蒼き狼たちの伝説 X
ビームエンタテイメント
★★★
 *****
本格SFホモアニメビデオ。18禁と成人指定があるようだが、私が観たのは成人指定の方。キャストだが、語らずとも知れた某人気声優揃い踏み。外伝というからには本編もあるのだろうか、と思いきや、無いのだそうだ。
私は基本的に筋肉萌えがないので、これってもしかしたら男性向け?と思うほどの筋肉描写はどうだろう。それと、個人的には露骨なSMがあまり好きではなく、しかも映像なだけに、エグいだけの美しくない絡みは正直辛かった。
それでも、今までもこれからも、まず聴くことができないであろう某攻めオンリー声優の貴重な受け声をしっかり聴くことができたし、メイン二人のセックスシーンはそれなりに美しく、個人的には満足この上ない。最後は、どう考えても危険なシーンであるにもかかわらず、あまりに長い回想ゆえに、ちょっとハラハラしながらも、SFならではの独特なせつなさが胸に残る。
キャストは未公開だが、メインの2人を含む6人くらいは耳で確認できます。
ちなみに、まるで続編があるかのような次回予告?まで収録されているが、当然、続編はありません。(笑)




有栖川家の花嫁
雪代鞠絵
ムービック
★★★☆
子安武人×武内健 平川大輔 千葉進歩 
フツーなら絶対に手に取らないであろう、ひと目で内容が想像できてしまうようなこのタイトル。きっと頭のおかしい父親たちが勝手に縁談を進めて男同士を結婚させちゃう、みたいな、どうせバカっぽい話だと高を括っていた。が、どうだ、気付けばウルウルの私がいる。感動したと言ってもいい。星の数は決して間違いではございません。
正直、BLにおける「花嫁」という言葉にいい印象はない。しかも嫁ぎ先が名家だとか相手(攻め)の容姿がひたすら端麗だとか、そういったシンデレラストーリーには胸焼けを通り越してオエッ!となる体質だ。ゆえに、この作品も私の中でただのネタCDになる予感を露骨に醸していたわけだが。いや〜、それが結構面白かったんですよ、意外にも。
親の決めた縁談が嫌で逃げた姉の身代わりになる・・そんなどこかで聞いたことがあるような「やっぱりか」な序章、しかもその相手が絵に書いたような嫌なヤツで。非情で冷徹、人を人とも思わないどこまでも傲慢なS男。そのS男に無理やり嫁がされた身代わりの花嫁が、これまたまるで天使のような少年で。早い話が、その天使によってS男の氷の心がちょっとずつ溶かされていく、みたいなね・・・・と、こんな風にあらすじを書けば、いつもなら既に酸っぱいものが込み上げてきちゃうのが常だったりするのだが、この作品はまた毛色がちょっと違う。
これまでにも、名家に生まれ容姿端麗・頭脳明晰、それゆえに横暴で心が歪んだ攻めキャラというのは、特にコヤPファンならば耳が腐り落ちるほど聴いてきたはずだ。ただ、そんなキャラとそんなストーリーで形作られていたとしても、その裏付けが詳細に描かれているならば、こんなにも心打たれる作品に仕上がる、ということを改めて知るのだ。
最初は嫌悪していた相手に次第に心惹かれていく、という過程において、受けキャラが攻めキャラのどこをどう好きになったか解らない、そういったことがよくある。が、この作品ではその明細がひどく明らかである。簡潔にして明快、即ち「同情」である。これもまたこのように言葉にしてしまえば、ひどく安易に聞こえてしまうかもしれないが、本来、弱い立場であるはずの晶水(武内)が誉(子安)に対して擁くのは間違いなく「憐れみ」であり、誉が晶水に求めるものもまた「慈悲」なのである。そしてその「憐れみ」がイコールで「愛おしさ」なのだという晶水の言葉は、意外なほどの説得力を持っていた。更に、愛されるためにはどうしたらいいのかと心から問う誉はまた幼気(いたいけ)な子供のようで、リスナーにさえ憐憫の情を引き出させることだろう。とは言え、ガラス玉を放り投げる誉の「こんなもの!」には笑ったが。子供か、お前。(笑)
キャストも当然填り役ばかり。子安氏の誉は言うに及ばず、武内くんの美人声も「DEAR BOYS」の三浦君(古い?)の頃からファンな私はひたすら満足。健気な天使にはぴったりだったと思う。そして、絶対に裏があると思ったのに結局最後までいい人だった信也を好演だった千葉さん、ていうか有栖川家の人々を皆殺しにした真の犯人だと勝手に思い込んでました。疑っちゃってごめん。あと、神尾の平川さんも、終始飄々としてとてもいい感じでした。
Hシーンに関しても、序盤の言葉攻めはきっとアナタのM心を充分に満たしてくれるはず。
あと、ついでに言わせてもらうならば、ブックレット書き下ろしの「夫婦喧嘩は神尾も食わない」だが、本編がシリアスなだけに、こういうバカっぽさ、私は好きです。
細部の稚拙さは否定できないが、とにかく、タイトルからは想像できないほどにどこまでもシリアス、ただ、どちらにせよいい意味で裏切られるならば本望、タイトルにセンスの欠片もなくても、キャスト買いでも、たまには面白いものに出会えることもあるよ、という、私にとってはかなり稀な作品。