ナイト・キャップ
新田祐克
サイバーフェイズ
★★★
中田譲治・鳥海浩輔×岩永哲哉
ホストもの・・・なわけだが、うーん。まず、鷹秋(岩永)に限って言えば、現在の鷹秋よりも7年前の鷹秋の方が全然しっくりきた。岩永・中田、両氏の声は嫌いではないのだけれど、ていうか、むしろてっちんは大好きなのだけれど、この作品に限ってのみ言えば、なんだかちょっと微妙。特に、多分二枚目っぽくしゃべっている際の活舌が、なんだかひどく不自然な感じに聴こえてしまうのは私だけだろうか。岩永氏のあの感じは彼の持ち味であるのだが、今回は必要以上に気になってしまった。多分キャラのせいじゃないかと思うのだけれど。
あと、私的に言えば岩城(中田)がね・・・・メインの攻めキャラとしては今ひとつ感情移入できなかったというか、攻めキャラであれ受けキャラであれ、どこかに可愛らしさが見えないとだめなんだよね。ただの二枚目では、どんなに渋くても、どんなにクールでカッコよくても、結局それだけで終わってしまう。要するに魅力的ではない、ということだ。もちろん好みの問題もあるかもしれないが。
ただ、それを相殺できるくらいに素晴らしいのが、BGMを含め、全体を流れる空気なんだよね。洗練されているというか、学園ものなどでは絶対にありえない大人な雰囲気というか。ほかのCDではなかなか聴けないような特殊なカッコよさを感じるので、とにかく続編には期待します。


CDドラマ WHEN A MAN LOVES A MAN「ナイトキャップ」

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ラスト・ワルツ
新田祐克
サイバーフェイズ
★★★
中田譲治・鳥海浩輔×岩永哲哉 櫻井孝宏 伊藤健太郎
剣崎(櫻井)と石井(伊藤)の登場で、作品自体がぐっと厚みを増している。前回、ただただ二枚目を通していた岩城も、嫉妬や動揺を見せはじめ・・・・うーん、でもやっぱりあまり可愛くはないんだよね。
ただ、他のキャラが凄くいい。若い=バカ正直、の定義をまったく裏切らない真っ直ぐさ。でも、ただただ真っ直ぐなわけじゃなくて、みんな、どこかちょっとずつ歪んでいるというか。その歪みがまたたまらなくいいんだよね。
しかし、なんだか鷹秋のいい子ちゃん振りが鼻についてしまうというか、挫折がない人ではないはずなのに、あの爽やかさはなんなんだろう的な疑問が拭えない。この物語の背景が、まったく別のものならそれもアリだとは思うのだけれど、ホストという設定上、どうしても違和感が拭えないんだよね。ドロドロ加減は、ストーリー的にとても面白いと思うのだけれど、キャラの魅力、という点でどうしても今ひとつインパクトに欠けるというか。逆に、大してつまらないストーリーでも、キャラやキャストのバランスがよかったりすると、すっごく心に残ったりするのだが、そういった意味で、ちょっとアンバランスな感が否めない。
ただ、やはり大人な雰囲気とカッコよさは他の作品にはない、何とも言えないものがあって、有無を言わさず惹き込まれる魅力があり、展開によっては大きく化ける可能性大。


CDドラマ WHEN A MAN LOVES A MAN「ラスト・ワルツ」

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DA・TE
新田祐克
サイバーフェイズ
★★★☆
鳥海浩輔×岩永哲哉 中田譲治 櫻井孝宏 伊藤健太郎
この作品は、本編「ナイト・キャップ」「ラスト・ワルツ」に至るまでの主要人物5人の、言わばサイドストーリー的な話をオムニバスにまとめたもの。ただ、決して補足的な感じではなく、ひとつひとつがちゃんとした作品に仕上がっているし、もちろん本編を更に深く掘り下げていくにあたって、非常に重要な要素を含んでいるように思う。正直、本編よりも面白かったです。
1話目。「相手の気持ちを計算できる男を悪い男というなら、薫君にだって充分その才能はあると思うけどね」
新川が、鷹秋と出会うことで大きく運命が変わっていく様を、ざくざくと描いたもの。新川が惹かれたのは、誰も教えてはくれなかったことを身をもって教えてくれた鷹秋の、鷹秋であるゆえの、自信。ただ、それこそが信じるに値する、と、新川は鷹秋の存在に比類なき価値観を見出していく。
2話目。「自分を信じるのに根拠なんていらないんだ」
高校時代の剣崎と石井の話。「ラスト・ワルツ」の前半で、なにかと小憎らしかった二人だが、あまりに可愛い一面に嬉しくなる。石井が惹かれたのは、剣崎の、「いつかはてっぺんへ駆け上がれるはずだ」という、根拠など必要のない、自信。ただ、その根拠のない自信にあふれた剣崎に対して、石井は友情とも言えない別の価値観を見出していく。
3話目。「俺がきらいなもん、あいつがするわけ、ないじゃん」
鷹秋にインタビューをする、という形式で、鷹秋と新川のエピソードが赤裸々に(そこまで言う必要があったのかと思うくらいに)語られている。理想を具現しているのがトップの人間で、それに傾倒していくというナルシズムの延長、口ではそういいつつ、新川に対しては、決してそう思っていない鷹秋の、自信。それは信頼なのか、それとも別の何かなのか、その時点ではまだ判断できない布石のひとつ。
4話目。「忘れたいと忘れられないは同意語だ」
剣崎の、岩城に心酔するがあまりに鷹秋と新川を憎むに至る経緯。それと同時に、これは先の展開への布石でもある。大切な人のプライドが揺らぐ姿に、そのベクトルは否応無しに鷹秋に向かう。ただ、ここで一番気になったのが剣崎のモノローグなのだが、それがどう聴いても剣崎のものではなく、櫻井くんのモノローグにしか聴こえないんだよね。モノローグになると、急に剣崎ではなくなってしまうというか。口語調だからかもしれないけれど、これは私的にはちょっとマイナスかなあ。
あと、一番印象に残ったのが、新川は何で貴明なのかな?と、ずっと気になっていたのだが、それが凄くカッコいい手法で描かれており、満足すると同時に、ちょっとした感動さえ覚えた。
しかし、今回も謎に包まれたまま解明されなかったのだが・・・・だから「ウルシザキ」っていったいダレよ?


CDドラマ WHEN A MAN LOVES A MAN「ダテ」

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イロコイT
新田祐克
サイバーフェイズ
★★★★
中田譲治×岩永哲哉 鳥海浩輔×櫻井孝宏 伊藤健太郎
いいね〜、いい感じになってきたよね〜。
一番の聴き所は、剣崎の精算のための独白だったと思う。覚悟を決めた剣崎は、今までの憎たらしさを180度挽回し、愛くるしいキャラに変貌した。剣崎がこのままのキャラだったらちょっと虚しいな、と思っていたので、これは非常に嬉しい誤算。それに、とにかく素晴らしいと感じたのは、前作で「櫻井くんのモノローグにしか聴こえない」と書いたのだが、今回はそれがまったく感じられなかったことだ。1年の時を経たとは言え、信じられないほどに剣崎のモノローグとして心に響き、正直なところそれに一番感動したと言っても過言ではない。
そして、特筆すべきは、鷹秋と新川、二人それぞれの男泣き、これに尽きた。カッコいいやらせつないやら、鳥肌が立つほどに心揺さぶられた。
ストーリーとしても面白くなってきて、メインキャラ5人の魅力も飛躍的に増してきた。彼等の関わり合いの中で生じるこのドロドロ感とカッコよさは、しつこいようだが他の作品では絶対に味わえない種類のもの。男同士のちょっとハードな心理描写に、まんまと填められた気がする。容赦ない展開と先が見えないシナリオの上手さも見事です。


サイバーフェイズCD☆イロコイ I☆

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イロコイU
新田祐克
サイバーフェイズ
★★★★
鳥海浩輔×岩永哲哉 中田譲治 櫻井孝宏 伊藤健太郎
過去の絶望から、鷹秋に染み付いてしまった、他人との温度を保つ癖。一見、人に期待させすぎない優しさは、鷹秋の弱さでもあった・・・か、なるほどねえ。
お前のためだ、という、ずるい大人の言い逃れを、新川は許さない。その一途な思いから逃れるため、岩城を言い訳にした思惑も、すべて裏目に出てしまう。追い詰められた鷹秋は、実家・金沢へ逃れる。言い逃れに言い逃れを重ねてもかわしきれない、けれど今更後戻りもできない、そんな鷹秋の葛藤がひどくせつない。しかし、ずるさも弱さも、全部承知の上の決断すら、未練は苛立ちとなり、揺らいでいく。
一方、幼稚な愛情を振り回す新川、自尊心を砕かれながらも大人な姿勢を崩さない岩城、胸に強い決心を抱くものの、新川のあらゆる挙動に一喜一憂する剣崎、彼らのドラマひとつひとつがまた、非常に聴き応えのあるものであり。
そして、何より鳥肌が立ったのが、仕事に、街に、恋愛にいつか捨てられる恐怖、それゆえの臆病さを岩城に吐露するシーン。これがあまりに迫真で、特に鷹秋の泣きの台詞には、思わず胸が詰まった。せつない、本当に、せつない。
新川、岩城、剣崎、彼らの痛みは、ともすれば、鷹秋の優柔不断が招いた傷であるかもしれないが、鷹秋もまた、必死だったのだろう。そして、実は誰よりもプライドにしがみついていた臆病な部分、それも含めてすべて、鷹秋なのだろう。
ただ、岩城はもちろん、剣崎の心の葛藤は、聴いているこちらの方もキツイものだった。鷹秋の、あの畳み掛けるような口説き文句には、さすがに抗えない説得力があり、まして、渇望していたその人を目の前に、堕ちていく新川を目の当たりにした剣崎の苦しみは如何ほどなものだっただろうか。「新川は物じゃねえ!」という捨て台詞には、思わず涙腺が緩んだ。
とにかく、岩永氏の泣きの演技には、今回もやられた。そして、開き直った新川を演じた鳥海くんも、怖いくらいに迫力があった。中田氏の渋さは言うに及ばず、何より、櫻井くんのモノローグは、剣崎のモノローグとして、実に心に響くものであり、せつなさに拍車をかけた。シリーズが進むに連れ、どんどん惹きこまれていったわけだが、ここまで面白くなるとは、実は思っていなかった。そういった意味で、これほどいい感じに裏切ってくれた作品も他には無いだろう。素晴らしいです。


サイバーフェイズCD☆イロコイ(2)☆

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ウブT
新田祐克
サイバーフェイズ
★★★★
鳥海浩輔×岩永哲哉 中田譲治 櫻井孝宏(×鳥海浩輔) 伊藤健太郎
いや〜、しびれたね!何でこんなに面白いかな。でもって、何でこんな終わり方するかな!?(怒) とりあえず次のリリースが決まっているからいいようなものの・・・・ちっ、待ち遠しすぎる!
もうね、とにかく男の可愛らしさ、そして男の女々しさがドラマの随所で全開。いつまで経ってもすっきりしない新川の胸のもやもや感、それを煽る鷹秋の、仕事に対してはどこまでも誠実且つ切れ者な印象を懐く一方、こと恋愛に関してあまりに不器用な幼稚さを見せるそのちぐはぐさ、というか、見方によってはイライラするほどの鷹秋のパーソナリティーなわけだが、しかし、その不可解さこそがこのドラマの最もドラマらしい部分を支えている気がしてならない。そしてキャラの可愛さ、という意味では、剣崎はもう神の域だろう。「周りの価値観に流されない」などと、好きな人に核心を突かれ、きゅん とならない方がおかしいだろ的な新川がまた残酷・・・・そしてどこまでも気の毒な剣崎(涙)
新川が鷹秋に対して懐く畏怖、剣崎が新川に対して懐く畏怖、それは恋する者の気持ちとしてはあまりに尤もで、しかし、それゆえ安心できないことに苛立ち、他に安らぎを求める新川と、好きだからこそ、ただただ、そばにいたい剣崎の対照的な思いが、偶然なのか、必然なのか、改めて重なり合うわけだが、それすらも、まるで薄氷を渡るかのように酷く不安定な様相を呈す。いや、個人的には剣崎の思いが成就してくれれば、と思わないでもないが・・・・キビシイだろうなあ。
あとは、石井の思いがけず的を得た客観的な正論(笑)だったり、岩城のカリスマを通り越して隠居然とした落ち着きっぷりの中にも垣間見える激昂だったり・・「あのガキ・・・!」はよかったな〜、脇キャラも魅せてくれます。ていうかあれだね、こういったシリアスなドラマから聴こえてくるイトケンの声は、妙にほっとする・・というか、なんだか安らいじゃうよね。
どんな風にケリが着いても誰かが傷付く、と解っていながら、それでも先の展開に思いが馳せる。続編のリリースを心待ちにするなどあまりに久しぶりで、なんだか嬉しくなっちゃうね。


新譜☆☆ウブ 1☆ 新譜☆【5/25・予約特典付】●ウブ 2●



春を抱いていた
新田祐克
インターコミュニケーションズ
★★★☆
三木眞一郎×森川智之 井上和彦 鈴木千尋
二人のAV男優が、お互いに惹かれていく様を描いたもの。私としては、プロセスを楽しめる数少ない嬉しい作品のひとつ。
置かれている状況と年齢の割りに、妙にすれていない常識人の岩城(森川)。脳天気で明るくて、なのに時々めちゃくちゃ大人な香藤(三木)。この香藤、もう、三木氏のために用意されたような役、と言ってしまおう、填りすぎ。ただの軽い男ではない可愛さと底の知れない深さが妙に魅力的。ノリがよく、一見後先を考えない強引さを持っているようで、実はナイーブ且つ繊細。一言多いバカっぽさもたまらない。攻めキャラ、と断定してしまっていいのかよくわからないが、だとしても、三木氏の攻めキャラの中では、一番好きかも知れない。
佐和の自宅の玄関先で香藤を待つ岩城の姿を、後に佐和が小説に書くわけだが、その表現がまさに彼らの心理描写とシンクロしており、とても印象深い。
撮影が終わり、香藤が岩城に殴られた直後の告白、思いのほか熱いそれに追い討ちをかけるBGMが、めちゃカッコイイ!!
にしても、森川三木の両氏、ほんとに上手いな〜。


インターコミュニケーションCD☆春を抱いていた(1)☆

*

春を抱いていた 2
新田祐克
インターコミュニケーションズ
★★★
三木眞一郎×森川智之 鈴置洋孝 伊藤健太郎 野島裕史
新田作品て、どうしてこうもじわじわとよくなるんだろうね?そんな感じの、不思議な魅力が、この春抱きにはあると思う。エピソードのひとつひとつがきっちり過程なのだが、展開がスピーディーに感じるのは香藤の性格によるものだろう。香藤のバカな妄想も手伝って、岩城を振り回しながらも関係を温めていく。
ただ、岩城のキャラが私にとっては今ひとつ。「男が男を・・」シリーズの鷹秋同様、生真面目ですれていない受けキャラなわけだけれど、香藤が可愛い可愛いを連呼するほど可愛くはない。でも、その性格だからこそ、おバカな香藤とのバランスがいいのかも知れないが。
香藤の浮気発覚疑惑というエピソードだが、あまりにありがちと言えばありがち。しかも、お父さんの手紙、という展開は、なんだかあまり好みではなかったなあ、クサくて。
後半の菊池絡みの話も、鈴置氏の当て馬ぶりにはいつも通り安定感が漂うのだが、先の展開が読めすぎて、ちょっと興醒め。でも香藤@三木氏の健気さに救われ、せつなくていい感じの展開に。こういうところが三木眞のすごさだと思うんだよね。そのあとのシーンも、めちゃめちゃ色っぽいです。
金子役の野島兄が、逆上した香藤を抑えるために叫ぶシーンがあるのだが、その声がイトケンと似ていて、最初はイトケンの二役だと思っていた。にしても、「イワキキョウスケ」とか「カトウヨウジ」、「ウルシザキ」というのは新田作品の共通キャラ名なの?


インターコミュニケーションCD☆春を抱いていた(2)☆

f

春を抱いていた 前世編 〜冬の蝉〜
新田祐克
インターコミュニケーションズ
★★★
三木眞一郎×森川智之 森久保祥太郎 小野健一 
パスコレの「BL裏話1」で、三木氏が「ストリベリーデカダン」を熱く語っているのを聴き、身震いするほど嬉しかったので、もしかしたら、と、ものすごく期待して聴いてしまったのが悪かったのか、あまり泣けるはなしではなく、ちょっと残念。しかも、ほぼ同時期に聴いた「海二眠ル花」がよかっただけに、どうしても比べてしまう。確かに<時代もの>ということ以外、全然違うと言えば違うのだけれど、好みという点で「海二・・」が優ってしまった。
ものすごく個人的なことだけれど、戊辰戦争に所縁のある土地で育った私にとって、幼い頃から慣れ親しんできた話が大筋だったこともあり、背景は非常にわかり易かった。ただ、絶対的な立場におかれている二人が、容赦ない運命に飲み込まれていく、という展開は、今までにもたくさん耳にしており、せつなくなるには、プロセスにしても、タイトルにもなっているモチーフや、それに対する伏線にしても、少し弱かった印象。でも、キャラとしては、岩城より秋月の方が好きだ。時代設定のせいか、秋月の純粋さが頗るよい。茶屋や盛り場での秋月のはしゃぎようが、非常に可愛く、春画の件りで草加が秋月を可愛いと思う過程が、とても自然に思えた。せつなさは足りないが、ひどく美しい作品ではあった。
時代を経て現代に戻り、なぜか急にオカルトチックなラストだが、香藤のおバカぶりとのギャップがいい。住職はブックレットにもキャストの記載がなかったのだけれど、もしかしたら森久保祥太郎・・だろうか?だとしたらそれはそれですごいな。
それはそうと、「布団」というアイテムは、ベッドなんかより新鮮でいやらしく、かなりイイ感じです。


インターコミュニケーションCD☆冬の蝉 春を抱いていた ―前世編―☆

3

春を抱いていた 3
新田祐克
インターコミュニケーションズ
★★★☆
三木眞一郎×森川智之 井上和彦 田中秀幸 野島裕史
前半冒頭の岩城の部屋の件りが、エピソードとしてはすごく好きだ。岩城の明確な心理描写が、たまらなくいい。香藤との間に築いてしまっていた壁を取り払う瞬間の岩城のモノローグが、せつなくてしびれます。そして、引越し後の絡みだが、なんだかすっごくいやらしくて、大いにマル。
後半、岩城の家族を巻き込んだストーリーだけれど、岩城の性格に、育ってきた家庭環境が大きく関係していることがわかる。それは、私自身が岩城の魅力を見出すことに一役かっていて、個人的にはとてもよかった。容赦ない怒りをぶつける岩城兄@田中秀幸氏も好演であったし、何より岩城パパ@飯塚昭三氏が、まるでヤ○ザの親分のような貫禄を見せており、圧巻。そして、岩城の熱い台詞が、思い切りタイミングを見計らったかのようなBGMと重なり、それがまためちゃくちゃカッコイイ。ほんと、新田作品のBGMは「男が男を・・」シリーズ同様、すごくステキで、これ、サントラにして出して欲しいほどだ。
前作まで、見せ場を作ってきたのは香藤だという印象が濃かったが、今回に限って言うと、私を一番せつなくさせたのは、やはり岩城の、自分の殻を自ら破ろうと踏み出した一歩だったり、家族への告白だったりした。それにしても、あまりにバカっぽいのに、香藤のあの鋭い観察眼はどうだろう。香藤、ステキすぎです。そしてラスト、そんな香藤と出会ったことで変化していく自分を認めた、男らしい岩城の独白は、ひどく心に残るものだった。


インターコミュニケーションCD☆春を抱いていた(3)☆

4

春を抱いていた 4
新田祐克
インターコミュニケーションズ
★★★
三木眞一郎×森川智之 森久保祥太郎 野島裕史
愛する人の死を想像し、泣いてしまう岩城。なんと乙女チックな・・。そりゃ説得力もあるだろう、な展開。そして、前作で、あれだけ大人な顔を見せていながら、やけに子どもじみたやきもちをやく香藤だが、このギャップがたまらないのだろうか。シリーズ中、例外なく必ず香藤に用意されている泣きのシーンだが、やはり熱演で、ここでも三木眞の本領発揮、という感じだ。今回、二人ともにべそべそしていた印象だが、あまり女性化して欲しくないんだよね、特に岩城には。あくまでも男×男であって欲しいし、可愛さの演出なら、他の手法で見せて欲しいと思ったり。それに、岩城のモノローグが、また幼く自虐的なものに逆戻りしてしまっており、ちょっと残念。
「冬の蝉」に引き続き、ヒールの意地悪祥ちゃんはまた、超ラブリー。これだけで終わりそうにない匂いがプンプン。その浅野絡みでは、岩城の微妙に天然な純粋さが炸裂。そして、その岩城の純粋な思いを守ろうとする香藤の健気な策略が胸にきます。
しかし、信頼関係を描くのに必要だったかもしれない記者会見のシーンだが、私的にはイマイチ。この手の展開はいつも、聴いている方が気恥ずかしくなっちゃうんだよね。別会場での会見というメソッドで伝えたかったことはわかる気がするのだが、揺るがない信頼、という部分では、「DA・TE」の鷹秋が新川に寄せる信頼が、ものすごい自信を見せながら、あまりに鮮明でかっこよかった印象が強く、比べてはいけないと思いつつも、心揺さぶられるにはどうしても少し弱い。
ただ、シリーズ全作を通して、これだけセックスを強要しているにもかかわらず、それにいちいち愛を感じる攻めキャラは本当に珍しい。性描写もどちらかと言えば多いはずなのに、それが「やってるだけ」に聴こえないのは、やはり香藤のキャラだろうか。そういう意味では、非常に奇特な存在であるかもしれない。


インターコミュニケーションCD☆春を抱いていた(4)☆



春を抱いていた 5
新田祐克
インターコミュニケーションズ
★★☆
三木眞一郎×森川智之 諏訪部順一×鈴村健一 ゆかな 政宗一成
前半と後半の2編に分かれた構成。前半は香藤の妹の出産に絡めたオカルト話、後編は旅行先で出会った別カップルを絡めた結婚式ネタ。
まず前半だが、家族ネタはむしろ好きな方なのだけれど、ましてこのシリーズの家族ネタはとても印象深く、非常に対照的な家庭に育った彼等を強い絆で結びつける要因のひとつであり岩城が自ら築いた壁を壊す手段にもなった過去の、私的にはシリーズで一番好きなエピソードでもあり、それぞれの家庭環境の際立った対比の描き方はとても効果的だった。しかし、「冬の蝉」のラストあたりからオカルトチックな要素は含んでいたけれど、今回の方向性はかなり疑問。メインカップルの見事な熱演をよそに、ストーリーに対しては心揺さぶられる要素が全く無い。ただ、アニメではまずありえないであろうゆかなさんの出産シーンなどという貴重な演技を聴くことができたのは唯一の収穫かも。
そして後半。プレゼントにしろ別カップルにしろ結婚式にしろ、正直言って陳腐極まりないどうでもいいような内容。様々な派生物を生みながらそちらに感け、本編をお留守にした感の出てきたこのシリーズ。いくら演者が達者であろうとも、つまらないものはつまらない。要するに、飽きた、ということだ。続編、もしくはシリーズ化で評価が落ちていく作品のほとんどが、既成カップルのその後を描いたものである場合が多い。シリーズファンにしか楽しめない<ファンディスク>だと認識させてしまったら、それはそれで失敗なのだと思う。既成カップルのその後を作品にするということは、それほど難しいということなのだろう。ただ、この「春抱き」に関して言えば、キャラが魅力的なだけに、どうしてもそれ以上の<何か>を期待してしまう。人気シリーズと謳われるのは、それだけのものを背負うということでもあるのだと思う。
キャラクターとキャストが、ここまでがっちりと填った作品も少ない。シリーズを存続させるには、それだけで充分な理由にはなるのだろう。いい意味でも、悪い意味でも。


インターコミュニケーションCD☆春を抱いていた5☆

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カジノ・リリィ
新田祐克
インターコミュニケーションズ
★★☆
諏訪部順一×鈴村健一 小西克幸 置鮎龍太郎
「春抱き」本編から派生した作品。新田さんの作品て、選ぶ題材がホストだったりAV男優だったりギャンブラーだったりと、比較的破天荒な印象があるのに、妙に「常識」とか「正義」とか、どこか「正しさ」みたいなものに従順なところがあって、どうしてもこじんまりとまとまってしまうというか、面白くなくはないのだが、キャラによほどの思い入れがない限り、なかなか心揺さぶられない。今回も、最後に主人公の泣きのシーンがお約束的に用意されていて、結構安易にハッピーエンドへ導かれていく。
諏訪部さんということで、カルロにはもっと艶かしさを期待していたのだが、結構受身だったり、置鮎氏演じるティファンも、もっと性質(たち)の悪い人かと思いきや、意外にもいい人だったりと、ちょっと拍子抜け。天才ギャンブラーと資産家、という、非常に美味しい設定であるにもかかわらず、中盤以降、ストーリー展開が少し中途半端な気がしたし、主要キャラの4人にしても、大して魅力を感じず、残念。
それでも、初めて真輝(鈴村)とカルロ(諏訪部)が賭けをする件りや、モナコでカルロが真輝を叱咤激励(笑)するシーンなど、要所要所のセリフがちょっとカッコよかったり、と、しっかり聴き所もあり。
ただ、キャラに魅力を感じない以上、もし次回作があったとしても、私は聴かないだろうなあ、とは思うけれど。


インターコミュニケーションCD☆カジノ・リリィ☆



公使閣下の秘密外交
新田祐克
ムービック
           ★★★
浜田賢二×森川智之 三宅健太 上別府仁資 増田ゆき 大橋佳野人 河本邦弘 保村真
新田さん原作ということで、色っぽさを求めて聴いてみたけれど、まあ、可もなく不可もなく、悪くはないけれど、決して面白くもない、そんな印象。