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※夢を読むにあたっての注意※
オリジナルのキャラクターが出てきます
また所々GL的な表現が有りますのでご注意下さい(直接的なものはありません)
時期的にはDMC3のEDから数ヶ月後程度で、バージルは生きています
勿論ながら捏造設定盛り沢山です
其れでも大丈夫な方は下へどうぞ!
舞い落ちる白い雪に触れれば其れは音も無く融けて行き
だが、其の真っ白な肌へと触れた雪は細かな結晶が崩れる事も無く、
それどころか逆に少女の小さく華奢な身体が壊れてしまいそうで
漆黒の髪に一房交じる銀がきらりと煌めき、サラリと揺れる漆黒の間より覗くはまるで鮮血の様な紅色
其の美しさはまるで、
悪魔---
languid
A rondo of the recollection
追 憶 の 輪 舞 曲
「…ったく、今回も悪魔とは無関係な仕事だったな」
真っ赤なコートを揺らしながら、男---ダンテは不貞腐れた様に隣を歩く蒼に声を掛ける
声を掛けられた蒼---基バージルは返事をするでも無く興味なさげに溜息を漏らした
デビルハンターを職とする二人は其の日、久方ぶりに連れだって依頼をこなしていた
普段より小さな仕事を請け負っては居たがそう軽いものばかりでは流石に金も底を尽き、
仕方が無いと二人揃って大きな仕事へと手を伸ばしたのだ
が、悪魔絡みと睨んだ仕事は全く当てが外れ、報酬も当初の三割程度しか渡されず
事務所へと帰る道ダンテが一人ぶつくさと文句を垂れているのだった
ふっと、二人の事務所---“Devil May Cry”のネオンを掲げる建物---の前に一人の少女を見付け、
バージルはぴたりと足を止める
其れに気付き少し遅れてダンテもまた歩みを止めた
少女は建物の壁を背にじっと足元を見詰め動かない
恐らくは待ち合わせか何かだろうか、其れにしても此処は余りに治安が悪い
黒い髪に降り注ぐ粉雪はさらりとした其の髪を撫で地へと落ちる
隙間より見える肌は辺りの暗さと対照的に酷く白かった
一言声を掛けよう、外は寒いし危険が多い
待ち合わせなら中で待てば良い、温かなお茶の一杯でも出してやろう
そんな事を考えダンテが足を踏み出そうとした、其の時
見るからに紳士的とは言えぬ男が数人、少女を取り囲むのが視界に入った
「やめ、て…下さい…っ」
か細く透き通る様な声が聞こえた
そんな少女を嘲笑い一人の男が少女の細い手首を掴み、無理矢理に連れて行こうとする
血の気の多いダンテは其の光景に奥歯を噛み、勢い良く地を蹴り駆け寄ろうとした、其の時
己と、バージルの合間をするりと抜ける様に一つの人影が足早に通り過ぎた
微風の様な其れに、双子は不覚にも一瞬意識を殺がれる
香るのは、血と花の交る様な甘く纏わり付く匂い
フードから覗いたプラチナブロンドが街灯を反射し、まるで月が地へ堕ちたかの様な錯覚に見舞われる
刹那、眼前に舞う赤にダンテとバージルは息を飲んだ
黒髪の少女へと駆け寄った人影は迷う事無く細く長い剣を振るい、少女の腕を掴む男の右耳を削ぎ落とした
まるでスローモーションの様に血が空を舞う
腰を抜かし恐れ慄き逃げ出す男達を見据え、
剣を握る彼の人は地にぺたりと座りこんだ少女をそっと抱き起こした
するりと、羽織って居たコートを脱げば被って居たフードが脱げ儚げな金がゆるりと揺れ、
黒を纏う細い身体が惜しげも無く露にされる
其の人---女は脱いだコートを少女へと掛け、先程迄己が被って居たフードを被せてやる
僅か、冷たい表情が柔く笑んだ様に見えた
「行くぞ、マーリア」
女は再び表情を消し黒髪の少女へとそう告げる
吐き出される声と共に白い息が唇から零れた
少女、マーリアは不安げな顔の儘、其れでも何処か幸せそうに頷く
傍から見れば其れは主従
だが二人を取り巻く空気は余りにも甘く温かなもので
よたよたとした足取りのマーリアの手首をきゅ、と掴み女は歩き出す
ぶっきら棒であり粗暴な様に見えるが、少女を捉える其の手は壊れ物に触れるかの様で…
「…なん、だありゃ…?」
ぽかんと見詰めていたダンテが間抜けな声を漏らす
男の己達から見れば小さな背が二つ、身を寄せ歩き行く様を見ながらダンテは態とらしく肩を竦めた
同じく隣に立ち尽くすバージルもまた、目の前で起きた出来事に珍しく眼を丸くしていた
其れと同時、喉を痞える様な感覚に眉を顰める
先の(彼からすれば)極有り触れた光景を思い返し、そっと瞼を落す
「……」
黙った儘にバージルは止めて居た足を再び動かし始める
何時もと違い、何処か慌てる様な、焦る様な兄の姿にダンテは首を捻った
事務所に入りバージルはコートに積もった雪を払う事すらせず受話器を手にした
掛ける先は情報屋のエンツォ
バージルは何処となくダンテに似た彼---エンツォを余り好いては居なかった
だが今、最も信頼出来るのは彼しか浮かばず、細長い指は手慣れた様子で目的の相手のダイヤルを回す
短い呼び出しの後、電話が繋がったのを確認したバージルはエンツォが口を開くより早く薄い唇を開いた
「マーリアと言う女の情報が欲しい、今直ぐにだ」
冷静で居て切羽詰まった声色にエンツォは顔が見えないのを良い事にくっと口許を緩めた
そして直ぐ様、其の笑みは一人の少女の名によって消え去る
表立った噂は無いが、己と同じ情報屋ならば誰もが知る其の名に、ぞくりと背筋が凍るのを感じた
『…はは、バージル、あの仔はシャイだ、お前さんには似合わないと思うが?』
「くだらん話の為に電話したのではない、話せ」
冗談ぽく茶化す様に言うエンツォに苛立ちを隠しもせずバージルが言う
と、受話器の向こう、諦めにも似た溜息を漏らしながらエンツォは重々しく口を開いたのだった
薄暗い部屋の中、月明かりが差し込む其処に二人は居た
否、一人は天蓋付きのベッドに横になり、
一人は其の横に付き添う様にベッドの端に腰かけて居ると言うのが正しい
キングサイズの其処に一人身を横たえる少女は余りに小さく、
静かな寝息だけが部屋を満たす
眠りにつくマーリアを見詰め、女---は愛しげに瞳を細める
口許は真横に引かれた儘だが、其れは明らかに寵愛を込めた表情
そ…と、額に掛かる髪を払い白い肌へと唇を落す
僅かに身動ぎする相手にふっと笑みを漏らし、音を立てぬ様にが立ち上がる
すっと天蓋を引けば中の様子は霧に包まれるかの如く視界を遮り
「…もう直ぐ、だ」
ベッドから離れ窓枠へと腰を下ろしつつ、は低めの其の声で唸る様に呟き漏らす
押し寄せる快楽にも似た甘い痺れが全身を覆い、くっと口許を歪める
焦る己の様を他人事の様に見れば其れはまるで子供の様で
白い指先で窓に触れる、早く早くとせがむ様に
「もう直ぐ、終わる」
己の背後で未だ深い眠りに身を委ねるマーリアを想えば、意図せずとも声色は優しくなり
「そして、始まる…」
コツンと一つ、重いブーツを鳴らし窓枠から地へと脚を下ろす
静寂だけが二人を包む中囁かれる声は、誰しも聞き惚れる様な甘いハスキーボイス
紡がれる言葉は全てが全て彼の人、マーリアへのもので
己の心を満たすのは唯、
「お前の望む、お前の為だけの---世界」
すっと開かれる瞳は、凍てつく様なviolet
ゆっくりとした動作で肩越しに振り返る
其の双眼が見据えるは霞み見える純真無垢なる少女と、其の後ろに蠢く…
-----トン、
何時の間にかが手に持って居たダーツが、細くしなやかな指を離れ少女が眠るベッド目掛け投げ付けられる
少女擦れ擦れを通過した其れは小さな闇の塊---形にすらなれない悪魔---へと突き刺さる
霧の様に空へと混じり消え行く其れを視界の隅に捉えつつはそっと空を仰ぐ
音も無く笑い、口許を歪めれば低く這う様な声が静かな部屋へ零れ落ちた
『JACK POT』
ダンテは兄の手にした受話器越しに語られた真実ににっと口端を上げた
やはり己の眼に狂いは無かったと、ふんと鼻を鳴らしくるくると手にした銃を回して見せる
先刻出逢った少女二人(と言うには、片方は余りに大人びて居たが)の姿を思い返す
こんなスラム街を女二人がふらつくのは余りに危険
だがしかしあの鋭い眼差しと冴えた剣を思い出し、ダンテからふっと笑みが消えた
エンツォ曰く、最近長く使われていなかった街外れの館に人が移り住んだと言う
少女二人だけの其れに荷物を運んだ業者が心配し事情を聞いたらしいが、
一人の少女が大事ないとしか返さなかった為其れ以上深入りしなかったらしい
引越しの話は風の噂程度に聞いてはいた、
差して興味も無かった二人は何気なく其れを右から左へ流していたのだが
「んで、其処に越して来たのがマーリアと、」
「と言う訳か」
ダンテの言葉を遮りバージルが呟く
そして一言二言言葉を交わすと早々に受話器を置き真っ赤なソファーへと腰を下ろした
僅かむっとした表情の相手も気に留めずバージルは両手の指を絡ませ顎を乗せる
ついさっき擦れ違った女の香りが脳を揺さぶり、まるで思考を停止させる様で
確信が胸を刺す
やはり、あの少女は…
「…で、まさか二人の幸せを祈り見守ろう…なんて事は言わないんだろ?」
軋む机に腰掛けながらダンテはちろとバージルを覗き見る
彼の塔、テメンニグルでの件が過ぎ半年も経たぬ内に悪魔の影が自身等の周りをうろつくとあっては、
例え無関係だったとしても眼を瞑る事は出来ない
況してあの女、の瞳を思い出しごくりと生唾を飲む
眼の前の少女しか見えて居ないような、冷たく、燃ゆる炎を宿した眼
他の犠牲等厭わぬ、昔の己に似た其れを考えればバージルの身体は自然と動いていた
「無論、好き勝手させる訳にはいかない」
カチリと音を立て閻魔刀を握るバージルにダンテもまたリベリオンを手に勢い良く立ち上がった
「OK! I will treat myself to devil hunting!!」(悪魔狩りと洒落込もうか!!)
09.2.22
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