中を流して欲しいと。そして全身をくまなく洗って欲しいと迫ることでしょう。そこまで行くのは必然のはず。さすがに劇中で描写できないでしょうけど視聴者に見えないところではとんでもないことが進行中に違いありません。
 阿良々木と忍とは最初からただごとではない関係にあります。ですからこの求愛は起きて当然のイベントではありますが。でも忍が阿良々木と添い遂げるつもりならただの人間であるヒロインたちには万に一つも勝機はないはず。今後どうするのでしょうか。そして後付満載になるに違いない今後の設定はどう収束するのでしょうか……と心配になって『物語』シリーズ全体のオトシマエのつけ方に興味津々。ああ。この商売の上手さは見習わなくては。
 

2013/01/03

ついでに一言
 
 シリーズものを長く続けると因果が積もって陽気だったものが陰々滅々になりがちです。
 


おまけにもう一言
 
 それをどう乗り越えるのか。制作陣の手腕に期待です。