南ア・大武川一の沢大滝(月稜会画像掲示板リンク)
日程:2011年1月24日(月)
メンバー:L角屋 かとちゃん みぬるくん
行程:林道ゲート(6:50)〜一の沢左岸尾根1393m(9:00)〜一の沢下部二股(10:00)〜下の大滝〜大滝取り付き(11:40)〜大滝終了(14:50)〜大滝下降〜大滝取り付き(16:00)〜1393m(17:30)〜林道ゲート(19:30)
一の沢大滝は2年前にかとちゃんと行ってアプローチ敗退をしている。その時は、地図には無い新しい林道ができていて、それに惑わされ二の沢の先まで入ってしまい、間違いに気付き戻ったが、もはや大滝にたどり着くほどの時間は残されていなかった。一の沢の遡行も非常に悪かったのも大きな失敗要因だった。「もういい!」と、再挑戦する気持ちもなくなっていたのだが、家に帰って地形図を眺めてみると、一の沢の左岸には登りやすそうに思える尾根があり、いろいろ調べてみると、山梨の白鳳会が「離れ山」に、この尾根から登っているということが分かった。「この尾根を使えば日帰りも可能だ」と考え、再挑戦する気持ちになったのだ。
かとちゃんに計画を持ちかけ約束をして当日を待っていると、チーム84のみぬるくんが「角屋さん、24日はどこかへ行きますか?」と問い合わせがあった。計画を話すと「一緒に行きたい」とのことなので、3人でもこのメンツなら大丈夫だと考え実行した。
前日みぬるくんと、同日に甲斐駒の刃渡り沢に入るメンバー3人を大崎駅で車に乗せ出発した。竹宇駒が岳神社の駐車場に刃渡り沢組を降ろし、我々二人は大武川林道に向かい、新しいダムサイトでテントを張り仮眠。かとちゃんも野沢温泉からすでに到着しており車中泊していた。
予定では6時半に出発する予定だったが、だらだらと6時50分まで引き伸ばしてしまった。新しい林道のゲートを通過し、一の沢の対岸まで歩く。渡渉が心配だったが工事用の橋ができており、難なく川を渡ることができた。渡った先が離れ山北稜の取り付きだ。けもの道を利用して尾根に上がると、はっきりとした踏み跡が現れる。原生林の気持ちのいい尾根の上は、ほとんど迷うようなところはなく、目標の1393mのピークに達することができた。尾根そのものの標高差は500mくらいなので、1時間余りで到着するかと考えていたが、もう少し余分にかかってしまった。1393mのピークに着くと大滝が眺められた。「でかい!立派な滝だ」。「あれを登るのか」と思うと気持ちが引き締まる。山肌にはほかにもいくつかの凍った滝が見つかったが、大滝に比べると物の数ではない。何せ大滝は170mの大氷瀑だ。
1393mのピークから東に派生した尾根を下る。尾根は急で凍っているうえ、いくつかに枝分かれしていてルートファインディングも難しい。最後は懸垂下降して、何とか迷わずに一の沢に降り立った。降り立ったところは「おいしいところ」が始まる絶好のポイント。登攀準備をして小滝を越えていく。すると下の大滝が現れる。50mの大氷瀑だが、その先に待ち受ける170mの大滝に比べればまさに前座だ。W級程度なのでさっさと登り、さらに沢を詰める。そこに突然目的の大滝が現れる。全体的な傾斜は強くないが、なにしろでかい!すでに11時半。手際よく登らなければ日が暮れてしまいそうだ。荷物は一つにまとめて、フォローのひとりが担ぐことにする。
1ピッチ目はかとちゃんがリードする。このピッチはV級程度だが結構長い。スムーズにロープはでていくが40mでロープが出たり入ったりしている。確保支点を探しているようだ。予定では40m以降は同時登攀で60mまで登ってしまおうと行っていたのだが、40mのその先が悪そうに感じたらしい。そこで一度ピッチを切ることにした。
2ピッチ目もV級程度の20m。ここもかとちゃんがリードし、安定したテラスでピッチを切る。
3ピッチ目は核心のX級50m。みぬるくんがリード。やさしそうに見えるが、1か所が悪いらしい。ちょっと難儀をしている。スクリューも5m置きにとっているので30m余りで使い果たしてしまい、やむなく右壁の灌木でピッチを切ることになった。
4ピッチ目は私がリードする。本来4ピッチ目はW級+の40mらしいが、3ピッチ目の残りも合わせて登ることになったので、ロープの長さが心配だったのだが、とりあえず登り始めてみた。結局ロープは50mぎりぎりで安定したテラスにたどり着き、ピッチを切ることができた。
残りの5ピッチ目は、本当に「残りの・・・」という登攀だったが、これを登りきらないと「完登」とは言えない。かとちゃんがリードするがロープは50m伸びきってしまう。しかも声が届かず、さらにロープは引っ張られる。仕方なく私とみぬるくんはセルフビレーを解除し、同時登攀に切り替える。最後は60mほど登り、大滝を登りきった。さらに上には立派な氷瀑がかかっているが、目的は達成したし、もう下降を考えるとぎりぎりの時間だ。「登りきったからには、もう未練などない」と、さっさと下降に移る。左岸の藪の中を下降するがなかなか難しい下降だ。藪がうるさくロープは引っかかりやすそうだし、ピッチの切り方も考えて下らなければならない。しかし結果的にはスムーズに下降でき、朝来たアプローチをたどって下山。1393mで暗くなってしまったのでへっでん下降になった。登りでは単純な尾根道も、下りでは微妙に枝分かれしていて2か所ほど迷った。車に戻れたのは19時30分だった。