海ニ眠ル花
中村春菊
ファーストスマイル・エンタテイメント
★★★
三木眞一郎×野島健児 成田剣 前川優子 松本吉朗 泉尚摯 
時代劇もの。豊臣と徳川の血を受け継ぎながらそれを知らずに育った御影(野島)。彼と彼の持つ財宝の地図を追う、幕府の内藤。妹が内藤に捕らえられていると知り、救出しようとする御影を助ける海賊のサカキ(三木)。そのサカキもまた、祖父から財宝の在り処を記す地図を託されていた。
まず、これだけはどうしても言っておきたい。この長さでチャプターがひとつしかない、って、どういうこと!?はい、気が済みました。
結構壮大な背景なわりには、こじんまりとした印象で、ある意味、返って聴きやすかったかもしれない。ストーリーとしては、まだまだ序章であるらしい終わり方であり、次回作を待て、ということか。内藤は地図だけでなく、御影に対しても強い執着心を見せており、成田氏演じる十郎はサカキに、サカキの妹真琴は十郎に、と、それぞれのベクトルが行き交う。
とにかく、野島くんの受けが聴きたいばかりに、そう得意でもない時代劇ものに手を出してみたのだが。いや〜、思った以上に可愛くて結構当たりだったな〜。「1Kアパ→トの恋」の夏が、私的にはちょっと消化不良気味なこともあり、でも、あまり子どもっぽいものには手を出したくなくて、という理由のセレクトであったのだが、これはぜひ、続編も聴いてみたい、と感じるだけのものではあった。
三木氏のサカキもいいキャラで、しかも器用。バイな上に、ネコもタチもオーケー。さすが三木氏だ。ちなみに、十郎@成田氏×サカキ@三木氏もあります。
ただし、二枚組である必要性はどうなの?という点で、ちょっとマイナスかなあ。ボーナストラック?のシロクロの視点で語られている部分は、「ドクター×ボクサー」の「犬も語る」みたいなものなのだけれど、正直、そんなに面白くはなかった。十郎とサカキの今までを描く必要があるのなら、もうちょっと違うカタチで聴きたかったかな。




Hybrid Child
中村春菊
マリンエンタテイメント
★★★
鳥海浩輔 福山潤 井上和彦 宮田幸季 諏訪部順一 緑川光
時代設定は幕末から明治の初期にかけてだろうか。時間経過は多少前後するものの、ほぼ同時代の、リンクする3話のオムニバス。人間のカタチをしてはいるが、人間でも人形でもなく、持ち主の愛情で成長する<Hybrid Child>と、その持ち主との心のやり取りを描いたファンタジー。
まず3話を通して、<Hybrid Child>に関する情報が、あまりに大雑把で曖昧なだけに、どう擬人化したところであくまで人間でない限り、単なる<モノ>に対する過ぎた愛着に思える。ただ、ややこしいのは、その<Hybrid Child>が感情を持っている、ということ。
その世界観によって、ある程度を誤魔化せてしまえる<架空の存在>という性質の上に胡座をかいた甘さが目立つ。いくらファンタジーとは言え、いや、ファンタジーだからこそ、よほど精巧で綿密なプロットが要求されるのだと私は思う。ありえないことをリアルに描くのがファンタジーであって、その詳細がぼんやりとしている以上、それが悲恋であれなんであれ、ただのおとぎ話になってしまい、なかなか感動するに至らない。しかし、ストーリーとしては非常にシンプルでひねりがない分、キャラの心理描写もとてもストレートで、そのストレートさが返って新鮮には思えた。ただ、<Hybrid Child>が絡む件りになると、やはりどうしても「なんとなくそんな感じ」的なあやふやさが頭をもたげ、要らないストレスを感じさせる。これがコメディーであるならまだしも、シリアスなファンタジーとして納得しながら聴き進むにはあまりにお粗末であり、心を動かすだけの力は、この作品には、ない。
それでも最後までぐいぐいと引っ張られてしまうのは、このキャストたちの力量に他ならないだろう。特に2話目のゆずを演じたヘリちゃん!成長に合わせて3段階の声で演じ分けているのだが、それが本当に上手い。純粋さはそのままに、声だけで時間経過が目に見えるような好演。その純粋さゆえのセリフの可笑しさと、それにいちいち動揺する瀬谷の諏訪部さんにも笑いました。
3話目以外はBLといえるほどの話ではないのだが、細かい矛盾・・例えば、黒田が葉月に痛覚はないと言っていたけど、2話目でゆずが「どんなに痛くても平気」と言っているが、それは新機能なのか、とか、まあ、そういう類の辻褄とかはどうでもよくて、そうじゃない、もっと納得できないいろいろな部分?に目をつぶれるならば、それなりにしっとりとした良いドラマであるはず。私は、<Hybrid Child>が人間の手で作られた、というところに、もしかしたらちょっと拘りすぎているのかもしれませんね。


/ルボー・サウンドコレクション ドラマCD Hybrid Child