時代は現代よりずいぶん過去だろうか。架空の世界設定によるファンタジーだと思うのだが、事件現場における鑑識や検死など、その科学的なノリが変にリアルで奇妙な違和感を感じる。「作る少年、食う男」などという奇を衒ったタイトル、「北の死神」などというマッドサイエンティストチックな呼称、と、誇大なモチーフに踊らされ肩透かしをくった、そんな印象。更には、孤児であるものの神官となるべく育てられた割には品が感じられないハル、外科医から検死医になった経緯が明確でないゆえなんとも漠然とした人物像のウィルフレッド、と、キャラクターもそれほど魅力的ではない。
それでも、ハル(神谷)とウィルフレッド(子安)との出会いから、ハルがウィルフレッドの屋敷に通うまでは、物語の序盤としてはとても成功していて、その先の展開をワクワクと期待させた。しかしその期待も、ウィルフレッドがその堅物さからハルを遠ざけようとした辺りまでで、その後は尻すぼみも尻すぼみ、エピソードとしては遍く使い古されたものばかりで、べたべたと手垢の付き過ぎた、退屈な展開しか描かれていない。<堅物>というのは、属性的に私の最大の萌え対象であるはずなのだが、その<堅物>というキャラクターの描き方がちょっと下手クソ。堅物であるがゆえの可笑しさや可愛さ、切なさというものがあると思うのだが、そういったものが感じられない残念キャラで。更には、<悲痛な目にあっても強く明るい主人公>を描いている割に、その痛さが曖昧にしか描かれていないので、そういった類の同情や切なさも湧いてこないし、その前向きさに共感も覚えない。ただ、そのつまらないキャラクターを何とか魅力的に仕上げようとするキャストの努力だけはすごく伝わっていて、どうということのないセリフを、その抑揚と間の上手さでクスリと笑わせる演者がやはりさすが。成田さんの執事らしからぬ執事っぷりも光ります。しかし、如何せん新鮮味に欠ける内容と魅力的たり得ないメインキャラクターでは、それを覆すことは難しい。もっと言えば、唯一の絡みだと期待させた挙句の見事な朝チュン・・・・こんな、目の覚めるような露骨な朝チュンは久しぶりに聴いた気がした。いや、ある意味驚愕だ。当然、絡み無しもアリではあるが、こうも本編に面白さがないと、ただただ物足りなさを煽るだけであり、決して耽美などではない。
とにかく、タイトルからは想像できないほどありふれたドラマティックさに、裏切られた感が終始拭えない、そんな印象の作品。
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