・演劇集団キャラメルボックス
   『あしたあなたあいたい』/『ミス・ダンデライオン』:(4)/(5)
 
    3/23〜27、大阪OBP・シアターBRAVA!での公演。
    3/25に両作品、通し券で観てきました。
    S列(19列目)14番(センターブロック左端席)にて観劇。
 
    前作『クロノス』に引き続き、原作は梶尾真治さんの小説『クロノス・
   ジョウンターの伝説』(朝日ソノラマ刊)。『あしたあなたあいたい』は
   原作本の第2話、『ミス・ダンデライオン』は第3話が元になってます。
 
    さていきなり感想にいきますが……
    とりあえず、これは原作未読で行く方がいいよなーというのが第一印象。
    先に起こることをほぼ知ってるのが大きい要因でしょうけど、観ていて、
   いい意味での衝撃は驚くほどありませんでした。
    終演後に会った知人の皆さんに聞いた限りでは、『ミス・……』の方は
   かなり「泣いた・良かった」という意見が多いので、原作先読みで行った
   私は損した気分がちょっぴり……まぁ正直、未読で行ったとしても素直に
   感動できたかどうかは分からないんですけど。『ミス』は原作とほぼ同じ
   設定・展開で、しかしそれを知っていてもなお、かなり駆け足での展開に
   見えたので、読まずに観てたら消化しきれなかったかも知れないですし。
   キャラメルにしてはラブシーン度の高い作品だったので、観ててちょっと
   ドキドキはしましたが (^^ゞ
 
    ちなみに『あした……』の評価は周辺ではあまり良くないですね。
    その理由を聞いてみると、
    (1)他の2作に比べて過去へ行く動機に切実度が薄い。
    (2)どうしてそんなに過去へ行きたいのか、という説明が少なくて、
       実感しにくい。
    (3)主人公二人の恋愛が3作品中で一番唐突度が高い。
    (4)『クロノス』のヒロイン「来美子」の出し方が嫌。
    といった意見でした。
    程度の差はあれど、4点とも「まぁそうだなぁ」とは思います。
    個人的には、(2)・(3)はかなり同感。1時間もので処理するのは
   (この点は『ミス』もそう思いましたが)ちょっと苦しかった気がします。
   といって2時間では長いと感じそうだし……企画的にはたぶん無理な話だ
   けど、90分ぐらいならちょうど良かったのかも。(2)の説明についても
   ですけど、(3)の唐突さを少しでも緩和するためにも、全体にもう少し
   「間」がほしかったかなと思うのです(ちなみに原作では、(2)の説明
   はそれなりに書かれていて、(3)は唐突さでは同じような感じです)。
    (1)はまぁ、そういう設定だから仕方ないかと(笑)
    (4)については……『クロノス』で「来美子」と『あした』ヒロイン
   の「圭」に接点を持たせちゃったから、今回も出さざるを得なかったのは
   仕方ないと思うんですけど。しかし言わなくていい(言い方がおかしい)
   台詞が多かった気がします。『クロノス』の主人公に気があったような話
   をする部分とか、「クロノス・ジョウンターを私に使わせてください」と
   いう台詞とか(自分自身が使うわけでないのにその言い方は変では?)
    「言わなくていい台詞」で思い出しましたが、開発責任者である課長の
   台詞でも「そんな言い方をするかな?」と思うものが結構……というか、
   他の人が使う時には止めようとする発言が主なのに(まぁ正式な許可での
   使用じゃないから、なんでしょうけど)、なんで『あした……』主人公の
   時だけ(開発継続のために被験者が必要とはいえ)そんなに情のない言い
   方をしてるのかな……と思ったんです。あるいはわざとなんでしょうか。
 
    あと個人的に、『あした』の評価の低さは、ラストの処理にもあるよう
   な気がしました。ヒロインが未来に行くために過去に跳ぶのを、舞台では
   先に説明してしまうから、その点に関しての衝撃が原作ほど感じられない。
   それも「いまいち」と思われる一因なんじゃないかなーと(ちなみに原作
   では、ラストまで伏せられてます)。
    『ミス』のラスト(落ち)は、原作と同じくギリギリまで分からないの
   で、それだけインパクトも強くて泣けた人も多かったのでしょう。私も、
   知らなかったらおそらく「えぇ!?」と思ったはず。
 
    ところで『あした』は、『ミス』と違って原作からの改変部分がいくつ
   かあります。一番大きな変更部分は、ヒロインの家族関係が出てくること。
   なので、主人公とヒロイン周辺で起こる出来事にも、原作とは違うものが
   結構あります。それ自体は別に構わないんですけど……同じく改変部分の
   多かった『クロノス』と違って、改変による良さは特別表われてないなぁ
   ……という印象を受けました。具体的に悪いところを感じたわけでもない
   んですけど……やっぱり、1時間では短いのかも。ヒロインと婚約者及び
   家族のやり取りに、もう少し時間と「間」がほしかったです。
    ついでに、前作との接点を保つためにだろうと思うけど、時間計算式が
   原作とは違う。というよりも「どう計算していいのか」状態になってます。
   遡ったのが原作およびチラシコピーと同じく「5年前」だったら問題ない
   のですが、「4年前」になっちゃったので……前回も式が分からなくなる
   部分があったんですよね(途中までは良かったんですが、最後の遡行時間
   と跳ばされる年数の関係がどうしても計算できなくて)。『ミス』はその
   点(遡った時間と跳ばされる年数)も原作とほぼ変わらず。
 
    『クロノス』の台本がほしいなぁ、と前回の感想で書きました。
    同じように思った人が多かったらしく、今公演の新作グッズで発売され
   ました。舞台写真入りのハードカバー版。
    今回2作品の台本は(現時点では)出ていませんが、『クロノス』台本
   出版について原作者・梶尾さんは快諾なさったということなので、今公演
   の分もいずれ(遠からず)発売されるでしょう。
 
    そういえば前回は、劇中使用音楽について書いてませんでした。なので
   (?)ここでまとめて。
    『クロノス』では使用数15曲のうち、作品用のオリジナル曲:発売済み
   の曲=1:2というところ(数は実質の使用曲数。以下も同じです)。
    テーマ曲を含む、オリジナルの2曲入りマキシシングルが11月終わりに
   発売。サントラCDは今回の公演時に、3部作完全版で発売する計画……
   だったらしいのですが。
    結果的には『クロノス』のみの「完全版CD」の発売となりました。
    
    今公演の使用音楽は、『あした』13曲中5曲、『ミス』の12曲中4曲が
   『クロノス』でも使われてました(厳密には数曲、バージョン違いあり)。
    うち1曲は、『クロノス』に引き続き、開演直前にかけられる柴咲コウ
   さんの「Sweer Mom」(映画「この胸いっぱいの愛を』テーマ曲)。
    2作品のテーマ曲はそれぞれ(『クロノス』とも)違うもので、それら
   2曲を収録したEXPRESS CDが、3月終わりに発売されました。
    ……この状況から考えると、今回のサントラはまた個別に作られそうな
   気がします。重複曲がそこそこあるので、「完全版」になるのか否なのか、
   そのへんはちょっと予測つきませんが。まぁ、どんな形でも発売されれば
   私は嬉しいです(笑)
                               (06.4.3)
 


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