うーん・・・キビシイかなあ、特に脚本。やりたいことは解かる気がするが、成功しているか、と言ったら、肯定はできないだろう。
まず冒頭。入学、入寮、そしてBFCという組織の存在を正種が知るところから始まり・・何もかもすっ飛ばしていきなり学園祭、な展開。個人的には、原作の数だけシリーズ化されてもいいから、ひとつひとつのエピソードを忠実にとは言わないまでも、丁寧に再現してほしかった。正直、ここまで正種×智晴のCP部分をカットするなら、いっそのこと最初から広樹×彰のCPの視点オンリーで作ったらよかったのに。少々説明くさい要素を取り入れても、その方がとっ散らかったイメージにならなかったのではないか、と思う。もちろん、広樹や彰というキャラクターを知るには、客観的な視点が必要であることは充分理解できるが、もっと上手い方法があったんじゃないかなあ?詳細に拘っている部分と、大雑把に駆け抜けてしまう部分が、あまりにアンバランス。要は、大切だと思われるシーンを軽視している割に、どうでもいいようなシーン重視していたり、と言った、ちぐはぐな印象なんだよね。
あと、テンポと「間」のよさが絶妙なだけに、あの変な効果音は余計。会話だけで充分面白いはずなのに、やりすぎで返ってしらけてしまう。
しかしこの作品、なんといってもキャラがいいんだよね。私にとっては、とにかく広樹なわけだが、もともと「一見ヘラヘラしているようで、実は内にせつなさを秘めたチャラ男」というキャラに、めちゃめちゃ弱い。そういう「チャラ男の本気」は、なぜか可愛く、且つ、妙にセクシーで。もう、大好物です。
ただ、キャスティングなのだが。キャスト発表の際、ありえないと思っていた子安氏の広樹も、聴けばそれなり・・とは思うが、やはり違和感は拭えない。同じチャラ男でも、広樹はなんかこう、もっと「つかみ所のない」チャラ男なんだよね。でも、ヘラヘラからシリアスへの豹変振りは想像通り男前で・・なので、もういいです、許します。(何様?)
あと、正種のセリフが、モノローグなのかどうなのかはっきりしない部分があったり、それ以上に川島くんの声がガヤ・・というか、その他大勢とかぶっちゃうんだけど私だけだろうか。
ほかは智晴の声が若干可愛すぎな気もするが、概ね予想の範疇、大きな違和感はなかった。というか、むしろ鈴村くんの彰は出来過ぎ、非常によかったと思う。いや、それよりなにより、坂口の松本氏がサイコー。胡散臭いけど憎めない、かなりいいキャラになっていたのではないだろうか。
ただ、ストーリーの方は・・・やはり、あまりに端折りすぎていて、というか、情報が足りなさすぎて、せつなさが伝わり辛いんだよね。耳からの情報だけでは限界がありすぎる作品ゆえ、例えば。一見、彰の方が一方的に踏み込ませないようでいて、実は広樹の方もあえて一線を越えないでいるわけなのだけれど、その中でも一番印象的な、彰に向けられた広樹のせつない視線、だったり、そういう「視線のすれ違い」みたいなものを描くのは、ひどく難しいわけで。
作品的には、序章、といった感じで、リリースの段階で既に続編のCD化が決まっていたこともあり、それを意識した作りになっている。こんなところでブツ切られたら、次も聴かないわけにいかないでしょ的な未完結さで終わっており、下心は丸見えだが、せつなさを予感させるには充分と言えなくもない。
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