・演劇集団キャラメルボックス『クロノス』:(6)→(8)

    11/9〜20、新神戸オリエンタル劇場での公演。
    11/12(土)の昼に観てきました。
    1階H列(10列目)9番(左サイドブロック右寄り)席にて観劇。
 
    ここをご覧の方はご存じだと思いますが、今回の作品は梶尾真治さんの
   小説『クロノス・ジョウンターの伝説』(朝日ソノラマ刊)が原作。より
   正確に言うと、収録されてる中編(100ページ前後)3つのうち、第1話
   が元になってます。
   (文庫その他の版によって収録話数が違うんですけど、現在出回っている
   最新のソフトカバー?版では確か中編3つだったかと)
 
    ジャンルとしてはSFになりますが……いわゆるSF小説を読んだこと
   はほとんどありません。高校時代は図書室に結構入り浸っていたのですが、
   その時でもあまり手に取ったことはなく(星新一さんのショートショート
   集とかは何冊か読みましたが)……その後も、たまたま読む機会があった
   数少ない作品が、どれも変にインパクトが強いものだったせいか、どちら
   かと敬遠しているジャンルだったりします(苦笑)
 
    どうするかちょっと迷ったものの結局、今年初めの舞台化発表の直後に
   (笑)原作を先読みして観に行きました。
 
    さて舞台本編ですが。
    「原作に忠実」だと聞いていたので、もっと「原作通り」の話運びかと
   思ってたんですね、観る前は。
    しかしそうではなく、2時間の物語にするために設定されたと思われる
   「原作にいない人物」が物語に深く関わってる結果、ストーリーの大筋は
   同じながら、細部はかなり違うものになっています。
    当然ながら、主人公含む人物の設定などもだいぶ変わっています。
    大雑把に思い出すだけでも、メイン二人の出会い方、原作では言及され
   ない「家族」の登場、主人公の友人の設定変更など。あ、タイムトラベル
   の回数も違ってました(原作では4回、舞台では5回)。
   (ついでに言うと、来春のハーフタイム2本立てで同じ原作本の第2話・
   第3話を舞台化するのですが、その伏線なのか、各話のメイン人物が一人
   ずつ登場しています)
 
    それゆえにと言うべきか、かなり「キャラメルテイスト化」されている
   というのが舞台初見の印象。具体的に言うと、ひたすら好きな女性を救う
   ために奔走する物語だった原作に、「家族・友人」といった要素を多めに
   混ぜこみ、再構築してるという感じでしょうか。
   
    個人的には、原作は相当に(良くも悪くも)シビアだと思っているので、
   純愛SFではあるけれどキャラメルの世界とは違う雰囲気だと考えてます。
    そして今回の舞台化では、原作の厳しいほどのシビアさが(これまた、
   良くも悪くも)抜けていると感じました。
 
    おそらく「初見のインパクト」が大きい要因だと思いますが、主人公の
   「最終的な運命」(約4千年後の未来に飛ばされる)が、原作で読んだ時
   ほどには衝撃的ではない。その点に、原作での「初見」時にちょっと怖い
   ぐらい寒気がしてしまった私としては、ある意味安心はしたのですけど、
   同時に少々物足りない気分もあって……違う視点から考えてみると、舞台
   化にあたって改変された部分は結果的に、壮絶な運命の主人公にとっての
   「救い」であるのでしょうし、改変部分が作品のあちこちに配置されてる
   ことが、逆に原作では寒々しく感じるぐらいだったシビアな部分を補って
   いるとも言えるかも知れません。
    どちらが良いか、ってことは当たり前ですけど個人によるだろうし……
   正直、私自身どちらが好みか、考えがいまだにまとまらない状態。
    原作賛美派ではないので、『スキップ』の時みたいな原作へのこだわり
   は無いのですけど……うーん。
 
    私はこの舞台化に何を期待(もしくは予測)してたのか、と考えてみて。
    いろんな意味で、特になにも考えていなかったと気付きました。
    「期待」していた部分を敢えて言うならばそれは菅野さんであり、意図
   的にかどうかはさておき、菅野さんメインの作品は心揺さぶられるものが
   多かったという、今までの自己統計に基づいた希望的予測だったわけです。
    ……観劇後の今にして思えば、菅野さんの演技の持ち味自体が、一種の
   「キャラメルテイスト」なのだろうなという気がします。おそらく、私が
   あれこれ余分なこと考えずに観ていた頃に、好きだなぁと思った類の。
    だからこそ観ていて心揺さぶられる、のかも知れません(違う言い方を
   すると「成長していない」ってことかも知れませんけど……)。
    実際、この舞台化における、あの主人公はよく似合ってます。
    もっと原作に「忠実」な作りだったら全然違う(たぶん合わない)かも、
   とも思いますけど。
 
    というわけで、原作と舞台とでは結果的に「物語」がかなり違ってます。
    だから上演台本を出してほしいなーと個人的には思うのですが……どう
   なんでしょう? 発売計画があるのかないのか。
    とりあえず今回は原作本しか売ってません。
    もし出すとしたら来春のハーフタイムの時かな……でも、1時間作品に
   する場合はあんまり原作からの改変は無いかも知れないので、だとすると
   台本も出ないかも……こういうケースは初めてなんで、予測がつきません。
                              (05.11.24)
 
 
    1月の横浜公演のチケット、先行予約時に勢いで確保していたものの、
   実は一週間前まで迷ってました。
    結局は行ったわけですが(笑)……年末にスカパーで放送された、東京
   千秋楽の映像を観てたら、もう1回生で観てみたい気持ちがちょっと湧い
   てきまして。上記のように結構お気に入りな菅野さんが、今度いつ出るか
   分からないなーというのもありましたし。
    プラス、横浜中華街は一度ひと回りしたいと前々から思っていましたし
   ……以前勤めてた会社の慰安旅行で一度行ってるんですが、スケジュール
   の都合で夕食の時間しか取れなかったのがいまだに悔しくて (^^ゞ
 
    結果的に、中華街には観劇前と終演後に時間を取って行きました。
    開演前、何だかんだとうろついているうちに1時15分になってしまい、
   それまで小降りだった雨が本格的に降ってきたりもして、焦りました……
   中華街最寄り駅も劇場最寄り駅も地上〜地下の間が遠かったので余計に。
   なんとか開演20分前には着けましたけど。
 
    この日(1/14)は2時の公演、席は2階E列6番(左端近く)。
    2階席だから舞台が遠いんじゃないかと不安だったんですけど、思った
   ほどそうは感じなかったので一安心。ライトが舞台床に映す模様がわりと
   いろいろあったのが見えて、結構楽しめました。……ちなみに神戸で観た
   時から、舞台セットは全体的に(後ろのクロノス・ジョウンターは除いて)
   『嵐になるまで待って』再演再々演に似てるとつい思ってしまう (^^;
 
    本編、自分でも不思議なくらい、観てるうちに感情移入していました。
    ……誰に、と聞かれると具体的には言えないのですけど。主人公のよう
   でもあり、他の人物のようでもあり。ともかく、ストーリーが進むうちに、
   なんだかだんだんと切なくなってきて。ラスト近くで、気がついたら目が
   潤んでたのにはびっくりしました。何度か書いていますが、めったにそう
   いうことはないので(感動してても、実際に涙が出たりはしない体質)。
    考えてみたら、キャラメルの自主的遠征観劇は3年半ぶり(2002年6月
   以来)。2004年8月にも東京へ行ってはいますが、その時は別劇団観劇が
   メインで、知人のチケット譲渡の話がたまたま同じ日だったのでついでに
   観に行った形だったので。かなり勢いでの遠征でしたが、わざわざ横浜に
   行った甲斐はあったと思いました。
                          (06.1.15/06.4.3)
 


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