| ボクサーは犬になる |
| 剛しいら |
| 日本コロムビア |
| ★★★★ |
| 堀内賢雄×伊藤健太郎 塩沢兼人 石川英郎 |
| まず、なんといっても音楽がすばらしい。せつないモノローグから緊張感漂うシーンまで、見事なまでに背景を物語るそれは、3人目の主人公、と言ってもいいほどに存在感があり。 この作品、(人間の)キャストが少なくて、ほとんどが先生(堀内)と徹(伊藤)、二人のやり取りなのだけれど、これ、すっごく面白かったんですよ。ものすごく簡潔に言ってしまえば、若く美しい変態外科医が、ボクサーの少年に恋するあまり、犬を仕掛けて誘拐、監禁、思いを遂げてしまう、という鬼畜極まりない話であり、本来、そういう身勝手な攻めキャラにはあまり感情移入できないのだけれど、自分勝手な狂気の中にも、紳士的で、なおかつ、徹に好かれたいと願う、あまりに健気な気持ちが混在しており、そのせつなさが先生を許してしまう。そして、そんな先生を演じた賢雄さんがまた、思い切りはまり役で。徹に噛み付かれ、逃げられたあと、試合を観戦した先生の独白、よかったな〜。ウルウルでした。 そして徹。先生が「天使のような」と喩えていたが、彼にとってはまさにそんな少年だろう。純粋で無垢な心を持ち、酷い目にあいながら彼を許し、それどころか彼を愛し、共に生きたいと願う・・うーん、やはり「天使」というよりは「犬」に近いとは思うが。その徹、完全なる飼育を受けながら従順なペットとして飼い馴らされていく。そんな風に表現すると、それってどうなの?という印象を受けるかもしれないが、それはお互いが望んだことであり、結果ーオーライなハッピーエンドなのだ。 似た寂しさを心に擁きながら生きてきた二人が出会い、かなり強引な手段ではあるけれど、お互いを必要としていくまでの過程が、詳細な心理描写と共にドラマティックに描かれており、とても惹き込まれた。 最後の「犬も語る」だが、ご主人様への愛を切々と語るカイン@塩沢氏の正しいドーベルマンの在り方講座(違う)がまた非常に楽しい。ドーベルマンの鏡ともいえる?カインと、そんな兄を訝るアベル@石川氏とが「徹は人間か犬か」を真面目に論じているのは、あまりに馬鹿馬鹿しくて笑えます。 |
| ドクターは犬を飼う |
| 剛しいら |
| 日本コロムビア |
| ★★★★ |
| 堀内賢雄×伊藤健太郎 岩男潤子 塩沢兼人 石川英郎 |
| いや〜、面白い。サスペンスじみた展開で、BLだということさえ忘れてしまいそうな作品。ほんと、この後味の悪さすら製作側の思惑通りであろう。美保に対する嫌悪感を含め、暗さも、重さも、狂気すら見事に描かれており、否応無しに惹き込まれていく。 今までにも、悪役と呼べるキャラはいくらでもいたけれど、ここまで救えないキャラクターは他にいないかもしれない。その身震いするような、頭のおかしい少女をを、岩男さんが熱演。とにかくすばらしいです。そして、まるで子どものような嫉妬で、厭味ったらしく徹にあたってみたり、美保と自分を比較対照して落ち込んでみたりと、可愛いような可愛くないような先生(笑)の大人っぽさと子どもっぽさのギャップを演じ分ける賢雄さんがさすが。そしてそして、イトケンさんがまたいいんだよね〜。幼くすねる先生を優しく諭す声が、妙に色っぽかったりするからすごい。前作と違い、余裕さえ思わせる徹の変化に、信頼の深さを感じます。刑事役の佐藤氏も、いい味を出していました。 前作に引き続き、番外編の「犬も歌う」だが。「その言い方は・・・ひゃめろ(やめろ)」な塩沢節が耳に沁みます。いろんなパターンで「美味い肉美味い骨」を歌う石川氏も、なんという芸達者。前作同様、お兄ちゃんの真似が上手すぎです。BGMの「犬のおまわりさん」がツボのはまりました。ただ・・先生と徹の歌に大差はない気がするのだけれど、気のせいですか? この二人、本編ではテレビの声でご出演。なんとなく笑いが漏れます。 |