あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第508話 聞く耳なんてない

第508話 聞く耳なんてない
 
 仏教聞き難し。そんな言葉があるほどです。仏教を聞くのは困難です。耳に言葉は入ってきますけどね。でも受け取ろうとしないですよね。豚の耳に小判とか言いましたっけ? さすがに小判を耳に入れようたって無理ですわな。
 たとえば。もがかずあがかず激流を渡りましたと。そのようにお釈迦様がおっしゃいましたと。だからあなたもジタバタせずにひたすら悩んでみましょうよと。そのようなことを言われたらどうでしょう。
 ふざけんじゃねーぞと。オレ様は悩みたくなんてないんだぞと。この悩みをやっつけてやるんだぞと。そんなふうに反発するのが普通でしょうね。
 それが悪いと言いたいのではありません。人には仏教を聞く耳なんてないのです。人には黙って悩み続けるなんて疎ましいことをする気はないのです。もしも悩みがあればキッチリと解消するのが男の甲斐性なのだと。それが自然な人情でしょうね。そうやって生きてきたのですから。
 で。そうやって生きてきたその生き方そのもの。過去から漫然と積み上がってきた己の在り方。過去ずっとそれでやってきてそれなりに役立ってきた自己の枠組み。
 でもその自己の枠組みには未来はない! それが痛切に知れてしまった――そうなってようやく仏教を聞こうという気にもなろうというものです。
 ……なんてふうに書いてはみましたが。それもこれも何もかも無窮の過去からのご縁によるものなんですよ……やれやれ。
 

2011/02/09

ついでに一言
 
 それを言っちゃあ何かもおしまいなのですが。
 


おまけにもう一言
 
 それを抵抗なく聞けるかどうかですね。