あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第517話 機能不全

第517話 機能不全
 
 震災から二週間近くもたったのにまだ支援物資が行き届かない避難所があるようです。これはいったいどうしたことでしょうか。
 低迷しているとはいえ我が国は世界有数の経済大国であるはずです。西日本は無事なのですから物資をバンバン空輸できそうなものです。道がないならブルドーザーを押し立てて道をつければよろしいように思えます。船だってヘリコプターだって国家がその気になれば使い放題に使えるでしょうに。それができないということはこの危急の時期に国内資源の配分が根本的に誤っていることを意味しているのです。
 権力が持つ機能にはいろいろなものがあります。そのとても重要な一つとして資源の配分があります。上記の無様な事態は資源の配分を担うべき権力に大変な異常が生じていることに他ならないと思われます。一口に言えば今の我が国の政権は重大な機能不全を起こしているのです。
 それが証拠に官房長官が何を血迷ったか原子力発電所のスポークスマンに成り下がっています。広報担当は他にいるはずです。閣僚はそれぞれが担当分野の司令塔です。マスコミ相手にペラペラしゃべるのが仕事ではありません。ドンと座ってテコでも動かず指揮命令の重責を担わねばなりません。
 これで思い出されるのは黒澤明監督の映画『影武者』の一シーンです。武田信玄の影武者にされた男。戦の最中にアっと驚くことがあり陣中の椅子から思わず知らず立ち上がる。そこにすかさずお付きの者が一喝。「動くな! 山は動かん!」と。
 地震と津波は天災です。しかしその後のことは人災です。何が何でも今回の災害を千年に一度の大災害にしたい向きもあるようです。ですがこの今に進行している事態は人災です。こういうときの責任者は容易でないことくらいわかります。わかりますから腰を据えてガッチリとやっていただきたい。そのように願う亭主なのであります。
 

2011/03/23

ついでに一言
 
 突撃! と命令されて突撃したけれど誰も骨を拾ってくれなかったと。それが太平洋戦争でした。今でも南方の島々に苔むした遺骨が残されています。
 


おまけにもう一言
 
 今回も似たようなことが進行中のようです。この権力の無責任さが我が国の宿痾なのかもしれません。