これは(左写真)仏像製を作るために切り出した木材を彫ったのではなく、自然に生えていた木を立ったまま刻んだといわれる珍しいものです。立木にはしごをかけて仁王像を彫る円空の姿は「近世畸人伝」の中でも挿し絵つきで紹介されています。その後この立木彫りの仁王像は、しばらくそのまままの状態で立っていたともいわれています。仁王像は、円空の作としては例外的で丸彫り一木彫成の量感のある作品である。仁王像は欠失が少なく、髻は逆上し、口角上がり、牙は2つとも下向している。眼も大きくふくらみ、眼尻は切れ上がっている。仁王:212.0cm
円空仏の代表な技法「鉈ばつり」
鉈を上から下に振り下ろす(はつる)ことによって、木材をダイナミックに刻み、力強い躍動感を与える円空円熟期の作風は「鉈ばつり」と呼ばれ、円空仏の代名詞ともなっています。これは、ある種の潔さと強い決断とスピードが要求される技法です。そんな円空独自の鉈彫りの妙技が立体的造形美として表現された代表作が、丹生川村・千光寺の両面宿儺像です。まるで燃えさかっているように逆立った髪型は、まさに鉈彫りによるもの。それに加えて、平ノミ、丸ノミ、角ノミなど、10種類ほどのノミを使って仕上げています。
両面宿儺像(りょうめんすくな)(県重文)
千光寺を開山したともいわれる両面宿儺は、日本書紀によると、「体は一つであるが、顔が前後にあり手足が4本ずつある力持ちであった。4本の手で弓矢や剣を同時に用いて、皇命に隨わなかったため征伐された」という意味のことが記されているようである。しかし飛騨人にとっては飛騨の国を統治していた豪族であったとして、なじみ深い存在となっている。円空は、これの造型化に当たり独特の感覚と創造性をもって、後ろにあったという顔や手を前に並べ、持っている弓矢を斧にかえた。顔の表情も善悪両面を表している。善を中心にしているところから、飛騨人の立場になって造ったのではないかと想像される。円空の晩年作で屈指の傑作とされている。
両面宿儺像は、優作の1つである。頭髪逆上、目尻も上がり、力に充ちた2体の像である。まさかりを横にして握っており、雲形のレリーフの文様のある舟形光背を背にし、像身と等しい高さの岩座に座している。両面宿儺:88.0cm
不動明王立像は、腰を右に曲げている。右手に剣を持ち、恐ろしいというよりは、笑みを浮かべむしろ親しみさえ感じさせる。不動明王:97.0cm
立木仁王像(県重文)
金剛神(県重文)
三十三観音(県重文)2体を失って31体になっているが、これは丸太(サワラ)を四つに割って4体刻んだものである。鉈ばつりの素朴なつくりである。非常におだやかな円空仏の特徴をただよわせている代表作品である。
左の画像は、その一部である。

    □ 円空仏寺宝館 □

生涯12万体の仏像を刻んだといわれる円空が、晩年千光寺をたずね、しばらく滞った。そして、千光寺を拠点に飛騨各地を巡った。その折りに刻んだ円空仏63体と寺の宝が展示されている。
 開館時間 午前9時から午後5時
        12/20〜3/10積雪のため閉館

 入館料   大人 500円  千光寺電話 0577-78-1021