誓約のうつり香
秀香穂里
ムービック
★★★★
子安武人×野島健児 武内健 一条和矢 増谷康紀
突然外国へ留学してしまった高校時代の親友・チカ(子安)と7年ぶりに偶然再会し、その親友に当時からの想いを告白される千宗(野島)。当然戸惑いつつも、誠実にその告白を受け止めようとする千宗だったが、なかなか自分の仕事を口にしないチカに疑問を抱く。そしてとうとうチカの<仕事>を知ってしまった千宗は、自分の常識の枠外であるチカを拒絶してしまう。
攻めキャラが男専門の<SMプレイヤー>という設定は、否応なく露骨な主従関係を想像させるわけだが、この作品は決してそういった類の話ではない。ゲイの自分、そしてそれを生業としている自分が相手に理解されないことを承知の上で、せめて友人でありたい、とさえ願うチカの想いはむしろ純愛であり、ひどく健気ですらある。夜な夜な開かれるショーで、多くのスレイブをそのサディスティックな口ぶりで虜にさせるチカと、千宗の前ではあくまでも紳士然とした優しく穏やかな口ぶりのチカ、そのギャップの描写も見事だが、聴いているこちらの方が虜になってしまうほどのフェロモン全開ボイスに、萌えメーターが振り切れる。
チカ様ファンの横恋慕やちょっとした気持ちのすれ違いなど、「雨降って地固まる」を忠実に再現した、ストーリーとしてはとてもシンプルな展開なのだが、そこで初めて生きてくるのが<SMプレイヤー>という設定であり。かといって、そこで鞭だのロウソクだのといった<お約束>を思い描くのは想像力貧困というもの。そういった安易でバカっぽいプロットに走らず、あくまでも<言葉のみ>でメロメロにしていくその手管が何ともたまらない。
しっかり絡んだエロももちろんあるが、それ以上に印象的なのは、何度か用意されているキスシーンの方。チカの仕事柄か、キスの意味合いを深く求めている感があり、むしろそちらの方がよほど官能的と言えた。そして、<キス>に重点を置いた作品で面白くなかった作品は、私の経験から言ってほとんどない。<キス>をいかに色っぽく描いているか、ラブストーリーを評する以上、それが直接ではないにしても、大きなポイントになり得る要素のひとつであることに間違いはないだろう。
フツーのサラリーマンだが、昔からとても誠実で朗らかな人柄の千宗と、その千宗にベタ惚れのチカ。「攻め<受け」という関係が、その巧みな手管によって「受け<攻め」というバランスに変わっていく様も非常に面白い。
そしてやはり、なんと言ってもそのキャスティングが見事だということ。意地っぱりと素直の両面を持ち合わせた千宗を演じるノジケンがさすがだし、どこまでも丁寧語、自分の奴隷たちにすら丁寧語攻めのご主人様な子安氏には、終始、子宮を持っていかれる思いだ。更には、チカの同僚でやはり多くのスレイブを抱える<ご主人様>に一条氏、ゲイの溜まり場であるバーへ初めて千宗を導いた彼の上司に増谷氏、と、脇を固める面々がエロ声・・いや、美声オンリーなのもまたスゴイ。
繰り返すが、ストーリーは至ってシンプル。だが、シンプルだからこそ、設定を生かす精巧なプロットが必要なのであり、そういった意味で、非常に満足度の高い作品だったと思う。作品の満足度は、決してストーリーの良し悪しではなく、エンディングに行き着く過程の描き方であり、この作品に関して言えば、要するに<発想の勝利>といったところだろう。加えて、キャラの魅力とそのキャスティングの妙、そのバランスのよさこそが秀逸である所以なのだろう。
<伝説のSMプレイヤー>などというコピーに騙されず、純粋に<ラブストーリー>として楽しめばよいと思う。案外、ラブラブでほのぼのとした秀作であるはず。お薦めです。


ムービック(キャラCDコレクション)☆誓約のうつり香☆



絶愛 1993
尾崎南
東芝EMI
★★
速水奨×子安武人 山口勝平 西原久美子
あまりに久々に聴きました。でも、何度聴いても印象はあまり変わらないなあ。(笑)
これ、惜しいと思うんだよね。もし、メインの年齢設定が、せめて、あと5歳高ければ、全然違うものになる気がするのだけれど。だって、どう考えても無理があるよ、速水氏に16歳は。その不自然さは、むしろ、子安氏の16歳が自然に聴こえるほどで。こんなフェロモン垂れ流し声の16歳、絶対にいないでしょ。いや、でもこの設定だから面白いのかな〜?それにしてもいい声なんだよね、速水氏。とにかくしびれます。
ストーリーは、救われないほどのヘビーさで、終始ドロドロしており、確かに好みではないのだけれど、それでもメインの二人の熱演に、ついつい惹き込まれてしまう。気の毒なのはむしろ拓人の方なのに、晃司の悲劇のヒーロー然としたナルシスト振りが、めちゃ、笑える。あまりに思い込みの激しいモノローグに抱腹。詩人だわストーカーだわ、自分の妄想に自ら身悶え、鼻血とか出しちゃうわ、中盤からは、もう大爆笑の嵐で、お腹よじれます。やっとのことで最愛の拓人と結ばれようとしたときに、爪を立てると床に傷がつく、と、何より床を心配する神経質な一面が露呈する晃司、いや、もうサイコー。
それでも、あんまり聴けない、子安氏の「抱けよ」なんていう台詞が聴けるなら、これもありかも。(い、いや、ないかも〜?汗)




せつない恋だぜ
高坂結城
インターコミュニケーションズ
★★★
子安武人×上田祐司 高木渉 中島麻実
これまた、レビューのために、久々に聴いてみた。
この作品は、私にしては珍しく原作を先に読んでおり、大好きな二人がメインであったのだけれど、当初、実はキャスト的に、あまりイメージではなかった。と言うのも、「透き通るようなテノール」というところはともかく、学校ではナンパな印象の雄二が子安氏であり、私的には、むしろナンパな印象は上田氏の方で、彼が純情ボーイ、しかも受け!?というのが最初の正直な感想であった。しかし、聴いてみたら、意外とよかったんだよね、これ。
渉(高木じゃないよ)に、無記名のラブレターが届き、しかも男からであるにもかかわらず、渉はなんとなく浮かれる。親友である雄二(祐司じゃないよ)に相談する一方で、自らその相手を捜索しようとする渉だったが、親友だと思っていた雄二の態度が豹変してしまい、戸惑う。
可愛いキャラなはずの渉なのに、上田氏がまた思いがけずマッチしていることに驚いた。(←すごく失礼)自分が書いたラブレターの返事を読む件りなんかは本当に可愛くて、大いにマル。
また、子安氏の言葉攻めが、恥ずかしいほどにセクシー。お前ほんとに高校生か?な色っぽさで、せつないです。こんな告白なら、絶対に落ちるだろ、的な抑揚。お願い、やめて。
絡みは、原作の方がもうちょっと濃いのだけれど、上田氏の吐息の方が全然ヤバイです。お願い、本当にやめて。
オチを全部ルーカスに持っていくのはどうなの?という感はあるが、それでも、子安氏の大人げない(笑)熱のこもった演説の迫力に笑えます。


インターコミュニケーションCD☆せつない恋だぜ☆