山に囲まれた厳しい自然の中での飛騨人の生活は、決して楽なものではなかった。昔の農民はみそとくもじで暮らし、正月と祭りにやっと魚が食べられた。そんな生活のなかから、食べ物を保存する知恵と食べ物を大切にする心が現代に脈々と引き継がれてきた。

かつての囲炉裏は、暖を採るばかりでなく食べ物を温めたり、焼いたり、煮たりした。また、茅葺きの屋根を煙でいぶし、防虫効果や屋根を長持ちさせる効果があった。

郷土料理はその時代の手が加えられ、調理法も少しずつ変わってきている。それでは、代表的な料理を紹介します。

 
「朴葉みそ」 「煮たくもじ」 「芋のころ煮」 「なつめ甘露煮」 「朴葉もち」 「しな漬け」 「漬け物ステーキ」 「さばずし」 「あぶらえ和え」
煮たくもじ

くもじという言葉は平安時代の宮中ですでに使われており、「漬け物」のことをいいます。ひね漬けとなった紅カブの長漬けを捨てずに煮て食べることから「煮たくもじ」の名が付きました。煮ても、形がこわれにくく漬け物の塩分がうまく調和して美味い。
芋のころ煮

親指の頭くらいの小さいジャガイモを塩味で気長に煮付けたおふくろの味です。昔は塩だけの味でしたが、今は皮付きのまま塩ゆでして、しょう油、砂糖、油などで味付けします。しわのよった皮と、なかのホックリした味がいっぱいに広がります。
朴葉もち

まっ青な朴葉につきたての白もちを包んでいきます。朴葉のままこんがり焼き上げると朴葉が自然にはがれて、香りが一面に広がります。朴葉には、殺菌効果があります。


 
飛騨では、餅のことを「あっぽ」といいます。正月の雑煮、草餅(よもぎもち)、田植え後の春もち、お盆の朴葉もち、収穫後の秋もちなど一年の暮らしの中にもちが生きづいています。昔は臼でペッタンペッタンついて、粘りがありました。今は、機械でつく家庭が多くなりました
しな漬け

紅カブの代表的な漬け物です。紅カブを主材料にして、ナス、キュウリ、ミョウガ、キノコを混ぜ合わせて漬け込みます。カブは放射状に切り、皮がついているようにします。漬け込んでから、ほぼ1ケ月でうす紅色に染まります。

 <漬け物に、着色料は使用しません。>

紅カブの歴史
戦国時代に丹生川村を治めた尾崎城主が伝えたと言われる、「八賀カブ」に始まる。八賀カブはやや紫色をしていた。これを大正末期に系統分離で育成したのが現在の「飛騨紅カブ」です。緋紅色の表皮が漬け物の色を鮮やかにしている。

秋の風物詩のひとつ 菜洗い(紅カブ) 
 漬け物の仕込が忙しくなりはじめる。
手前が、長漬けで、右側がしな漬けです
朴葉みそ

有名になりました。枯れ朴葉の上にみそとねぶか(ネギ)をのせて焼きます。これだけで飯が何杯も食べられました。みそは、地味噌を使い砂糖、ゴマ油、バター、花かつおなどでお好みの味に調整し食べます。具には、細かく刻んだしいたけ、山菜、肉、生卵やウズラの卵をのせて焼くと一層美味しくなります。薬味に柚子、白ごまを入れるのも良いでしょう。

調理法/販売を紹介したおすすめHP
  良心的なお店 
こうじや柴田春次商店
            
朴葉みそネット
大正時代までの山村の囲炉裏の様子

囲炉裏は、ふせきと呼ばれる角材で囲まれている。火の焚き付けにはほえ(雑木の細かい枝)が使われ、ほた(太い幹)が火力となった。鉄器の上ではお餅や朴葉みそを焼いていた。あまの上では、乾燥させて保存食を作ったりしていた。


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