・『クローズ・ユア・アイズ』神戸初日＋αの感想。
11/8〜19、新神戸オリエンタル劇場での公演。
11/8の初日をまず観てきました。
Ｌ列（６列目）７番（左サイドブロック真ん中あたり）席での観劇。
プラス、翌日の11/9にも観ました。
Ｅ列（後ろから５列目）４番（左端から２番目）席での観劇。
……なんでそんなことをしたかというと、初日に観て、自分の中で
まとまらないものがたくさんあったからです。
放っておくと落ち着かなさそうだったので、平日が空きまくってる
ために企画された「神戸平日限定ハーフプライス」を利用して（他の
理由もありましたが）行きました。
２回観て、すこし落ち着きました。
この作品は、登場人物も多いのですが、扱われるエピソード、登場
人物の物語も普段より増えています。普段だと、基本的には主役一人
の物語が中心、という色合いが濃いのですが、今回は数人分の物語が
並行しているという雰囲気を強く感じました。
ですから、人にもよるかと思いますが、初見だと人物やストーリー
そのものを追うだけで気持ち（頭の中）がいっぱいいっぱいになって
しまう可能性があります。
もしそうなってしまったら、もう一度観ることをおすすめします。
もちろん状況（予定とか予算とか）が許せば、ですが。
一度目はストーリーを観て、二度目で作品の世界に心をあずける。
そんな見方もありだと思います。
初見で思ったこと。
また、今までとは全然雰囲気の違う作品でした。
どの作品に似ているか、と言われても、すぐには連想できない。
あえて例えるのも、むずかしい。
強いて言うなら、『さよならノーチラス号』のもっとシリアスな、
主役を大人に変えた物語、でしょうか。それでも完全じゃないけど。
成井さんがこういうものを書くようになったというのは、ある意味
「大人」としての変化なのかな。キャラメル製「静かな演劇」に近い
といいますか……（別に本当に静かなわけじゃないですが）
数年前までの強いエンターテイメント性は薄れてきてると思う。
かと言って、芸術的な方向に走ってるわけでもなく。
正当派小劇場演劇、またはストレートプレイの色が強い作品。
それをどうこう言うのは、好みの問題なのかも知れないけど。
ただ、キャラメル独自の色までも、最近は薄くなってる気がする。
前にも似たようなこと書いたけど。
作品に、いろいろ詰め込みすぎという気もしました。人物数はまだ
しも、エピソード・物語が。
キャラメルの芝居として、２時間でできる範囲を越えてるような。
説明としてのセリフの割合が増えてしまって、その分、一人一人の
感情が見えにくくなってるように思えてならなかった。セリフばかり
が先行している感じがしてしまった。それは、キャラメルのお芝居と
しては、とても残念に感じました。
２回目に思ったこと。
２回目でようやく、作品の空気を感じることができたと思います。
昨日感じた不満までは消えませんでしたけど、それでも、悲しくて
優しい物語だと思いました。
キャラメル的、成井さん的世界を、今までとは違う形で、違う部分
で感じ取りました。根底に流れる「人が人を思う気持ち」「人間への
愛情」みたいなものは、今回が一番感じられるかも。
人間が生きていることの重み、死んでいくことの重みを何度も何度
も突きつけられました。
……普段は忘れているけれど、人はいつ死ぬか分からないんです。
明日はおろか、数分後に、その瞬間が来てもおかしくない。
いつ死ぬかが分かれば、それまで一生懸命、そばにいるのに。
言いにくかった言葉も全部伝えるのに。
そう思うことは誰にでも、何度でもあるでしょう。
でも、私はこうも思います。
最期の時が分かってから、というのではなく。
それがわかってからでは遅すぎることもあるから。
普段から、できるだけ、そばにいたい。大事にしたい。伝えるべき
言葉はちゃんと伝えたい。
最後が来た時に、できるだけ後悔しないように。
（00.11.8）
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