少年四景 〜小野塚カホリ作品集〜
小野塚カホリ
マリンエンタテイメント
★★★★
僕は天使ぢゃないよ。:三木眞一郎×緑川光(リバ有り)
花:森川智之×櫻井孝宏
LOGOS:成田剣×岸尾大輔
セルロイドパラダイス:堀内賢雄×神谷浩史
えっと、まず、思い切りツボにはまった、と言っておく。
私が常日頃、オムニバスをあまり好きではないと言う理由は、ラブに至るまでの経緯に、非常に重点を置くリスナーであるからで。しかし、そういった意味で、短編でありながらここまで充実した内容であることに、目からうろこであった。それと、ハッピーエンド推奨派などと言いながら、こういった破滅的なストーリーも実は嫌いではないのだと、改めて実感。例えるなら三島、或いは村上龍の世界観を連想させる。暴力とセックスと情熱の織り成す、アナーキーな破滅美、といったところだろうか。
■「僕は天使ぢゃないよ。」
4篇のうち、私的に一番好きな作品。どんな暴君とも思える人間でも、心に弱さや脆さはあって、反対に、見かけからは想像もできないような強さを持っている人間がいて。まったく違うようでいて、まるでもともと番いであるかのような二人。心の欲する人をひたすら求める者と、それを認めようとしないもの、それだけの違いでしかないのかもしれない。自分の過酷な状況を、まる他人事のように淡々と語るポチ(緑川)のモノローグがすごくいい。関(三木)の弱音を吐露するシーンも、非常に聴き応えがあった。
■「花」
戦時中という背景を抜きにしても、暗くて意固地な二人の性格が、ストーリーを一層重苦しいものにしていく。しかし、その頑なな根暗を演じた森川氏がなんともブラボー。BLにありがちな皮肉な台詞も、いつもより3割り増しくらいに厭味に聴こえた。そして、そういう台詞を吐かざるを得ない苛立ちのようなものが、ひしひしと伝わってきて、せつなさに拍車をかけていく。
■「LOGOS」
好きか嫌いかはともかく、一番印象に残ったのがこの話。はじめに述べた「破滅美」みたいなものを、特に感じた作品。もちろん時代背景、チェ・ゲバラという名前に、学生運動、東大闘争、三島事件といった影が色濃いこともあるだろう。冒頭から、ハッピーエンドはありえないゆえの息苦しさを終始感じながらも、破滅へ向かって進んで行くだけのストーリーに惹き込まれてしまう。
■「セルロイドパラダイス」
決して救いのある話ではないのに、男と少年の対照的な「生」が、悲しくも、ひどく美しい。賢雄さんじゃないけれど、この神谷くんの泣きのシーンは本当に素晴らしかったと思う。そして、それに続く賢雄さんのモノローグにまた、涙腺が緩む。そして、この絡みが実は、不謹慎なほどに萌えだったりした。いや、BLに不謹慎も何も無いだろうけれど。
総評としてはとにかく、暴力シーンが多く、テーマがとてもシリアスで重いのだけれど、どの作品も、美しさと醜さの共存のバランス、独特の世界観、そういった魅力にあふれている。短編オムニバスであるにもかかわらず、非常にクオリティの高い、充実した作品集になっていると思う。
フリートークでは、その内容を払拭する、明るく楽しい話が展開されており、そちらの方も聴く価値アリです。


マリンエンターテイメントCD☆少年四景〜小野塚カホリ作品集〜☆