あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第454話 目的地

第454話 目的地
 
 たとえば歩いている道が目の前で左右に分かれているとしましょうか。右か。左か。どちらが目的地へ至る道でしょうか。手がかりはありません。誤った道を行けば目的地へ着かないおそれがあります。正しい道を選択しなければなりません。さて。選ぶべきは右でしょうか。それとも左でしょうか。
 正しい道を選びたい心は迷いに迷って右も左も選べません。選べないので右へも左へも行けません。どちらへも行けないので目的地へも当然ながら行けません。心をジリジリと焦げつかせながらただ立ち尽くすのみです。
 さあ。どちらへ行きますか。さあさあさあ! 正しい道を選びなさい!
 なんてね。
 カンの鋭い人ならもうおわかりでしょうね。そんな有り様がシレっと見えるようになるのが目的地なのですよ。右も左も選べずに焦げついている心模様を放り出して離れて対岸の火事のように眺めていられるようになれば到着なのです。
 それがわからないで右だの左だの正だの誤だのとピーピーキャーキャー大騒ぎしているのが我らです。右でも左でもないのです。到着すべき目的地は目の前の道の先にあるのではないのです。
 苦悩への対処−−それはあれかこれかの選択ではありません。あれからもこれからも離れていることです。
 

2010/06/29

ついでに一言
 
 
 もちろん私もピーピーキャーキャーと大騒ぎしています。
 


おまけにもう一言 
 
 その大騒ぎを消そうとするうちは離れるという解があることに気づきません。そんなものです。