日程:2008年3月17日(月) |
メンバー:Lワシ カトチャン(月稜会) ゆーと君(チーム84) |
行程:ロープウエー駐車場(4:00)−(新道)−虹芝寮−(K3右稜)−(K3左稜)−滝沢取り付き(7:30)−K1ピーク(10:30)−βルンゼ下降−取り付き(11:30)−虹芝寮(12:30)−ロープウエー駐車場(13:40) |
堅炭岩滝沢について 堅炭岩とは幽の沢のさらに先、芝倉沢の手前の小さな沢「堅炭沢」を上り詰めた奥壁だ。K峰・K1・K2・K3・K4と5本の指を立てたような堅炭の岩峰。そのK峰とK1の間に落ち込むルンゼが滝沢だ。今から30年も昔、我々月稜会の先輩たちが情熱を注いで開拓した岩場だが、この滝沢の冬期登攀は、当時山岳同志会の鈴木昇巳氏らによって行われた。その頃月稜会にはピオレトラクションの技術はなく、滝沢は登攀の対象としてみることができなかったのだ。 直ぐ左に「ノコ沢の大氷柱」があるが、月稜会員のワシとしてはそちらより「滝沢」のほうが登りたい。ゲテモノ好きというかへそ曲がりというか、そんな性格のせいでもあるが、やはり我が会のフィールドだった堅炭を登りたいのだ。 滝沢は、ノコ沢に比べて雪崩の危険が少なく、アプローチも安全性の高いK3右稜からとなる。マイナー志向のクライマー向けのルートではあるが、谷川冬期登攀のひとつの選択肢として、十分な価値があると思うのだが・・・。 |
アプローチ わしはロープウエー駐車場を5時に出ようと言ったんだが、ゆーと君が「ええ〜?」と怪訝そうな声を出すので、いやいやながら3時半におきて出発することにした。わしは早起きが苦手なんだよ。 4時に出発。駐車場の裏から、強引に土手を下り新道に出る。わしとゆーと君はスノーシュー、カトチャンはワカン。でもしっかり踏まれているのでらくチン。マチガ沢、一の倉沢、幽の沢を過ぎると、トレースは芝倉沢の帰りのスキーのシュプールだけになる。芝倉沢出合の虹芝寮までは1時間。そこからこの時期には芝倉沢の支流のように見える「堅炭沢」に入る。しばらく沢の中を登り右の尾根に上がる。樹林を抜けるところにスノーシューをデポ。これがK3右稜。この尾根を登っていくと、行く手に堅炭岩が見えてくる。目指す滝沢は行く手の左のほうに見えてくる。K3のカールをトラバースして、K3左稜を越えなくてはならないが、カールにたまった雪には亀裂が入っていて、それらを越えていかなくてはならない。気持ち悪いが仕方ない。 7時近くなり、明るくなると、でかい「ノコ沢の大氷柱」に比べて「滝沢」はかなりしょぼく見える。でもわしらが登りたいのは、メジャーなノコ沢じゃなくて、マイナーな滝沢。浮気心がわかなかったか?といわれれば「はい!」とはいえないが・・・。 取り付きには7時30分着。シュルントはでかいが、辛うじて取り付ける。 |
登攀 1ピッチ目、ゆーと君がリードで登る。シュルントは辛うじて橋が架かったようにつながっているので、それをまたいで氷の右端に取り付く。氷の質が悪くぐさぐさだ。氷というよりも雪が固まったような感じ。足元が崩れる。プロテクションもまともに取れない。かなり時間を食っている。それほど難しそうには見えないのだけれど、かなり悪そう。ビレーしている我々も、いつシュルントにかかった橋が落ちるか、と創造して気持ち悪い。気温が高くてどんどん氷が解けていく。ロープが50mまで伸びきってピッチをきる。フォローしてビレー点までたどり着くが、やはり技術的な難しさというより、氷も不安定さが恐かった。ビレー点も二人でビレーしていると、氷ごと崩壊して落ちるのではないかと不安になる。 2ピッチ目もゆーと君がリード。1ピッチ目より氷は安定していて快適そうだ。右から張り出した岩の影に入っていって姿は見えなくなるが、傾斜が落ちて簡単になり、ロープがどんどん出て行く。50m伸びきって終了。このピッチはフォォローも快適だった。 3ピッチ目は1本のロープで加藤君が先行する。チムニー状のルンゼをガンガン登っていく。やさしい。僕とゆーと君もビレーをやめて追いかける。7〜80mほど雪壁を登ってK1のピークに立つ。10時半。 |
下山 K1のピークでのんびりした後、βルンゼの折口へ向かう。ノコ沢から下ってきたと思われるふみ後はβルンゼの懸垂支点より上の岩にシュリンゲを残置して降りていた。3ピッチの懸垂で降りたが、ルンゼ内の雪はズタズタで、歩いて下るのは恐いので、3ピッチ目はスノーボラートを作って懸垂。 後は往路を戻る。朝はガスがかかっていて良く見えなかったが、滝沢は、ノコ沢に比べるとむしろミックスの要素が強く、アルパインクライミングルートとしては充実しているように見える。 |