完璧。完璧です。パーーーーフェクツッ!!!
発売が決まってから心待ちにしていた榎田さんの作品。もちろん既読。そう、既読であるにもかかわらず、もう、満足度この上ない出来。2枚組みということもあるけれど、それはもう丁寧に作られていて、文句のつけようがありません。作品評価の星4つ半、まあ、それはキャスティングされた時点で既に80%くらいは決まっていた気がするわけだけれど、想像以上によくて本当に感動しました、ありがとう、サイバーフェイズ!ええ、ええ、エコヒイキだと言われようがなんと言われようが、私が面白かったからいいんです。
さて、BLの世界ではゴマンとあるヤクザ絡みのストーリー、メガネ・切れ者・美形というインテリヤクザの必須アイテムをすべて標準装備しているにもかかわらず、昨今流行の経済ヤクザとは違う、もう少し昔気質なヤクザという設定の兵頭(子安)なのだが、そういった泥臭さを全く感じさせない。一方、検事・弁護士を経て、今はネゴシエイター(交渉人)という職を生業にし、非合法な行為はしないが場合によっては法すれすれの手段もとる・・危ない橋も渡りながら裏の社会もそれなりに学んできたことで、度胸が据わっている上に色男で頭も切れる芽吹(平川)。過去に同じエリート高校に通っていたことのある二人が14年ぶりに出会い、封印しいた時間が動き出す。
とにかく芽吹の男前なことといったら、巧みな話術を武器に不利な状況を一転させる才覚を随所に見せ、なんとも爽快感の漂うエピソードを繰り広げるそんな反面、ちょっとしたことでムキになる子供染みた顔を併せ持つ、ひどく魅力的なキャラクター。そんな芽吹の性格を逆手に取った兵頭との会話のやり取りは、そのセンスとテンポのよさで一転二転する展開を全く飽きさせることなく運んでいく。更にその兵頭、泣く子も黙る鋭い眼光をそのメガネの奥に隠しながらも誤魔化し様がないヤクザオーラを全身から立ち上らせている美丈夫で、強引且つ凶暴な、極道としてはごく当たり前の顔を惜しみなく曝すその側から、惚れた弱みという唯一にして最大のウィークポイントを芽吹に握られ、情けなくも可愛い一面をも露呈する。しかし、今回は回想以外の絡み、すべてが未遂でありながら、いや、未遂であるからこその萌え、というか、芽吹の<本気の拒絶>と、兵頭の「先輩が寝たら、寝顔で抜きます」などというセリフには、想像しただけで(想像したのか!?)子宮を抑えながら身悶えてしまう。
また、<恋愛>とは違うところで展開するサイドストーリーと、その脇を固める個性がすばらしいことは榎田さんの作品のキモともいうべきもので、これもその例外ではなく、芽吹の仕事っぷりもさることながら、それはチンピラに対峙した戦闘モード全開のさゆりさんだったり、餓鬼でありながら恐ろしくプライドの高い智紀、更には無口で無表情で人見知りだが美貌と均整の取れた体躯を持ったネゴオフィスのアシスタント・キヨの存在だったりする。ものすごく余談だが、個人的には日野くんが<こんなところ>に名を連ねていること自体、ちょっとした珍事だったというか、「一騎当千」・「灼眼のシャナ」・「ゼロの使い魔」と、美少女アニメ、特にツンデレ界切っての存在である彼が、いや、「あさっての方向」などではかの萌えお兄ちゃんという引き出しの奥深さを見せ、昨今では「NARUTO」のサイなど、幅の広さを感じているわけだが、まさか浪川の弟子が(違います)BLモノに片足突っ込む※とは・・・・期待して動向を見守りたいと思います、切に。
※「コルセーア」でも片足突っ込んでます
さて、そのすばらしき演者たちだが、とにかく平川さんはキャラの職業柄、喋りに喋り尽くしており、その男前でありながら優しい声色に終始聴き惚れる。ただ、Hシーンになると、いきなり高音のあんあん系になってしまうところが個人的には泣き所。受けっぷりにもその男前加減が発揮されると言うことはないのだが。
子安さんはこれもキャラの職業柄、冷酷なセリフを飄々と吐く一方、お茶目なセリフから情けないセリフまで、しかも芽吹が高校の先輩だということもあり、そのほとんどが敬語という、ファンにとってはありがたくも身体に悪いセリフの連続。コヤPの「ゾクゾクする」にこっちがゾクゾクします。ただ、これも極個人的には、原作にあった「こっちは喉を掻きむしりながら歩いてるってのに、あんたはびしょ濡れで俺の前に立つ。全身舐め回されたって・・云々」という大好きなセリフ、是非言って欲しかったのになあ・・・・カットされていてすごく残念。
この秋に予定されている原作の続編を今からとても楽しみにしている。好きな作品のレビューは、読み返すと自分でもびっくりするくらい鬱陶しいのだが、この鬱陶しさを上回るレビューを想定して、そのCD化を待ってみたい。
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