略奪せよ
水戸泉
モモアンドグレープス
★★★
子安武人×緑川光 楠大典 松本保典 宮田幸季 浅野まゆみ
浜田賢二
わーい!!海賊という設定だからなのか、なんだか妙にアニメチックなノリで、すっごく面白かったです。いや、ストーリー自体はね、まあ先の展開が読めちゃうような印象も確かに否めないのだけれど、ざくざくと気持ちよく進展していくし、エピソードにも無駄がない。<正義の海賊>的なオチは正直言って蛇足だった感はあるが、既にリリースが決まっている次回作に期待を抱けるほどには、序章としては及第点と言えるだろう。そして、その期待を抱かせる何よりの要因は、間違いなくレイノルズ(子安)というキャラだろう。
海賊のキャプテン、ということなのに、なぜか「豪華客船で・・」の船長みたいな、少し気障なキャラクターを勝手に想像していたのだが、それは非常にいい意味で裏切られた。声のトーンはいつもの<ちょっとがんばっちゃってる二枚目声>なのだけれど、これがなんともお茶目なキャラで。このところ、BL作品ではクールで歪んだ二枚目キャラばかり続いていた子安氏だったが、この作品では、声はそのままに、やんちゃチックで可愛いセリフを聴くことができる。そのボヤきとツッコミ、さらに時々聴ける囁きがまたたまらない。欲目と言われようがなんと言われようが、こんな子安武人が私は大好きです。
そしてミドリン演じるルークは、生真面目で融通の利かない勝気なお姫様、といった感じ。海軍士官である立場と男としてのプライドから、なかなかレイノルズに対して素直になることができない、なのに素直になっちゃったときにはもの凄い破壊力を見せる、いわゆるツンデレキャラ。ていうか、ぶっちゃけていいですか?私、南原作品以外で、子安×緑川を聴いたのは、おそらく初めてだと思うのだが、<略奪>というよりは<人質開放>に近いね。急に呼吸が楽になったかのようなこのリバティーかつフリーダムな空気(笑)は一体何?
あともうひとつ、すげー個人的に言わせてもらえば、一人称が「私」の子安氏が、あまりにルークルークと連呼するので、しかも傍らにいるのは松本保典・・・・そんな、どこのネクロマンサーだよ!的な萌え設定に、呼称が提督ではなく大佐だったら・・そんなことを思う腐女子は私だけではないはずだ。
と、まあ、余談はそのくらいにして。
大胆に展開していくストーリーの中で、ルークのモノローグがそれなりに丁寧なのは有り難くはあるのだけれど、感情的な口語調の独白は正直ちょっとウザイ。感情の起伏が大きいキャラだからこそ、モノローグ自体は抑制の効いたそれの方が相応しいような気がした。それと、ラストのレイノルズとキリンズが対峙・決闘するシーンだが、あれだけで状況を把握することができる人間は果たしているのだろうか。全体を通して、SEはそれほど悪いとは思わなかったが、あのシーンに限ってはリスナーが置いてきぼり、あまりに不親切すぎるというもの。説明不足です。
あとは、他のキャストにしても楠さん、松本氏、浅野さん、浜田くんと、脇も安心して聴ける面子だったのも嬉しかったし、何より、黒いヘリちゃんを久々に聴けた?この喜び。今回はほんの紹介程度だったが、次回作以降がとても楽しみ。
ただ、性描写は結構多めだと思うのだが、このメインキャストであるにもかかわらず、なぜか萌えではなかったんだよね。キャラの割りにルークの受けが必要以上に女性的だったというか。あとはあれだな、Hシーンのラストに無駄なエコーが効いていたこと。今時まだそんな方法でフェイドアウトさせるなんて、ある意味驚きだ。
とりあえず、前述のように続編、そしてそのまた続編のリリースまで決まっているようだが(笑)私は買います。つか、このキャストで私が買わないはずがありません。珍しく<男っぽい>キャラを演じる子安氏に次回作も期待。


新譜☆0626祭2【特典付】●略奪せよ●



征服せよ
水戸泉
モモアンドグレープス
★★
子安武人×緑川光 松本保典 宮田幸季 成田剣 
剣のぶつかり合う音、そして君の胸のバラを散らす・・などと、冒頭からいきなり子安氏が冬芽先輩で焦ります。なのに、向きになるルークも可愛いな・・などという意味深なセリフ、ていうか、ルーク、ルーク言うな、その声で。しかも傍らでぼやくのは松本保典・・絶対に意図的だ。
海賊のキャプテンと王室直属の諜報員という二足の草鞋を履くレイノルズだが、今回はどちらかと言うと副業の諜報活動の方に重点を置いたオハナシ。本業の方は、ついでだからお宝も奪っちゃうか、みたいなノリ。
海賊だの国の諜報員だのという時点で、ファンタジーなことはファンタジーなのだけれど、ストーリーの結末まで吸血鬼伝説や人魚伝説に頼ったらいかんだろ的曖昧なオチっぷりにがっかり。どのシーンでもずっと霧がかかっているというすっきりしないイメージの中、作品自体ももやもやとしてあやふやなままに終わっている。
で、キャラだが。レイノルズともあろう人がなぜ自分なんかを、と卑下しているものの、それでも何とか彼の役に立ちたい、力になりたい、使命を果たしたい、そういう健気な想いがいつも空回りするルークは、生真面目でありながら天然という、とても可愛いキャラ。一方、レイノルズから一人前の男扱いされないことに、また、自分のものとして特別視されることに反発して向きになる、そんなルークが可愛くて仕方がないといった様子のレイノルズ。まあ、それは理解できるのだけれど、そんな<お姫様とそれを守るナイト>みたいな関係には萌えを見出せないんだよね、もう。素直になれないルークに対して、剣の勝負で負けたら夜伽、というのも確かに解らなくはないが、あまりに使い古されているというか。お姫様の危機にそれを見透かしたかのように間一髪で現れるナイト様、そんな御伽噺にはほんと、いい加減飽き飽きで。
ただ、互いが互いに手を焼きながらも、その実、互いを信頼し思いやっている様は、ムカムカするほどのラブラブっぷりで、特に、傍若無人なようでいて、時には些細なわがまますら必死で懇願するレイノルズには口元がゆるみます。そして、その情けなくも可愛いレイノルズからカッコいいレイノルズまで、メリハリのある演技で魅せてくれる子安氏がまたさすが。更に、ウォンシャー公の正気と狂気の狭間のような演技は、やっぱり成田氏の十八番とも言うべき迫真さで、とても聴き応えがありました。
しかし、ファンタジーのオチを更なるファンタジーに押し付けた感のある、納得のいかない結末は、やはり評価できるものではなく、前作のワクワク感を自ら裏切るカタチとなってしまい、残念。次に期待・・かな?





君臨せよ
水戸泉
モモアンドグレープス
★★☆
子安武人×緑川光 大川透 楠大典 松本保典 宮田幸季
浅野まゆみ 浜田賢二
よかった、これで完結してくれて、というのが本音。これ以上続いてもいいことはあるまい。
今回はまた、回りくどいというかややこしいというか、 一人一人の行動の必要性に今ひとつ説得力がないというか、前半は何度か聴き返さないといけない感じで、ちょっとイライラさせられた。王室のために一芝居打ったのかと思っていたが、結局はルークのためだったり、ていうかほんと、レイノルズはルーク以外はどうでもいいんだなあ、と。(笑)
しかし、これはまあシリーズの1作目からなのだけれど、レイノルズがどうしてここまでルークに執着するのかがイマイチわからないというか、その弱さが最後まであとを引いてしまったかなあ。しかも、シリーズを通してエロが占める部分が多いので、つまりはからだ目当てか、と思われても仕方がないというか、ゆえにレイノルズの甘々なセリフもどこか空々しいというかね。
ストーリーは国と国という結構スケールの大きな話なのだけれど、すべてが内々のうちに、延いてはレイノルズの胸の内で事が運んでいる印象があり、確かにレイノルズのカリスマ性は感じるが、せっかくのファンタジーをつまらないものにしてしまっている気がする。フリートークの誰かのコメントではないが、もっと迫力のある海戦シーンなんかがあってもよかったかなあ、海賊ものなんだし。最後がいつもレイノルズとラスボスとの一騎打ち、というのも芸がなさ過ぎ。海賊という設定と海という舞台でものを書ける力量ではないのでは?
さて、声の方だけれど、ファンタジーならではの芝居くさい芝居が出来て、どうやら演じ手の皆さんは楽しかったようで何よりだ。私としては「ふははははは※」と笑わせたらもはや右に出るものはいないであろう大川さんの、非常に大川さんらしい悪役が聴けたのでもの凄く満足だ。
もう一枚のディスクには、書き下ろしの番外編ショートストーリーとフリートークを贅沢に収録。そのショートストーリーの方は、これまたそんなに面白くはないのだが、レイノルズがルークに執着する理由の断片を聴くことが出来る。フリートークの方は、「降臨せよ」だの「克服せよ」だの、続編タイトル候補が飛び交う中、ギャラドロボーとみんなに責められているヘリちゃんが可愛すぎます。いや、でもマジで続編要らないし。

※「ガンパレ」の芝村準竜師など