あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第614話 雀百まで踊り忘れず

第614話 雀百まで踊り忘れず
 
 過去はどうにもできません。タイムマシンは高くて庶民には買えません。そのどうにもできない過去がこの今になって大きな果実となってたわわに実っているのです。そして良かれ悪しかれ実った果実を収穫せざるを得ないのです。
 はてさて。大人になるということ。当然ながら過去を背負っての年月の経過ですが。それはどのようなことなのでしょうか。ここは一つ。子どものころからの願いが現実になることであるとしましょうか。
 たとえばですが。己の感情を超えたいと渇望した子どもがいたとしましょうか。ずいぶんな子どもですが。でもそんな子どもがいたとしましょう。そんな子どもが年月を経てどうなるか。
 世間で言われているとおり三つ子の魂百までです。子どものときに強く刷り込まれたあれこれはその後の人生の基調となってしまいます。それはいかに都合が悪くても消すことはできません。そして何事につけてもその刷り込まれたものがバイアスとなって働くのです。何十年もの長きにわたって。
 そんな仕組みですから子どものころに強く願ったこと(=強く方向づけられたこと)はすこぶる現実のものになりやすいであろうと思われます。
 ということは……ああーっ! オイラは間違っていたぜ! 大金持ちになって美女とたわむれる身分になりたいと願えば良かったのに! 何が悲しくてこんな辺鄙な処に来ちゃったんだよ! バカバカバカ! オイラのバカ!
 てなわけでありまして。今になって何が悲しくてと言われましてもねぇ。あのときは悲しかったんだもん。
 今となっては過去をどうすることもできません。三つ子の魂百までです。雀百まで踊り忘れずです。この身に深く刷り込まれた踊りを死ぬまで踊り続けるばかりなのであります。
 

2012/06/28

ついでに一言
 
 浄土へは往き易いけれど往く人がいないのだとか。
 


おまけにもう一言
 
 往きたいなんて願わないんじゃないですかね。普通は。