あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第218話 鉄人

第218話 鉄人
 
 沸き上がる思いや感情を変えるのではありません。止めるのでもありません。沸き上がっているあれこれをじっと見るのです。じっと感じるのです。そしてじっと見ていることをじっと見るようにするのです。じっと感じていることをじっと感じているようにするのです。仏教の訓練というか修行というかはそういうことなんですけど。
 どうもその辺りをまるで知らずに自分を変えようと無駄な努力をしている人が多いようです。極端な例ですと何を見聞きしても何も感じなくなるように訓練をしている人さえいるようです。まさに鉄人ですね。鉄の塊みたいなものになるんでしょうね。自分の思いを変えられるのなら変えればいいと思います。ですが思いがどう変わろうがそれでは彼岸に渡れません。世界一の善人になっても無理ですからね。
 変わる必要がないと言っているのではありませんのでご注意ください。根本的なところで変わらなければなりません。自分を見る眼を生じさせて自分から離れることができるようになってください。これはできるようにならなければなりません。そしてさらにご注意いただきたいのですが私は「見方を変えろ」と単純に言っているのでもありませんからね。ものごとを見ている自分を見ることができるように「なる」のですからね。
 苦しくて苦しくてたまらないと。その苦しみを何としても止めたいと。それは私にも分かります。分かるからこそ一言申し上げます。苦悩を撲滅する必要はありません。むしろ苦悩と同居してください。そしてワーワー・キャーキャー・アタフタとしながらでいいですから苦悩を・自分をよく見てください。それが私が知る限り彼岸に渡る唯一の道です。
 

2008/03/08

ついでに一言
 
 「観察」という言葉は元来は仏教用語だったんですってね。知りませんでした。
 


おまけにもう一言
 
 花粉の季節が始まったようです。目が痒いです。