あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第277話 テーリーガーター

第277話 テーリーガーター
 
 『仏弟子の告白 尼僧の告白』(テーラガーター テーリーガーター 中村 元 訳 岩波書店)を手に入れました。ボチボチ拾い読みしています。
 男性の出家修行者がテーラ。女性の出家修行者がテーリーです。それぞれがそれぞれの立場で述べた言葉を詩の形にして記録してあります。いずれの詩も興味深いのですが読んでいて面白いのは断然テーリーガーターの方です。
 指二本分ほどの知恵もない女が何を血迷って出家修行など——と悪魔に嗤われながらも苛烈な修行に挑む尼さんたち。息を呑むような生々しい声が収録されています。
 
17 体力衰え、杖にすがって、托鉢に出かけたが、手足が震えて、わたしは、その場で地上に倒れました。身体に患(わずら)いがあるのを見て、そこで、わたしの心は解脱しました。 ダンマー尼
 
 こういう調子です。この他に母子揃って出家して親子であってもお互いにもはや執着しあうまいと誓うものもあったりします。総じて生・老・病・死に関する切実さではテーリーの方がテーラよりもずっと上のようです。
 テーリーガーターは読んでおいて損はないと思います。ともすれば理屈によりかかりがちな男とは体質を異にする仏教がそこあります。
 

2008/08/31

ついでに一言
 
 テーリーガーター。あまり取り上げられることがないようです。私は必読書だと思いますが。
 


おまけにもう一言 
 
 ほかの仏典と同様に「どこまで本当なのよ?」って部分もたくさんありますけどね。