ロマンティスト・テイスト
坂井朱生
ムービック
★★★★☆
小杉十郎太×石田彰 塩沢兼人 岡野浩介 柏倉つとむ
遠近孝一 小林優子
全身に刃物を纏ったかのような17歳の美少年・晶(石田)は一人で生きている。バイト先で出逢った無愛想な男・孝平(小杉)に牙を剥く晶だったが、切羽詰った事情で、心ならずも孝平を頼ることになる。
晶が、悪態をつけばつくほど、口汚い台詞を吐けば吐くほど、せつなくなる。子どもが一人で生きるための術として身につけてきた刺々しい殻、それを受け止める孝平の懐の深さにしびれる。孝平の前でだけ妙に子どもっぽさを露にする晶と、普段の無骨なイメージが一転して可愛らしさを垣間見せる孝平、その魅力もさることながら、二人のバランスがとても心地よい。
キャストだが、まず、孝平の小杉氏がすごくいい。と言うのも、孝平が可愛く思えてしまうのは、小杉氏であるからに他ならないからだ。「ごはん」の玖珂や「お金」の狩野も、そんな小杉氏の上手さなのだろう。もしかしたら、ただただ渋いだけの攻めキャラになりがちかもしれない役どころを、こんな風に魅力的に演じてしまうあたり、見事である。そして、仕切り屋で嗾け屋の青山を、塩沢氏が好演。他ではなかなか聴くことのできない、お茶目な塩沢氏を堪能できるだろう。何より晶の石田氏だが、17歳という役でありながら、クールボイスのなんとも男前な声。
そしてそして、この作品の最も素晴らしいところは、何をおいても丁寧で親切なモノローグであろう。石田氏がここまでたくさん喋っている作品も、「ふたりのひとりごと」を除けば、他にないのではあるまいか。絡みでの独白は賛否分かれる部分であろうけれど、私的には、非常に萌え。声とSEだけの絡みがほとんどであると言える中、新鮮である以上に描写が官能的であり、石田彰ファンにはたまらない一枚だろう。
期せずして主人公が「アキラ」であり、そういった意味でもたまらない作品となっている。


ムービック(ラキアコレクション)☆ロマンティスト・テイスト☆