あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第588話 この身の形に固まって

第588話 この身の形に固まって
 
 この世はムカつくことばかりだぜ! コンチクショーめ!
 なんてふうに日々感じながら生きているわけです。思うがままに怒りを爆発させて暴れれば命がいくつあっても足りません。しかたがないので怒りを押し殺して常識人ぶって見せるのです。ですがそれは当然ながら強いストレスになります。
 いわゆるガス抜きが私は不得手でして。ガスがたまるばかりです。たまりにたまって爆発もできずたまったガスで自家中毒ときたもんだと。こりゃたまらんですわ。ハッハッハ。
 この社会には私も含めて多くの人がワッサワッサと生きています。社会があるから電気もガスも水道も使えるのでありまして社会で生きる利便は計り知れません。でもその利便を享受する影でお互いに辛酸をなめているのもまた事実です。
 ガス抜き上手でストレスをためずに生きられるならそれはとてもよろしいことかもしれません。しかしそんなお気楽な生活ができるならとっくにしているはずでして。何十年も頑張ってきてそれでもなお悩んでいるのならそれはもう筋金入りの悩みであると言わざるを得ません。ちっとやそっとの対応で解消できるような甘い悩みではないのです。
 それはすっかりこの身の肉に染み込み骨に絡んでこの身の形に固まってしまった悩みなのです。その悩みがまさに自分そのものであるとさえ言えましょう。
 悩みはその原因を解き明かして解きほぐすのが正攻法に違いありません。しかし解きほぐす糸口さえ見えない凝り固まった悩みに対してはその正攻法はすでに正攻法たりえません。無駄です。
 そうであるならば。悩みを解消しようなんて思いをまずは投げ出して固まった悩みを丸ごとそこに置いたまま離れるのです。それが得策です。
 

2012/02/02

ついでに一言
 
 お気楽に生きられるのなら仏教は必要ありませんし身につくこともありません。
 


おまけにもう一言
 
 未明の布団の中で毎朝悶々としているような人にのみ仏教は身につきます。そういうものです。