山藍紫姫子原作のお耽美もの。現代のアメリカに巣食う吸血鬼の王・金色の魔物、ロキシー(玄田)と、彼に魅入られ、血の供給を強いられている美しい青年・オリヴィエ(塩沢)。そのオリヴィエと心を通わすゲイの医師、ヘーゼル(堀)。オリヴィエに他の男の影を見ながらも彼を深く愛するヘーゼルだったが、「人ではないもの」による執拗な支配からは、逃れることはできないのだった。
詩的な情趣にあふれたモノローグと大御所声優たちのねっとりとした演技で、終始にわたりドロドロとした重い雰囲気が漂い、もしかしたら大きく賛否の分かれる作品かもしれない。尤も、私としても個人的な好みを言えば、あまり好きなタイプの話では決してない。それでもこの評価をつけたのは、「吸血鬼」という設定上、ベタと言われればベタかもしれないが、それなりに衝撃的で美しい、ラストのオチであろう。トランクに入れっぱなしで忘れ去られていた新聞、肖像画、そしてスカラベの指輪、と、それらに使われている小道具が、なんとも言えずノスタルジックでいい。
吸血鬼・ロキシーを演じる玄田氏の、地の底から湧くような声は、夜中に聴いたら身が凍ってしまうほどの迫力であり、ひどく恐ろしい。餌食であるオリヴィエ@塩沢氏の震えるような語り口、そして、ヘーゼルの誠実で実直な人柄に垣間見える激しいモノローグもせつない。
ただ、面白いか、と言われると、非常に微妙であり、リスナーを選ぶかもしれないが、私的には「ラ・ヴィアン・ローズ」より楽しめたような気はする。
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