・演劇集団キャラメルボックス『彗星はいつも一人』
今回はダブルキャストの両方とも観ました。
もっとも、サントラＣＤが神戸初日に発売されていたら、もしかしたら
観なかったかも知れません (^^;
正直、９日に１回目を観た時は「…………？？」という気持ちになって
しまいました。なんていうか、チラシに「全面的に書き直した」と書かれ
ていたので、てっきりもっと徹底的に変わっているものだと思ったのです。
「雷太」とその仲間２人＆「ナオ」は出てくると聞いてましたが、例えば
全然時間軸の違う、『レインディア・エクスプレス』よりも過去もしくは
未来の話なのかなーと……で、それを幾分期待していた感もあります。
しかし実際には、『レインディア』のいわばパラレルワールドでしたね。
「雷太」と「ナオ」のエピソード自体は同じですけど、「ナオ」の周辺
人物設定が違っていて、息子が生きていたり（出てはこないけど）、孫が
「ヒカリ」一人だけだったり。逆に、東京での事件は根本的に違うけど、
学校が中心だとか、「ヒカリ」の職業が教師で事件は生徒に関わることだ
とか、設定は同じ部分がいくつかあったり。
で、どちらのメインストーリーでも（設定上違うところを除いて）台詞
はほとんど『レインディア』と同じなので、上のように思っていた私個人
的にはかえって前作を思い出し、混乱する結果となってしまって……
なんか中途半端に再演したみたい、と思ったのでした。
しかしながら、『彗星』しか観てない人が『レインディア』を観たら、
どう思うのでしょう……そういう人が周りにいないので聞きようがないの
ですが。例えば、「まとまってない」とか「余計な部分が多い」とか思う
でしょうか。
『レインディア』に不評が少なくないのは、どうもメインストーリーの
一方である、東京での「生徒自殺事件」が一因のようです。（他、オープ
ニング等で使われている群唱が聞き取りにくい、といった意見なども）
あの事件が不評な理由……分かる気はします。他の人が感じる理由とは
違うかも知れませんけど、私自身、登場人物の描き方に好きでない部分が
あったり、「永吉」を追い詰めすぎている感じがしたり、事件そのものが
どうも中途半端でまとまりなく感じていたりするので。
けど「永吉」や彼のお母さんのキャラクターとかはすごく好きでもあり
ます。というか、その役だった南塚さんや中村恵子さんが良かったんです
よね。……ストーリーに全然関係ない、という点で「余計な部分」の一つ
かも知れませんが、「陣八」と「ちよ子」のエピソードも実はお気に入り
でした (^^;
今回の「東京での事件」は……単独で考えるならば嫌いではないです。
余命一年と宣告された父親が、10年会わずにいた息子に会いに来る……と
いうのが主軸。私は単純なので（笑）心情的にはすぐに父親を応援したく
なる方です。離婚の経緯などで息子が会いたがらない理由が納得できても。
涙腺が固いのか、実際に涙を流すことはめったにないんですけど、「泣き
そうな気分」にはしょっちゅうなります。今回も、エピソード自体は……
観ていて反射的にそういう気分になってしまいます。
ただ。キャラメルで「人の生き死に」を話の中心にされると、「またか」
と感じて引いてしまうことが最近増えたのは……私がひねくれているから
でしょうか？？？ それとも、長く観続けている弊害……？
結局のところ、この作品の魅力って、「雷太」と「ナオ」の物語に集約
されるのかなぁと思います（個人的には）。
後半で「ナオ」が昔語りをするシーンと、ラスト前の二人の再会シーン
が、初めて『レインディア』を観た時から大好きで……今回、それが生で
観られたのは嬉しかったかも。けど反面、『彗星』ではそれらのシーンが
幾分、すーっと流されているような印象も……『レインディア』での方が
情感こもってる感じがしまして。もっともこれは、ビデオの方が表情など
がよく分かるということが作用しているかも知れないですね。
たぶん、『レインディア』を観た人の間でも、『彗星』の方が良い評価
なのでしょう。そういう意見がきっと多いと思います。
……それでもなおかつ、『レインディア』の方が好きだと思ってしまう
私って、変なのかも（爆）。本当に個人的に、細かい部分で好きだった点
が多すぎる作品なので。
（03.11.22）