あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第526話 地続きの非日常

第526話 地続きの非日常
 
 この4月から働き始めた我が家の愚息。毎月のお給料から一定額を家計にいれなさいと言っておきましたところ先日持ってきましたよ。金一封。仰々しくも現金を祝い袋に入れまして。「御礼」なんて大書して。ハッハッハ。さすがに本人もお給料をもらえるようになって嬉しかったようですな。
 愚息のことはともかくとして私自身のことを思い返してみると。学校を卒業したら就職したら結婚したら子育てしたら子どもが成人したらいつの間にやら私は老いているみたいですよと。そんなことを身にしみて感じています。こうなったら早く孫の顔がみたいものです。
 なんてね。孫ですか。やれやれ。この私も他人様並にやはりジイ様になるんですな。ゾッとしますよ。何と言えばよろしいでしょうか。人生いろいろなんて言いますが。マクロに見れば人生なんてみんな同じなんでしょうね。
 さて。
 そんなありきたりの日常がここにありますが。その200キロ先には4機もの原子炉がガラクタと化してメルトダウンしているのです。そんな人類史上初のとんでもない非日常が日常のすぐ隣にあるのです。総額ウン千億円の原子炉が肉眼には見えない放射性物質の花を盛大に咲かせているのです。もしも放射線が目に見えるならさぞや壮絶な光景が見られることでしょう。末代までの語りぐさに違いありません。
 とりあえず200キロの距離がありますので逃げ出さずに日常を続けていられるのですが。いつまでこの日常が続くものやら。そして私は孫の顔を見ることができるのでしょうか。日常と地続きの非日常。日常のすぐ隣にある非日常。そんなものなのだということが誰にも明らかに知れてしまうというこの恐ろしい時代を我らは生きているんだなぁと。
 

2011/05/19

ついでに一言
 
 眼に見えるものばかりがこの世なのではありません。
 


おまけにもう一言
 
 それを地獄と呼ぶにせよ極楽と呼ぶにせよ。冥土は日常とブチ切れた死後の世界なんてところにありはしません。