YELLOW
立野真琴
ビブロス
★★★☆
石川英郎×櫻井孝宏 松本保典 千葉一伸 宮田幸季
「横取り屋」と聞いて、最初、設定がどこかの奪還屋とダブった(マスターの名前はポールじゃないよね?)が、特に邪眼を使うわけではないらしい。
バリバリのゲイ、ゴウ(石川)と、ガチガチのヘテロ、タキ(櫻井)。この二人の稼業は麻薬の横取り屋。仕事柄、もちろん危ない橋ばかりを渡る二人なのだが、そこには必ず色っぽい話が付きまとう。
うーん、面白かった、と思う。だいたい、攻めを足蹴にする受け、というのは、私のツボだ。ただ、ちょっと時期が悪かったかな、と感じてしまうのは、「ラブ&トラスト」を聴いたばかりだった、ということだろうか。全然違うといえば違うかもしれないんだけれど、微妙にかぶっちゃったんだよね。
三つの短編から構成されているのだが、それでも時間経過によって二人の関係は少しずつ進展を見せていく。もちろんまだまだプロセスの段階ではあり、それほど色っぽい間柄ではないのだけれど、充分楽しめる作品であったことに間違いはない。
ものすごく個人的な話だけれど、ここしばらく、「金のひまわり」、「紳士は夜に求愛する」、「ラブ&トラスト」、そしてこの「YELLOW」と、立て続けに櫻井くんの作品ばかり聴いている気がする。最近の櫻井くんは、まさにBL界のプリンスとも言え、なんかいいんだよね〜。
「ラブ&トラスト」にしてもこの「YELLOW」にしても、まだまだラブの過程。続編が非常に楽しみである。




石黒和臣氏の、ささやかな愉しみ
吉田珠姫
白泉社
★★★
真殿光昭×宮崎一成 神埼ちろ 坂東尚樹 渋谷茂 梁田清之
ま・さ・に、真殿光昭の独壇場。真殿光昭イリーュジョン。真殿さんのために用意された役、といっても過言ではないほどに填り役。キャスティングした人、天才!と思いました、ブラボー!!わかんないけど泣きそうです。
バリバリのサドでしかも策士の石黒(真殿)は、田舎者で純粋無垢な青年・千聖(宮崎)を自分のもの・・いや、正確には自分の<犬>にするために地方からわざわざ呼び寄せ、自分の部下に据える。石黒は、温和で頼れる上司、という表の顔と、会社の社長でさえ自分の犬として顎で使う裏の顔、その二つを尋常ではない巧みさで使い分け、千聖をまんまと自分の思惑通りに嵌めていく。そのあまりに鮮やかな手管に身も心も堕ちていく千聖なわけだが、その描写がとにかく見事。石黒が千聖に宣う言葉は全部芝居、全部嘘なのだけれど、その白々しさにも鳥肌が立つ。石黒が千聖を称して「少年というのは年齢ではなく、その精神を呼ぶ呼び名なのだ」と言っているが、その舌なめずりが聞こえてくるようだ。
ストーリーは攻め視点の人称のみで進められていくのだが、そのモノローグというか、心の声がまた凄く歪んでいて、なんとも魅力的なキャラ。もう大好きです。
ただ、その石黒のキャラがあまりに強烈なため、受けの存在自体が酷く薄いのだが、でもまあそんなことはどうでもいいか、と思わせるほどの真殿さんが素敵すぎ。マゾ社長に対する非情なセリフにもしびれます。携帯の件りはマジで笑いました。
エロは基本的にしっかりとした絡みで、しかもそのほとんどがSMであり、さらにマゾ社長との3Pなどもあるので、好きな人にはたまらないだろうが、そうでもない人は要注意。また、攻め声がここまで聴ける作品も他にはないだろうと思うくらいに、受け声がかすむほどの攻め声が聴けるのも特徴。私はすげー萌えだったけど。
なお、既婚である石黒の夫婦関係というか、あまりに明け透けな夫婦間のかかわりあい方に、むしろ羨ましさがこみ上げるほど。いや、普通の思考では理解しがたいが、石黒ほどの男が選んだ伴侶ならばそれは当然と言えば当然であり、ほほえましくすらある。
「石黒和臣氏の、ささやかな愉しみ」というタイトル通り、石黒はあくまでゲームとして愉しんでいる節があり、その実、本気で千聖に参っていたりもするのだけれど、描き方によっては暗くなりそうな内容を、軽快なテンポとセリフで最後まで引っ張っていく真殿さんがやっぱりスゴイ。本音を言えば★をもう1個付けたいくらいの作品なのだけれど、まあ、おそらく好き嫌いが大きく分かれる作品でもあるし、ちょっと抑えてみました。個人的にはものすっごくお薦め。


白泉社CD☆石黒和臣氏のささやかな愉しみ☆



いとしのテディ・ボーイ
鷹野京
インターコミュニケーションズ
★☆
置鮎龍太郎×山口勝平 子安武人 折笠愛 伊藤健太郎 福山潤
野島裕史 若本規夫
良家の子息をまともに育てたかったら、迷わず共学へ行かせるべきだ、といつも思う。少なくとも同性の恋人を連れて帰ってくる確率はぐっと減るはずだ。
祖父の遺産相続の関係で良家の子息ばかりが通う男子校へ入学した直矢(山口)は、世界で一番大切なテディベアが人間になって現れたと思い込んだ宮緒(置鮎)に強姦されかけるが、いつの間にかその宮緒を好きになってしまう。
・・・・ていうか君たち、頭の方は大丈夫だろうか?
いや、最初はね、暑苦しさと頭のおかしさ加減が、「悪魔の・・」の伊集院に「あふれそうな・・」の花田を掛けて「叫んで・・」の水沢で割り、それを100倍したような「キケンじゃないだろ」のとかげ先輩に「真綿の王国」の岩近を足しちゃった、みたいな感じかな?って思っていたのだけれど、なんだかそれとはもっと別物の「何か」な気がするこの宮緒。コメディにしてもあまりにデフォルメなキャラ、というかその喋り方は、正直言ってちょっとウザイ。それに直矢の方も、宮緒に惹かれる過程がすっぽり抜け過ぎていて、最初はトラックを1つ飛ばしてしまったのかと思ったほど。勝平ちゃんの健気な演技とは裏腹に、何も伝わってこないのがあまりにカナシイ。
ただ、脇キャラの方は意外にそれなりで、イトケンの勘違い&叫び系演技はとても楽しめたし、特に掛け算表記未満の子安×折笠がすごくいい感じで。折笠さんは思い切り「グラビ」の瀬口で、こんなところで坂野が思いを遂げちゃうのかと思っちゃいました。でも、子安氏の声のトーンから言って、瀬口&坂野というよりは、カトル&ゼクス、って感じかな〜?評価はともかく、個人的にはそれなりに楽しめたかも。


インターコミュニケーションCD☆いとしのテディ・ボーイ☆



インテグラ
七地寧
サイバーフェイズ
★★
森川智之×福山潤 鈴村健一 諏訪部順一 甲斐田ゆき 野島健児
ひとことで言って、登場キャラたちの「自己満ドラマ」、という感じだろうか。聴いているこちらより、良門(森川)とさおり(甲斐田)の方が、よほど楽しそうなんだよね。でもって、その妙に楽しそうな二人の会話が、ものすごく上滑りしているわけ。夢を語って、まあ、それを実現する力も持っているのだろうから、ああいった知ったような口調になるのだろうけれど、忠志(福山)に手を差し延べているようでいて、結局は見下している図しか見えてこないんだよね。BLドラマとしての異色さを狙ったのだとすれば、もしかしたら成功しているのかもしれないが、新鮮な驚きを感じるほどではなかったし、まして、面白いか、と訊かれれば、そうでもなかった。ていうか、まるでいいことをしているかのような二人(良門とさおり)の自画自賛っぷりが、どうにも鼻についてならない。
ラブストーリーとしても、これっぽっちもそれらしい山場は無く、終始淡々と話は進んでいくし、なにより、メインの受けキャラであるはずの忠志の意思や感情みたいなものが、ほとんど描かれていない。もともと覇気の無いキャラクターのようではあるが、それにしても、あまりに魅力がなさ過ぎ。まあ、言ってみたら、その魅力のなさこそが、彼らにとっての魅力だったのかもしれないが、それ自体も、作り手側の自己満足のような気もする。
原作ではどうかわからないが、サブキャラの麻績(鈴村)、ライアン(諏訪部)、英司(野島)にしても、必要性を大きく感じる要素は感じられなかったし、正直言って、素性や経歴をブックレットに頼るような話が、個人的には好きではない。
しかし、退屈するような話か、と言われれば、意外にそうではなく、最後まできっちり聴けたことを考えれば、何らかの魅力的な要因があるのだと思うけれど、私には上手く説明できない。
キャスト的には、これ以上ない、というくらい充分だったと思うし、楽しめる人はいるだろう。ただ、ドラマとしては、好みの問題、としか言いようがない。


サイバーフェイズCD☆インテグラ☆