交渉人は黙らない
榎田尤利
サイバーフェイズ
★★★★☆
子安武人×平川大輔 日野聡 定岡小百合 安元洋貴 梶裕貴 秋元羊介 他
完璧。完璧です。パーーーーフェクツッ!!!
発売が決まってから心待ちにしていた榎田さんの作品。もちろん既読。そう、既読であるにもかかわらず、もう、満足度この上ない出来。2枚組みということもあるけれど、それはもう丁寧に作られていて、文句のつけようがありません。作品評価の星4つ半、まあ、それはキャスティングされた時点で既に80%くらいは決まっていた気がするわけだけれど、想像以上によくて本当に感動しました、ありがとう、サイバーフェイズ!ええ、ええ、エコヒイキだと言われようがなんと言われようが、私が面白かったからいいんです
さて、BLの世界ではゴマンとあるヤクザ絡みのストーリー、メガネ・切れ者・美形というインテリヤクザの必須アイテムをすべて標準装備しているにもかかわらず、昨今流行の経済ヤクザとは違う、もう少し昔気質なヤクザという設定の兵頭(子安)なのだが、そういった泥臭さを全く感じさせない。一方、検事・弁護士を経て、今はネゴシエイター(交渉人)という職を生業にし、非合法な行為はしないが場合によっては法すれすれの手段もとる・・危ない橋も渡りながら裏の社会もそれなりに学んできたことで、度胸が据わっている上に色男で頭も切れる芽吹(平川)。過去に同じエリート高校に通っていたことのある二人が14年ぶりに出会い、封印しいた時間が動き出す。
とにかく芽吹の男前なことといったら、巧みな話術を武器に不利な状況を一転させる才覚を随所に見せ、なんとも爽快感の漂うエピソードを繰り広げるそんな反面、ちょっとしたことでムキになる子供染みた顔を併せ持つ、ひどく魅力的なキャラクター。そんな芽吹の性格を逆手に取った兵頭との会話のやり取りは、そのセンスとテンポのよさで一転二転する展開を全く飽きさせることなく運んでいく。更にその兵頭、泣く子も黙る鋭い眼光をそのメガネの奥に隠しながらも誤魔化し様がないヤクザオーラを全身から立ち上らせている美丈夫で、強引且つ凶暴な、極道としてはごく当たり前の顔を惜しみなく曝すその側から、惚れた弱みという唯一にして最大のウィークポイントを芽吹に握られ、情けなくも可愛い一面をも露呈する。しかし、今回は回想以外の絡み、すべてが未遂でありながら、いや、未遂であるからこその萌え、というか、芽吹の<本気の拒絶>と、兵頭の「先輩が寝たら、寝顔で抜きます」などというセリフには、想像しただけで(想像したのか!?)子宮を抑えながら身悶えてしまう。
また、<恋愛>とは違うところで展開するサイドストーリーと、その脇を固める個性がすばらしいことは榎田さんの作品のキモともいうべきもので、これもその例外ではなく、芽吹の仕事っぷりもさることながら、それはチンピラに対峙した戦闘モード全開のさゆりさんだったり、餓鬼でありながら恐ろしくプライドの高い智紀、更には無口で無表情で人見知りだが美貌と均整の取れた体躯を持ったネゴオフィスのアシスタント・キヨの存在だったりする。ものすごく余談だが、個人的には日野くんが<こんなところ>に名を連ねていること自体、ちょっとした珍事だったというか、「一騎当千」・「灼眼のシャナ」・「ゼロの使い魔」と、美少女アニメ、特にツンデレ界切っての存在である彼が、いや、「あさっての方向」などではかの萌えお兄ちゃんという引き出しの奥深さを見せ、昨今では「NARUTO」のサイなど、幅の広さを感じているわけだが、まさか浪川の弟子が(違います)BLモノに片足突っ込む※とは・・・・期待して動向を見守りたいと思います、切に。
※「コルセーア」でも片足突っ込んでます
さて、そのすばらしき演者たちだが、とにかく平川さんはキャラの職業柄、喋りに喋り尽くしており、その男前でありながら優しい声色に終始聴き惚れる。ただ、Hシーンになると、いきなり高音のあんあん系になってしまうところが個人的には泣き所。受けっぷりにもその男前加減が発揮されると言うことはないのだが。
子安さんはこれもキャラの職業柄、冷酷なセリフを飄々と吐く一方、お茶目なセリフから情けないセリフまで、しかも芽吹が高校の先輩だということもあり、そのほとんどが敬語という、ファンにとってはありがたくも身体に悪いセリフの連続。コヤPの「ゾクゾクする」にこっちがゾクゾクします。ただ、これも極個人的には、原作にあった「こっちは喉を掻きむしりながら歩いてるってのに、あんたはびしょ濡れで俺の前に立つ。全身舐め回されたって・・云々」という大好きなセリフ、是非言って欲しかったのになあ・・・・カットされていてすごく残念。
この秋に予定されている原作の続編を今からとても楽しみにしている。好きな作品のレビューは、読み返すと自分でもびっくりするくらい鬱陶しいのだが、この鬱陶しさを上回るレビューを想定して、そのCD化を待ってみたい。





ソリッド・ラブ
榎田尤利
ムービック
★★★★★
子安武人×伊藤健太郎 上田祐司 三石琴乃 田中敦子
私が求めていたリーマンものは、まさしくこれ。面白い、本当に面白い。これこそ、ベストオブリーマン、よくぞCD化してくれました、って感じ。待っていた甲斐がありました・・・・(感涙)
新入社員の吾妻(伊藤)と、同じく新入社員ではあるが、トップ入社の伊万里(子安)。容姿でも仕事でも何かと目立つ存在である、その超二枚目で無愛想な仮面の下には、吾妻に対する健気で熱い感情が秘められていた。
まず、何がいいって、キャラ!!もう、これに尽きる。攻めキャラの定番である二枚目っぷりの中に見える可愛らしさ、これは必要不可欠な要素なのだけれど、この伊万里はそういった意味では私の理想。一見すべてに恵まれているかのように見えるエリート、しかも堅物なのだが、反面、恋愛に関しては健気で不器用で、また、それを演じる子安氏がまさに填り役。堅物ゆえのおバカさんて、なんでこんなに可愛いんだろうね?もうメロメロです。
そして吾妻、これがなんとも言えずいいキャラで。素直で明るくて前向きで、受けにありがちなメソメソ感が全くない。
更に特筆すべきは周りを固めるキャラのすばらしさ。河川敷さん、すずちゃん、江藤さん・・と、本来、女性が多く絡む作品はあまり好きではないのだが、これがまたなくてはならない存在であり、しかも、三石さんに田中さんと、女性キャストの豪華なところがまたスゴイ。そしてそして、何より王子沢!!惚れたっ、惚れました〜!!いいね〜、いいキャラなんだよね〜。彼のカニ愛熱弁は本当に聴き応えあり、いや、ありすぎ。それを演じる上田氏だが、その軽い感じが思いきり填っており、超・超・超好演。
原作に比べ、多少駆け足な印象が無いではないが、すっきりまとまっているし、とにかく会話のセンスとテンポが見事。リーマンものらしいネタを、しっかりとラブストーリーに絡めつつ、「SOLID LOVE」というタイトルもまた、非常に心憎い。ひとつひとつのエピソードがどれも面白いし、伊万里の告白後の選択肢の件りなどは、その巧妙な手口にもう脱帽。榎田さんのこういうところって、本当に凄いと思う。絡みのシーンも短いながら非常に萌えで、なおかつ、コメディーチックなノリもあり、子安氏の抑揚のない「フェラチオ」という台詞には大爆笑。
ただただ、大満足の花丸作品、ぜひぜひ、続編を聴きたい作品ベスト・オブ・ジ・イヤー。私の中では歴史に残る名作です。


ムービック(ドラマティックCDコレクション)☆ソリッド・ラヴ☆



執事の特権
榎田尤利
Atis collection
★★★☆
杉田智和×野島健児 堀内賢雄
営業職希望で大手企業の面接に行ったら何故か住み込みで執事見習いをする羽目になってしまった原田(杉田)。しかも雇い主の乙矢(野島)は毒舌でわがままで更には極度の潔癖症。自分の忍耐力と戦いながら乙矢の世話をしていくうちに・・・・というお話。原作既読。
<執事>などというのは、私的に<花嫁>・<砂漠>・<王子様>・<貴族>に続くNGワードで、普通なら極力手に取らない、BLドリームがにじみ出ちゃっているようなタイトルなのだが、これが榎田尤利の手で書かれたものならば少しわけが違う。実際、原作はとても面白かったし、感動もした。
けどな〜・・・・キャストがな〜・・・・。
まあ、ぶっちゃけ、今回一番の泣き所は原田のキャスティングで。どーーーー考えても杉田くんじゃないんだよ。いや、これは杉田が悪いんじゃくて、ああ、もちろん私の脳内変換のせいもあるかもしれないが、でも、それだけではない気がする。
原田っていうのは、もっと・・・・そうだなー、むっつりとモサい感じなんだよね。その外見からは想像できないような器用さが備わっているというギャップを、この声からは感じ取れないんだよね、どうしても。粗野とまでは言わないが、もっと野太くて無感情な印象が強いというか。だからこそ乙矢のヒステリックさをものともしない包容力というか、それすらも可愛いと思えてしまうある意味鈍感な部分が、大きな魅力になっているのだと思うのだけれど。乙矢のノジが填っていただけに、もの凄くもったいない気がしました。
ただ、面白いか面白くないか、好きか嫌いかと問われれば、私は面白いと思うし、とても好きなストーリーだ。もちろん、乙矢はただただわがままなだけのお坊ちゃまではないし、当然その潔癖症には相応の理由があって、自分を汚いと言う彼のトラウマには、ありがちだが切ない背景が潜んでいる。そんな乙矢に対して同情から愛しいという気持ちに変わっていき、最後は乙矢の性格を逆手に取った原田の粘り勝ち、というカタチで思いを成就させていくのだが、その駆け引きがいつもながら榎田さんの上手いところというか、思わずうーん、と唸らされてしまう。二人に信頼関係が生まれてからは、あまりに性急な感じもするが、乙矢の勢いと覚悟、そしてやはり駆け引きの上手さなのだろう原田の、一枚上手チックな策略にまんまと填められるという、乙矢の意外と純粋で可愛らしい一面を露呈する。
が、しかし、やはりキャスティングの違和感は耐え難く、それでも原作未読ならばそれなりに良作だとも思うので、星は3つ半。まあ、妥当だと思うけれど。





ラブ&トラスト
榎田尤利
ムービック
★★★★
鳥海浩輔×櫻井孝宏 梁田清之×千葉進歩
いや〜、いいよね〜。妖しいしカッコイイし、ヒットだね〜。
書類から盗品まで、法外な値段で何でも運ぶ美形の運び屋、坂東兄弟。訝りながらも預かった厄介な荷物のおかげで、面倒な揉め事に直面する。美しく切れ者の核(千葉)、奔放でタフな弟の天(鳥海)、心優しい幼馴染の正文(櫻井)、核に固執するヤクザの沓澤(梁田)、と、それぞれを妖しく巻き込んで、めまぐるしくストーリーは展開していく。原作既読。
まず、核の千葉氏、サイコー。この色っぽさはなんなのさ。仕事の話をするときのクールな二枚目声といい、飄々とした余裕の受けっぷりといい、すごーくツボかも〜。沓沢役、梁田氏は、背筋がゾクゾクするほどの尾てい骨直下型の低音美声。鳥海くんの天、これがもうやんちゃで意地悪でその上超かっこよくて、原作のイメージピッタリ。そして、なんと言っても、櫻井くんのフミ〜♪あの天然さ加減が、まさにハマり役。
ストーリーも面白く、スピード感もあり、キャストは前述の通り。4人のキャラは文句なしだし、兄弟の過剰なベタベタぶりも、沓沢と核のやーらしー会話も、言うことなし。結構ハードなアクションの中にもフミのボケっぷりが随所に生きていて、これがまた笑えるんだよね。フミのカレーを食したあとの兄弟の会話、原作を読んでいても、笑えます。
とにかく、どこもかしこも男前〜、な作品、お薦め。


ムービック(ドラマティックCDコレクション)☆ラブ&トラスト☆