私が初めて出会ったBLCD。そういう意味で、私はラッキーだったのだと思う。ボーイズラブではないドラマCDしか聴いたことがなく、しかも決してBLファンではない私が初めて手にするのに、これほどふさわしい作品もなかっただろう。原作の通り、露骨で余計な性描写はなく、古き善き「耽美」の世界を心地よく聴かせてくれる名作だ。
内容は原作の「兼次おじさまシリーズ」第3巻の「ストロベリー・デカダン」をほぼ忠実にトレース。コメディー色が強く、概ねコミカルである一方、ひどくせつない背景を見事に再現している。
とにかく笑える。でも、笑えるけど、せつない。兼次(子安)が式を目前にした太郎(三木)に、オスカーワイルドの詩を暗唱する件りや、教会での兼次のモノローグなど、もう、かなりせつない。原作の性質上、役者である兼次のセリフ自体がとても芝居臭いものなのだが、そういった意味でも子安氏はこれ以上ないキャスティングだっただろう。そして太郎を演じる三木氏がまた、イメージそのままのはまりっぷりであり、この二人の熱演が、可笑しくもせつないこの物語を、ただの「BL」で終わらせない。
あと、これはぜひ書いておきたいのだが、少年時代の兼次の声も子安氏本人が演じており、それがまたスゴイ。それと、このシリーズになくてはならない存在である兼次の父を、今は亡き塩沢氏が演じているのだけれど、そのコミカル且つ渋い演技は、印象深く刻まれている。
最後にひとつ言わせてもらえれば、初めて出会った作品が、これでよかった、と、今つくづく思う。そして、未だにこのシリーズを超えるBL作品は私の中にはない。
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