あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第442話 コントロールなんてできない

第442話 コントロールなんてできない
 
 私は毎朝ヒゲを剃ります。ヒゲ剃りは面倒なことですが放っておくと伸びちゃうんですよね。ヒゲが。勝手に。生えてほしいと望んでいるわけでもないのに。
 子どもにはヒゲなんぞ生えません。時期が来なければ生えてきません。でも時期が来ればヒゲ剃りがいかに面倒でも生えてくるのです。
 一時が万事なのです。自分にコントロールできることなど何もないのです。
 仏教で言う一切皆苦。そこで言う苦とは「苦しい」という感覚を直接に指すものではありません。本来の意味は「思いどおりにならない」なのです。何もかも思いどおりにならない・思いどおりになることなど何一つとしてない。一切皆苦とはそういう意味です。
 人は自分の行為を自分が選択して為しているのだと深く思い込んで疑うことさえありません。そしてその選択と行為の結果が思わしくなければ「ああしておけば良かった」「こうしなかったのが悪かった」と後悔だの反省だのをして次はうまく選択して行為してやると決め込みます。どこまで行っても自分にはできることがあるのだと思い込んでいるのです。
 それはまったく根拠のない妄想でありまして一種の信仰でさえあると言えます。我らにコントロールできることなどこの世に一つもないのです。それが事実なのです。
 さて。
 以上のことは言う相手を間違えるとその相手に怠ける絶好の口実を与えるおそれがあります。とても危ないことを私は書いているのです。
 ですが幸いなことにこのサイトのお客様はトップページにあるとおり苦悩の炎に焼かれている人です。苦悩の炎に焼かれている人はその炎の外に出ることがすべてです。その他の選択も行為もありはしません。苦悩の炎に焼かれるがまま焼かれる。そして自分にできることなど何もないのだと痛切に身に染みて知れるまで焼かれて焦げる。そうすると一生の宝が手に入るかもしれません。
 もちろん宝が手に入るかどうかもコントロールできることではありませんのでご参考までに。
 

2010/05/22

ついでに一言
 
 このサイトは苦悩していない人にはむしろ有害かもしれませんよ。
 


おまけにもう一言 
 
 有害かもしれないなんて言われたところであなたはすでに読んでしまっています。後の祭りなのです。どうですか? コントロールなんてまったくできないですよね。