駆け出しの声優・ユーリは、やっと大きな役をもらえたばかり。 ……しかし不思議な力を持つ作曲家・波多野と出会ったことから、何よりも大事な声を 奪われてしまう。 一番信じてほしい幸吉にさえ、本当のことを信じてもらえないユーリは…… 93年初演作品の、再演。 生の方が断然迫力ありましたね、やはり。 セットも、初演のものが結構シンプルだったのに対して、再演のはかなり こだわりを感じられる造りでした。特に、クライマックスでのガラスを割る シーンは、本当に割ってしまう仕掛けにしてましたし(初演ではマイムのみ でした)。 オープニングのダンスシーンも非常に美しい。しかしビデオでは照明全体 が暗いためにあまりよく映っていなくて、とても残念……絶対にここは生で 観てもらいたい、と思うシーンの一つでした。 『風を継ぐ者』と並んで、現在(98年5月現在)の私のナンバーワン作品 です。「舞台の記録」ページにも感想を書いてあります。 (98.5.15)
一年間で五千万、の仕事を大手会社から依頼された男女3人。 仕事が終わって約束通りの報酬をもらったのはなぜか一人だけ。あとの二人には、訳の 分からないガラクタとしか思えない物ばかりが入った袋。 自分たちがしていた仕事はいったい何だったのか。そして会社の目的とは……? 消された記憶を取り戻すために、3人はクリスマスイブの東京を走る。
93年クリスマス公演作品。ラストシーンが初日の5日前にできたという、 いわくつき(?)の作品です。 夏の公演を観に行った時、まっ先に買いました。雑誌「演劇ぶっく」の 「えんぶちゃ〜と`93」で目にした時から、ず〜っと観たかったんですよ。 これは、ちょっとミステリー風に始まります。大手家電メーカーから、 一年間の期限付き・報酬5千万・仕事の一年間の記憶は消すという条件で 雇われた3人の男女。しかし一年が過ぎて、約束通り5千万を貰ったのは 1人だけ。後の2人の報酬は、何の役にも立たないような妙な品物ばかり。 おまけに会社を出た途端、刑事に連行されそうになって……という展開。 でもいつの間にかラブストーリーになってるんですよね。結構いきなり ではあるけど。「ミステリー風」の部分が長いから。 ラストシーンはいい感じ……みたいなのに、暗くてわからない! 最後に2人(近江谷さんと坂口さん)が、キャンドルを一緒に吹き消す らしいんですが、それも見えない。くやしいなぁ…… この中で個人的に好きなのは、西川さん演じる「神戸」さんの家族たち (津田さん・真柴さん・酒井いずみさん)ですね。実際にいたらうるさい かも知れないけど、退屈しなさそうな人たち。 (98.5.15)
明治元年、五稜郭からの脱出の際に竜巻に遭い、年を取らなくなった3人の男。 そのうちの一人・雷太は、第二次大戦直後に、ナオという女性と一つの約束をした。 「何かあったら、必ず助けに来る」と。 50年の時を経て、ある事件の渦中にいるナオの孫たちが雷太と出会う。 95年クリスマス公演作品。 クリスマス公演の作品の中では、ダントツに好きなものです。 (『不思議なクリスマスのつくりかた』は、別枠で一番好きですが) 98年春現在、活躍中の若手男優さん方3名(南塚さん・細見さん・大内 さん)の初舞台でもあって、なんかお三方とも初々しいな〜って感じです。 特に南塚さんと細見さんは、初舞台なのに結構ストーリーの中での配分 が大きく難しい役をなさっていて、でもそれがとてもはまっていて、おぉ すごい、と思わされます。大内さんは……なんかかなりの部分でギャグに 走らざるを得ない役と言いますか。うーん、いまだに(98年春現在)3名 のうち大内さんだけが「おいしい役」を演じられてない気がしてるのです が、もしかして最初が悪かったのか……? (あ、大内さんファンの方もいますよね。ごめんなさい……) どの役もいいと思いますが、特に好きなのは西川さん演じる「雷太」と、 坂口さん演じる「ナオ」おばあちゃんですね。 西川さんはとにかくかっこいい!!! ファンの方なら必見です。私は これで西川さんに惚れましたから(笑)(でも、キャラメルの役者さんで 一番好き、というわけでもない。皆さんそれぞれに、一位だと思っている 優柔不断な私) 「ナオ」おばあちゃんは、なんと言うか……80歳とは思えないほど元気 で、なおかつ、若い頃の気持ちを良い意味で新鮮なまま持ち続けてるよう な……とにかく、いい感じの「おばあちゃん」なんですよー。坂口さんの 当たり役の一つだと思います、私は。 これは生で観たかったなーっ、と特に思うものの一つでもあります。 再演してくれないかなぁ………… (98.5.15) *2003年冬、タイトルと一部設定・ストーリーを変更しての「再演」が ありました。感想はこちらです。
英会話教師・トオルには、手で触れるだけで怪我や病気を治す力があった。 その力を使うたびに騒ぎになり、引っ越しをくり返してきたが、半年前にトオルを慕う マリとその家族に出会ってからは、力を使わない穏やかな毎日を送っていた。 しかしある日、トオルの力を知った新聞記者が訪ねてきて…… 96年春・ハーフタイムシアター2本立て公演の作品のひとつ。 これを買おうと思った理由は……実はあんまり定かではありません。 当時「キャラメル用」と決めてた予算がすこし余っていたので、なにか もう一本、安いやつを買おうかなぁと思っていた覚えはあります。 キャラメルのビデオで安いのというと、¥4800ものか¥5600もの。 ¥5000越えたらちょっときつい? と思ったので、¥4800ものを選択。 もう一つの96年ハーフタイムシアターものである『ハックルベリーにさよ ならを』という作品は、以前に友人のために台本買った際、渡す前に読ん でみて、だから内容知ってるしな〜とか考えて、こっちにした……って、 理由ちゃんと覚えてるじゃないか。>私 こういうストーリー、すごく好みです。今井さん演じる「トオル」と、 岡田さつきさん演じる「マリ」の関係、そしてそれぞれの家族の関係。 一時間の中に、物語の要素がぎゅっとつまってるって感じかな。普段の 2時間ものは、観る側としては時間的に辛い場合があったりするんですが、 一時間だと、ちょっと時間が空いた時に観やすい。2時間も間がない、と いう場合でもOK。 まさに短編小説を読む感覚で観られて、後味もよくって、GOODです。 惜しむらくは、ビデオで観た場合、ちょっと照明が暗いことでしょうか。 (98.5.15)
引退した野球選手・景浦のもとに、息子だと言う少年・しんごがやって来る。 景浦が江川からホームランを打つところを見に来たというのだが、彼は現役時代、 一度も一軍に上がれないままだった。無謀とも思える挑戦を試みる、景浦たち。 ソフト部の練習に出ようとしない女子高生・ナツメ。教育実習生の水原は、彼女 をなんとか練習に参加させようとするのだが…… 94年サマーツアー作品。 『アローン・アゲイン』直後の公演で、音楽も『アローン……』と同じく、 全曲SPIRAL LIFE。 『アローン……』でSPIRAL LIFEを好きになってしまったので、観に行こう かな?と思いはしたのですが、結局行かずじまい。で、その後ビデオで観ま したら「やっぱり行けばよかった……」と思ったのでした。ちゃんちゃん。 (って、終わってどうする!) 私の好きなタイプである「ギャグとシリアスのはっきりした」ストーリー。 舞台の全体的なコントラストもきれいです。 最後のシーンなんか、奥から一気にシャボン玉が出てきて、それが照明を 反射してキラキラ光るのが、とてもうつくしいです。 97年頃まで続く、今井さんと岡田さつきさんの「コンビ」が確立してきた のって、この公演のあたりからかなぁと思います。これ以前(『キャンドル は燃えているか』など)でも、すでに二人でのシーンはありましたが。 (98.6.21)
ジェットコースターにも飛行機にも乗れない男・オカモトは、坂本竜馬に憧れている。 同僚・本郷夫妻の離婚に危機に直面した彼は、自分の空想の竜馬とともに、二人の仲を とりもとうとするのだが、なかなか上手くいかない。 しかも、思わぬところから絵画の密売事件に巻き込まれてしまって…… 95年サマーツアー作品。 これを観てから「サマーツアー作品は好みのものが多い」と思いました。 実際、92年〜98年のサマーツアー作品を見てみたら全部、かなり好きな タイプの内容なんですよね。うーむ。 初演もビデオで観ましたけど、私個人は再演の方が好きだなぁ。 今井さん演じる「オカモト」が、すごくその役本人らしくて。 まぁ、再演を先に観ちゃったせいもあるかも知れませんが。 あと、西川さん・菅野さんの悪役コンビも好きなんですね、実は。 普段、悪役なんか演じそうにないお二人が「悪い奴」やってるのって、 結構興味深いです。友人によれば「漫才コンビみたい」とのことですが (笑) (98.6.21)