＜読みかけの本とか以前読んだ本。（99.3現在）＞
・『スナーク狩り』宮部みゆき著（光文社文庫）
この本は、一度読んだ作品なんです。新書版しか出ていなかった頃に図書館で借り
て。
だから平気でほっぽっているのかなぁ…………
しかしまあ、宮部さんの作品は好きなので、文庫になったのを機に買ったわけです
が。
宮部さんの書くものって、けっこうブラックな側面を持ったものがたくさんある。
現実に対して、ものすごくシビアというか…………現実の「暗い」ものを正面から
表現するとでも、言いましょうか。その表現の仕方がまた上手で………
だからさむざむと、怖い。
この『スナーク狩り』なんかその最たるものじゃないかなって思います。私は。
今まで読んだ宮部さん作品の中で、一番後味のすっきりしない、救われない思いを
味あわされたのをよく覚えています。
・『刑法おもしろ事典 新版』和久峻三著（中公文庫）
法律でも歴史でも、よもやま話みたいなの、わりと好きなんです。
学問として勉強するほどじゃないけど、ちょっと裏側を知ってみたい程度には、
どちらも興味がある。そういう類の。
この本もそういった気持ちから買いました。あと、ちょうど大学生協の書籍部が
15％オフセールをやってたというのも、理由。
でも、途中でほったらかしにしてしまっています…………
確かにちょっと飽きたなぁと途中で思ったりもしたけど、もう読みたくないって
ほどではなかったのに…………
他に読みたい新刊とかが割り込んできたのでしょうか。ちょっと不明。
・『覆面作家の夢の家』北村薫著（角川書店）
今年（97年）の初めに出た本。
北村さんは大好きですね。高校時代に図書室で初めて借りて以来のファンです。
しかし、ミステリー好きな人の中でも北村さんは「知る人ぞ知る」な存在で、あ
まり話ができる相手がいなくて、ちょっとさみしいです。宮部さんの名前はかなり
メジャーになってきているのですが…………
名前では分かりにくいし、デビューからしばらく続いたシリーズが女子大生の一人
称で語られるパターンだったから、当初は多かったようですね。北村さんが女性だっ
て思った方。
男性の作家さんなんですよ。それも私の両親と同年代の。
（本屋さんによっちゃ、今だに「女性作家」の棚に北村さんの本置いてあるところも
ありますね。それを見るたび「違うんだよなぁ・・・」と「男性作家」の棚に置き直
したくなるのは私です）
私は特に「女性」と限定して考えていたわけではないんですが、ちゃんと知った時
にはやっぱり少々驚きました。どっちかというと「親と同年代の人」だって点でびっ
くりしたのかも。……でも、考えてみたら自然かなぁ。そりゃまあ若い方でも、すご
い洞察力で書く人たくさんいらっしゃいますけど。でも若い作家さんでそういう方が
結構いるだけに、たぶん私も無意識に「北村さんの年齢」を若めに設定していたので
しょうね。
この『覆面作家』シリーズは３冊出ています。『夢の家』は３冊目。
個人的にはこのシリーズ、めちゃくちゃ面白いと思っています。ユーモアと現実と
ミステリーがうまく混合されていて。登場人物も魅力的だし。
私、北村さんと宮部さんはすごく共通したものを持っている作家さんだと思うんで
すね。どちらも、ユーモアとシビアな要素を一緒に書くのがすごく自然でうまい。
たとえば私なんかが何か書くと（比べるのもおこがましすぎるのですが）、暗いもの
はとことん暗くなっちゃうわけで……それは私の体質が基本的に暗いせいだろうかと
かしょうもないことも考えたりしますけど、やっぱり能力の違いなんでしょうね。
ミステリーだからといって、殺人ばかり起こさない点もいいです。
北村さんの作品は『空飛ぶ馬』に始まる「落語家・円紫さん」シリーズもおすすめ
です。最近（97.9）出た『ターン』も読んでみたいのですが、ハードカバーで結構
いい値なので、図書館で借りられるようになるまで待とうかな、と……（貧乏性）
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