SportsEssays

びーだぶ流サッカー観戦入門


ご説明:このページは見易さを考慮した上で第一章が一番下にきております。


序章:サッカー観戦の誘い

「サッカー観戦」。
それは私が長年愛して止まない大いなる趣味である。それは私の中で多大の時間と 労力を投入するに値するイベントであり、また今までの人生を語る時スケー ルとなりうる程の要素を含有した物である。
例えば「ドーハの悲劇って確か俺が転職した歳よな〜」だとか、昔を語るに その時々の観戦の記憶が必ずついてまわる始末である。
そうして行くうちにやはりその経験の分だけ観戦のポイントや観戦の楽しみ 方が、自分なりに増えてきたなと思うようになった。この辺を押さえていな いと「どちらが勝った」「何点とった」と言う視点だけではその競技特性か ら言って、試合数も少なく、入る得点も少ないサッカーという競技ではなか なか楽しめないのである。

この企画では今まで自分が培ってきた楽しみ方を、ここらで一度まとめてみた いと思う。そしてこの企画が誰かのサッカー観戦の助けとなり、ひとりでも 多くの人がサッカー観戦をより楽しめるようになればと思う。
幸いにもあと数年で、サッカーのみならず世界最高の大イベント「2002年 日韓ワールドカップ」が開催される。このイベントを楽しむ為にも、今からサ ッカーの楽しみ方を自分なりに掴んでいれば、2002年はあなたの人生に とって至福の喜びをもたらすと思う。

「サッカー見るのって、メチャおもろいで」


目次:

番外編:やってみるべしtoto予想20010907
第四章:「シドニー」(サッカー観戦の基礎知識 :ブリリアントな至宝たち)20000906
第三章:「サッカーの神様」(サッカー観戦の基礎知識 :試合にまつわる悲劇と歴史)20000606
第二章:「オラがチームは強いべさ」(サッカー観戦の基礎知識 :クラブチーム)19991104
第一章:「国どうしのケンカ」(サッカー観戦の基礎知識:代表)


番外編:やってみるべしtoto:結果

はい。
惨敗でございます(-_-メ)
これだけ外してしまうとは、我ながら凄いもんだと思っております。

Home H A Away 言訳 結果
札幌 1     福岡 呂比須が大爆発してた・・・ ×
市原 1     浦和 これは予想通り
1     C大阪 これは予想通り・・・でもなぁ( ̄□ ̄;
東京V     2 磐田 これも予想通りだけど延長だった
清水     2 横浜FM うーダメダメじゃん。俊輔も完全には遠いし ×
G大阪 1     F東京 ええ、私アマラオ先生を忘れておりました ×
神戸 1     鹿島 惜しい!延長後半まで持ちこんだのに・・・ ×
広島 1     名古屋 ピクシーの穴も埋まりつつある名古屋。見直した。 ×
山形 1     鳥栖 これも予想通り
新潟 1     横浜C これも予想通り。やっぱり気合いや
仙台     2 大分 これも予想通り
湘南     2 大宮 どうした大宮!このまま沈んでしまうのか? ×
京都 1     甲府 さすが京都、安定感あるわん

次回こそ、頑張ります<ぼそ。

番外編:やってみるべしtoto予想

売上が落ち込んだ途端、マスコミに叩かれまくっているtotoだけど、 日本のサッカー界、引いてはスポーツ界の更なる発展を祈願して 今流行りのTOTO予想を公開することにした。いつもやっている訳 ではないのだが、今後時々はやっていこうかなと思っている。
ってまぁお遊びなんでお気楽に♪

ちなみに私の買い方は「男は黙ってシングルの1点買い」である。 ちなみに購入価格は100円。やたらと貢献度は低い買い方だが、 その分分析にも気合が入るってものである。

では早速、9/8開催分の予想に行ってみよう。

Home H A Away コメント 結果
札幌 1     福岡 得点王擁するFWの差が出て僅差で札幌か -
市原 1     浦和 監督交代の浦和、今の市原には厳しいかも -
1     C大阪 崖っぷちセレッソも破壊力ある柏に苦戦必死 -
東京V     2 磐田 王者磐田、静岡ダービーを制した勢いで完勝 -
清水     2 横浜FM 横浜FM以外をつけるくらいならTOTOはしません -
G大阪 1     F東京 新戦力がどこまで機能するか<F東京 -
神戸 1     鹿島 大穴狙い!柳沢を抑えて死角を狙え -
広島 1     名古屋 接戦だが広島の攻撃力侮り難し -
山形 1     鳥栖 柱谷監督がやと馴染んだか?上昇気流と見た<山形 -
新潟 1     横浜C これ以上負けられない新潟の気合いで勝ち -
仙台     2 大分 ベンチーニョ爆発で圧勝 -
湘南     2 大宮 首位の面目を発揮か<大宮 -
京都 1     甲府 前節引き分の京都、首位戦線生き残りを掛ける -

ちなみに今回の大穴は神戸VS鹿島である。
神戸と言うチームは意外とビッグ・イーターだったりする事がある。 優勝戦線に絡んでくるチームが序盤でコロっと負けたりする。以前 磐田も横浜FMも痛い目にあった。これで特に鹿島は今絶好調なの で、調子に乗って攻め込んでいると足元をすくわれてしまうかも。
もし当たればちょっとでかい。頼むぞキング・カズである。

第四章:「シドニー」(サッカー観戦の基礎知識 :ブリリアントな至宝たち)

最強の五輪日本代表

まもなくシドニーオリンピックが開催されます。マスメディアの間でも金メダル見えた!だとかの 記事を最近よく見かけます。前回のアトランタの時は28年ぶりの出場が重要視された大会でした。 また初戦にブラジルとの対戦に注目が集まりました。しかし今回はメダルの声も聞く程の結果が求 められている大会です。
そこで直前ですが、これを押さえておけば熱くなれる!的な情報を書いておきます。これだけ知っ てりゃなんとかなりますので、ぜひ初戦までに一度目を通して下されば幸いです。

ブラジル相手に消化試合?〜予選はこう見ろ〜

まずスケジュール。日本は予選D組に所属し、この4ヶ国から上位2ヶ国が決勝トーナメント に進めます。日程は以下の通りです。

9月14日(木)南アフリカ戦
9月17日(日)スロバキア戦
9月20日(水)ブラジル戦
です。
この組み合わせと日程は、日本にとって大変恵まれたと言えるでしょう。上位2ヶ国に残る為にはやはり最低2勝はしたいところです。という事はモンスターと言われるブラジルと戦う前に2勝することが、この組み合わせでは可能なのです。要は日本としてはブラジル戦を消化試合にしたい訳です。理想としては日本が2勝、ブラジルが2勝の状態で第三戦を迎えられれば、他の2ヶ国は2敗している事になりますから、消化試合になる訳ですね。

逆にもしどこかで引き分けもしくは1敗でもしたらとんでもない事になります。
そうなれば3戦目のブラジル戦の成績いかんで決勝進出が決まる訳ですから、あのブラジル相手に勝ちまたは引き分け狙いに行かねばなりません。前回のアトランタでは初戦がブラジル相手だったので、日本は一発狙いに行けた訳です。しかし今回はさらに上位を狙う為、そんな玉砕覚悟の戦い方は出来ません。前2戦を戦い抜いて疲れた状態で、ブラジル相手に互角の戦いを挑まねばならないのです。
もしそこで勝ち抜けたとしても、そこからは他のグループの勝ち上がってきた強豪との対 戦が待っているわけです。コンディション的には最悪の状態です。 逆にブラジル戦が消化試合になればレギュラー組を休ませる事も可能ですし、前2戦でカード累積者が出たとしても、そこで消化出来る訳です。あと、ここで一度ブラジルと戦っておけば決勝トーナメントで勝ち進んだとしても、次に対戦するのは決勝戦まで当たらなくても済む事になります。

結論から言うと日本の予選の戦い方として「南アフリカ、スロバキア戦に全力を注ぐ」という事になると思います。あえて3戦全部を勝つ必要はないのです。

そしてこのプラン通りに行ったとすると、予選最大の見所としては第2戦のスロバキア戦が最大の激戦となるでしょう。その時日本はこの試合を勝てば上位進出が決定しますし、スロバキアはブラジル戦を終えている訳ですから、最後の望みを託してぶつかって来ると思われます。このスロバキアを退けて、次の消化試合である?ブラジル戦を迎えたい所です。

ブリリアントな至宝たち〜五輪日本代表について〜

次にシドニーへ乗り込む我が五輪日本代表について解説します。この史上最強のチーム の最大の特徴は「組織力」と言えるでしょう。元来過去より日本の代表チームはこの「組織力」が売りでしたが、トルシエ監督が率いるようになってからさらに磨きがかかりました。基本的にどこの国でも代表チームは「寄せ集め」的な要素が強いので、「組織力」を養う為の合同練習や試合をこなす事が難しい面があります。そこでトルシエはA代表と五輪代表の監督を兼ねている事から、A代表に五輪代表の選手を多く抜擢する事で経験を積み、組織力を高めました。

ご存知の通り、サッカーという競技は個人競技や野球より、組織力や戦術理解が勝敗の要因として大きなウエイトを占めます。特に日本人はそういう「頭と訓練」は得意ですし、フィジカル面で他国に遅れをとる分組織でカバーします。そういう意味でこのチームは日本人の特徴をフルに生かしたチームと言えるでしょう。

その結果、欧州勢にも引けを取らない熟成さを持ち、かつ中田英を中心としたタレント揃いのチームに仕上がったのです。特に中盤からの攻撃力はかなりのものだと思います。Jリーグが発足して、日本サッカー界が大きく進歩した、新時代の選手ばかりです。総合強化というプログラムの結果、多くの宝石から磨き上げられた、美しく強い選手たちです

五輪日本代表を見てみると大きく4つの世代から編成抜擢されています。時代の新しい順に分けて見ました。

1.’99ナイジェリアユース組
稲本、高原、本山、明神、酒井、中田浩、中澤

彼らは昨年記憶に新しいナイジェリアで開催されたジュニアユース選手権で、日本サッカー界初の世界大会ファイナリストとなり、準優勝に輝いたチームの面々です。当時はトルシエ監督のもと「トルシエ・ベイブス」(トルシエとその息子たち)と呼ばれていました。 今回コンディション不良で惜しくも召集されませんでした小野伸二もここに入る予定でした。残念。

2.U−23組
柳沢、平瀬、中村、都築、宮本、西

彼らが元来の五輪代表候補として全国から選抜されていたチームです。当初の立上げ時からは大きくメンバーも入れ替わってしまい、最終的には彼らのみが残りましたが、この2年間U−23の屋台骨を支えてきた面々です。また彼らはナイジェリアユース組の前の大会であるマレーシアユース組でもあります。この時はベスト8という好成績でした。

3.アトランタ組
中田英、松田

ご存知マイアミの奇跡を戦い抜いた英雄たちです。実際彼らは年齢的にはU−23に属しますが、ここでは経験差を考慮してアトランタ組としました。彼らは2回のオリンピック出場を経験するという、サッカー界では稀な存在です。

4.オーバーエイジ組
楢崎、森岡、三浦淳

決定まで我々をやきもきさせてくれたオーバーエイジ組。もちろん全員現役バリバリのA代表で、特に守備力の強化を中心に召集されました。特に三浦淳は左右MFと守備的MFをこなせるオールラウンダーです。短期決戦を見込んだトルシエらしい選出だと思います。ただ、個人的には楢崎より川口やろと今でも思っていますが(汗)

こうして眺めてみると当然ですが、かなり若い世代だということが分かります。国際経験も豊かで、全員がトルシエ監督の元に組織力を固めた面々です。そして彼らは、開催まであと二年を切った2002年W杯の中心選手となるでしょう。サッカーは五輪は五輪では終わらないのです。2002年、そしてその後のW杯に向けて終わりなき強化の一貫なのです。

さらに何人かをピックアップしてみましょう。

中田英寿

あの人です(笑)。
しかし今回の五輪ではあまり目立った活躍は出来ないのではと思っています。
というのはあまりにもビッグネームすぎて、彼にマークが集中するのは目に見えているからです。ちょっと足元にボールが入ろうものなら、すぐに2、3人はぶっ飛んでくることでしょう。そういう意味で彼は今回、オトリ的な動きが多くなるのではと思います。つまり彼が敵選手を引き連れてそこにスペースを作ったり、わざと相手DFラインまで上がってオフサイドラインを混乱させたりと、ボールのない所での活躍が増えると思います。そうすると当然TVに写る機会も減る事になり、あまり目立たないかもしれません。 ただ、この2年でそこまで進歩した存在です。ただのオトリで終わらずに、大活 躍して我々の予想を裏切って欲しいものです。
ちなみに現五輪代表で仏W杯のピッチを踏んだのは彼だけです(小野が未召集の為)

中村俊輔

最近新聞でも彼の名前をよく目にすると思います。それを見る度お前ら遅いわとほくそえんでるのは私だけでしょうか?現在日本を代表する攻撃的MFで、フリーキックの名手でもあります。特徴はパス、ドリブル、シュートと攻撃的な要素を非常に高いレベルで兼ね備えてます。ただ代表では中田英がいる為に、左サイドの選手として使われることが多いです。しかし彼の才能は場所が変わったとしても、その輝きを失うことはありません。 シドニーでも正確なパスとトリッキーなドリブルで、相手チームを恐怖のどん底に叩き込んでくれるでしょう。もういちおしっ!!
もし今回大活躍したら間違いなく来シーズンは海外でしょう。マリノスで入団当時25番を背負ってた頃からのファンとしては、少し寂しい気もしますが。

稲本潤一

かわいい顔して相手のエースをことごとく封じ込めてくれる、ボランチ(守備的MF)としてもはや日本には欠かせない人材です。インタビューでのベタな関西弁は巨人の清原と同じ位有名です。
毎度書いてますが、あのドゥンガをぶっ飛ばし、ピクシーをなぎ倒し、都波(元日本代表)に引退を決意させたバイオレンス度NO.1な「いなもっちゃん」です。しかし、さすがにフランス戦ではジダンにいいようにあしらわれてましたが・・・
2002年はジダンも張り倒せ!いなもっちゃん。

本山雅弘

全国的にはあまり有名ではないかもしれませんが、今回日本の切り札的存在になると思 います。彼の武器はなんといっても、あの強烈な高速ドリブルです。相手の守備陣に切り込んでは相手を混乱に陥れてくれるでしょう。接戦で彼が投入されたら「トルシエはどうしても1点が欲しい」と言う事です。出場したら守備のことなど気にせずにガンガン突っ込んでいって、相手守備陣をズタズタに切り裂いて欲しいです。あ、ちなみに地声はハスキーでとても高いです。はじめてインタビューを聞く人は、大体一度はずっこけそうになります。


1998年仏W杯が終わった後、W杯初出場という夢のような時間と3敗という苦い結果と共に世間の喧騒も収まった頃でした。我々サッカーファン同士で、次のW杯はどういうメンバーだろうとよく話し合った事を思い出します。 そしてその時にいつも出て来てたのが中盤の編成でした。中田英、中村、小野、稲本、名波、前園等の将来の中盤の人材の名前を挙げては、やれアイツはここだとかコイツはいらんだのとよく議論をしたものです。そしていつも最後には「黄金の中盤やな〜」と言う夢を抱いて、また新たに議論に花を咲かせたものでした。

あれから約2年、その黄金の中盤が遂に世界にデビューします。
当時とは思い描いていた形ではないかもしれませんが、それでもみんなが長い間夢に見ていたチームがとうとう世界に挑みます。長いようで短かった季節が過ぎ、トルシエという指導者の元、本当に新時代の日本代表の原型がここに羽ばたきます。

さあ、また熱い季節の始まりです。12人目の我々も、彼らと共に世界に挑みましょう。

コラム:中田英寿と中村俊輔
「ダブル司令塔」。
この言葉を最近よく聞くが、もちろんこれは現在の五輪代表の攻撃陣の事を示す。中田英寿と中村俊輔の事である。 以前はこれに小野伸二が加わっていたものだから、実はもう収拾がつかないほど司令塔が揃っていたのである(笑) もちろん比較する事に意味はないのだが、それでもやってみたいのがファンの心というもの。無意味と知りつつも 比較してみたいと思う。

まず共通する点。双方とも攻撃的MFであることである。それとパスが持ち味である。フィニッシュに絡む所での ラストパスが最大の見所であろう。それと二人ともシュート力もあり、得点に絡める事だろうか。

では俊輔にあって中田にないものといえばなんだろう。
それはドリブルである。もちろん中田もそれなりにはこなせるが、敵守備陣を切り裂くようなドリブルではない。 ここが最大の違いだろう。つまりゴール前で「パスの受け手」となった場合、より俊輔のほうが攻撃的なのである。

逆に中田にあって俊輔にないもの。
それはフィジカルでの強さである。これはさすがセリエフットボーラーと頷け るものがある。フィジカルが強いという事は色々なシーンで強みを持つ。ゴール前でパスを受け取った時、敵を背 負ってボールキープが出来る。また中盤から前線にボールを運ぶ時、敵を引き摺りながら前に進める。すると自ず と前線にスペースが出来る。おまけに守備にまわった時、第一防波堤として相手の攻撃をより高い位置で食い止め られるわけだ。

そういう点を考慮するとこんな攻撃パターンが一番ハマると思う。
まず敵の攻撃を自陣ゴール近くで食い止めた後、ボールが俊輔に出る。カウンター気味になったところで前線には FWが走って、敵DFを引っ張っている。そこに少し遅れ気味に入ってきた中田にパス。そのまま中田は敵陣ゴー ル前まで運ぶ。そこで敵DFが集中した所に俊輔が後方から中田を追い越してゆく。前線にはFWに引っ張られた DFがスペースを空けている。
そして俊輔に向かって必殺キラーパス。ドンピシャで受け取った俊輔が慌てて戻る DFを必殺ドリブルで切り裂いてシュート。もしそこでGKに弾かれたとしても、切り裂かれてフリーになってい る中田、もしくはFWが後ろからゴールに詰めて、敵陣ゴールネットを豪快に揺らす。

・・・これですなぁ、これ。あーもう最高。
もしカウンター気味に攻撃が始まったら、思い切り期待しよう。

第三章:「サッカーの神様」(サッカー観戦の基礎知識 :試合にまつわる悲劇と歴史)

よくある話

Jリーグ2000年、前期の優勝チームは我が横浜F・マリノスに決まった。開幕で躓きながらもなんとか建て直しに成功し、それでも首位攻防戦で競争相手に敗れてしまった。それでも僅かな可能性を信じ戦い抜いた結果、最終節で首位のチームが下位チームに敗れてしまい奇跡の逆転優勝を果たしたのである。

今年から指揮をとった名将アルディレス監督のもと、中村俊輔、川口能活、松田直樹など日本代表クラスの選手を中心に、選手たちが最後まで不屈の精神でシーズンを戦いぬいた事が最大の要因であろう。昨年、城、井原様などの同じく代表クラスの選手を放出した上に、今シーズン後半には大黒柱である柳相鉄(ユ・サンチョル:現役韓国代表)をケガで失ってしまった。チーム始まって以来の最大の危機を、キャプテン上野良治を中心に苦しみをバネにして戦い抜いた結果が逆転優勝につながったと思っている。

ただ、今回お話したいのは、実は素晴らしい結果を残した我が横浜F・マリノスの事ではない。それは別の機会に私の気が済むまで、たっぷりと語らしてもらうのでそれはそれで楽しみにして頂きたい(笑)

今回お話したかったのは、我がFマリに最後の最後に逆転負けを食らってしまった「セレッソ大阪」の事である。

今回セレッソ大阪は最終節の前節に首位をかけてFマリと直接対決を行っている。豪雨が降りしきる中、追いすがるFマリをロスタイム寸前で振り切り、見事勝利を収めて首位に踊り出たのである。そして最終節、Vゴール勝ち以上ならば即優勝決定という状態で、ホームに今期15位のフロンターレ川崎を迎えたのだ。セレッソ大阪にとって、これ以上ないという好条件で望んだ試合である。殆どの人がセレッソ優勝という確信を持った筈である。普段1万人程度しか入らない長居スタジアムに4万3千人が押しかけたのは、その証拠だろう。みんな優勝する瞬間を見たくて、長居スタジアムに詰めかけたのだ。

・・・実は私もその時、長居スタジアムにいたのである。そもそもセレッソ大阪は結構古くからの付き合いで、J2時代からご近所さんと言うこともあってよく試合を見にいってたのだ。今となっては当時の選手は森島選手(セレッソ大阪MF:現日本代表)くらいしかいなくなってしまったが、それでもJリーグに昇格した時は夢のようだった。昔は守って守ってカウンタ一発というベタなチームだったが、それでもハマれば嘘のように強かった。何せ昇格時の天皇杯では、カズ、ラモス、北澤らを擁する当時最強クラブだったヴェルディ川崎相手に、消耗戦を仕掛けて、散々守り倒してカウンタ一撃で沈めてしまったのだ。当時の新聞は、ちょっとした奇跡だと騒ぎ立てたくらいである。

つまり私の中では1番Fマリ、2番セレッソという順序立てが出来ていたのである。今までは特にセレッソの方がそんなに強くなかったので、まさかその両チームが優勝争いを繰り広げるとは、夢にも思わなかったのである。 だから首位決戦でFマリが敗れた時点でセレッソの優勝を喜ぼうと思い、当日長居に詰めかけたのである。

その日は大雨だったにもかかわらず詰めかけた大勢の観客が見守る中、勝って優勝を決めるバズの試合を見守った。前半は特に盛り上がることもなく、0−0のまま終了した。この時点ではみんなまだ余裕だったのだ。確かに雨で動きは良くなかったが、尹晶煥(ユン・ジョンファン:現韓国代表)、盧廷潤(ノ・ジュンユン:現韓国代表)の韓国代表コンビを中心とした攻撃陣は得点の匂いをプンプンさせていたし、なによりスタジアムの熱気が負ける事など有り得ないと思わせていた。するとどうだろう、後半立ち上がりにあっさりと先取点を奪われてしまったのだ。何かエアポケットにでも陥ったかのような感覚だった。集中が一瞬途切れた所を狙われた。だが、その時も我々はまだ安心していた。何せ攻撃力はJ屈指のセレッソである。殴り合いになれば負ける筈は無い。

そして我々の期待は現実の物となり、西澤が同点ゴールを決めたのはそれからそんなに立たない頃だった。その時フロンターレ関係者以外の数万人は、これであとは時間の問題だなと思っていた。いつものように立て続けに得点を挙げ、試合終了とともに歓喜の渦に巻き込まれる長居スタジアムを想像していた。だがしかし、そこからの現実は少し違っていた。攻めても攻めても点が入らない。そして後半終了のホイッスルが鳴った。 延長戦突入である。

それでもまだ安心していた。負ける事など誰も考えていないし、もちろん望んでもいない。感動的なシーンがちょっと先に伸びただけだ。必ず延長戦合計30分の間には、紙テープを投げ込む事になっている。そして延長戦が開始されてからも、さらにセレッソは猛攻を仕掛け、相手はほとんど虫の息だった。次のシュートこそ、・・・あぁ残念。次こそ、まだかいな。そんな雰囲気のまま試合は時間を減らしてゆく。そして延長後半開始直後、サッカーの神様は長居スタジアムに現れたのである。

必死にゴールを守ったDFから、ほとんどクリアに近いボールをマイボールにしたフロンターレ攻撃陣は迷わずゴール前にボールを上げた。セレッソのDFも人数も揃っていたし、相手も一人が飛び込んできただけだった。にもかかわらず、その一人はDFをかわしてダイレクトシュートを放つ。そしてボールは冷たくセレッソゴールに突き刺さった。瞬間4万数千人の長居スタジアムが、静寂の世界にダイヴしたかのように音を失った。

負けたのである。
それはただの1敗ではなく、ほとんど自分達の物だった優勝が手のひらから滑り落ちた事を意味する。その現実に包まれた瞬間、だれもどうしようもない悲しみに包まれた。こうしてセレッソはフロンターレのカウンタ一撃で沈み、寸でのところで優勝を逸してしまったのである。それは一部の人たちにとってあってはならない話だが、より大きな人達の間では「よくある話」であった。

サッカーの神様は、よくこういったいたずらをするのだ。
一番身近な例でいうと、数年前日本中が体験したドーハの悲劇もそれに類する。また同時期にフランス代表も、ロスタイムにオーストリアに逆転弾を叩きこまれてW杯への切符を失った。また今年のイングランド、ドイツ、イタリアなどの世界中のリーグ戦でも、最終節に優勝が決まるドマラティックな展開の年だった。
「大逆転」。それはサッカーを見る者を歓喜の渦と地獄の闇に叩きこむ、最高のエッセンスである。

有名な話だが、サッカーの神様は意地悪でイタズラ好きである。決してやさしい微笑みなぞ恵んでくれる事は無く、ただただイジワルなのである。そして、ただの玉蹴りの結果を、いとも簡単に壮大なドラマに仕立ててしまう。すばらしい芸術家だろう。長い戦いの中で、いつも最後の最後にその姿をあらわしては、気まぐれに筋書きをちょちょいといじくっては人の心をもてあそんでは消えてゆく。

ただ、サッカーの神様はいつもひとつだけ教えてくれる。イジワルを食らってしまった人達に「おまえ達はまだ栄光を掴む力はなかったんだよ。もっと実力をつけろ」と。
・・・どこまでもイジワルな神様である。

だが、そうした試練に屈することなく這い上がった者は、必ずと言っていいほど強くなってゆく。日本代表は次のフランス大会に出場を果たしたし、フランス代表は6番目の優勝国として、最高の喜びを享受した。サッカーの歴史は、常に敗者の屈辱と復活によって彩られているのである。そういったドラマティックさが世界最大のスポーツとして、長い間人々に愛されている要因であろう。サッカーは長くつきあえばつきあうほど、そのおもしろさは積み重なってゆく。本当の勝敗はその試合だけで着くのではなく、長い歴史の中で決まってゆくのである。いや、もしかしたら勝敗と言うものは、永遠に決まらないものなのかも知れない。

セレッソはきっと本当の強さを手に入れるだろう。
そうでなければ、サッカーの神様は「神様」ではない。

コラム:神様いろいろ
サッカーの神様は世界的に有名だが、その他にもサッカーに関する神様というのは、世界各地で目撃されているらしい。さすがは世界最大のスポーツである(笑)

有名どころでいうと「チャンスの神様」もかなり有名だ。
この神様は全身を油で塗りたくり、細い前髪だけが垂れ下がっていて、いつも凄いスピードで我々の前を走り去ってゆくそうだ。その神様を捕まえるには前髪を掴むしかないのだが、いつも捕まえられずチャンスを逸していく。そして体が大きければ大きい程滅多にあらわれす、スピードも速くなってゆく。そして苦労して苦労してやっと捕まえたと思った瞬間、その全身に塗りたくられた油のお陰で、つるりと逃げられてしまう。
そうしてる間にどんどんとチャンスを逃してしまい、いつの間にか散々な結果に終わってしまうそうだ。

なんとも嫌な神様ばかり揃ったものですな(笑)。

第二章:「オラがチームは強いべさ」(サッカー観戦の基礎知識 :クラブチーム)

Jリーグのこと

日本で今時サッカーの試合を見に行こうといった場合、たいていの場合 「Jリーグ」の試合の事を指す。さすがに「J リーグ」をご存知無い方 はおられないと思うが、いちおう説明しておく。「Jリーグ」は日本に ある16のクラブチームが戦うプロサッカーリーグである。
1999年度よりトップリーグの「J1」 (ディビジョン1とも呼ばれる)16チームとその下のリーグ 「J2」に分かれ、その年度のJ1の 15、16位とJ2の1位、2位が自動入替に なる(入替制度)。
発足は1995年、オープニングゲームはヴェルディ川崎vs横浜マリ ノス(当時)であった。ちなみにJリーグはJFAの下部組織であり、 Jリーグに所属=JFAに所属になるので日本国籍を有する選手は全員 日本代表になれる資格を持つのである。

さて、Jリーグに限らずクラブチームに言える事は 「ホームタウンに根づいた活動」を目指しているという事だろ うか?Jの場合はチーム名に必ず その地域の名前を冠しており、下部組織にも 必ずその名前が使われている。これは何故だろう。それはJリーグが発 足した時からうたわれている「Jの理念」とい う考え方に基づいているのだ。「Jの理念」の中に 「Jリーグ100年構想」というプランがある。その考え方は 私にとって多いに共感できる考え方であり、支持するに値するプランで ある。何故、何の為にJリーグは生まれ、存在しているのか。その条文 を簡単に紹介する。

「Jリーグは、サッカーに限らず「地域に根差したスポーツクラブ」が できることで、人々がともにスポーツに親しみ、世代を超えた交流を広 げ、豊かな人生を過ごしていけるものと考え、全国各地に誰もが気軽に 行けるスポーツクラブを地域と共につくっていきます。」 (一部要約。詳しくは 日本プロサッカーリーグ 「Jリーグ100年構想」参照)

この理念は初代チェアマンにして、Jリーグの生みの親といわれる 川淵三郎氏が提唱した理念である。いっとき、 その力強い信念と発言のせいで、企業オーナーと一戦交えていたりして かなり有名になった。
彼は以前インタビューの中で、

初めてヨーロッパに行った時、そこらの公園や 郊外で、緑の芝が美しいサッカーグラウンドが街中にあふれかえってい た。そこでは小さな子供たちや地元の少年サッカー、または大人たち同 好会クラブや年配チームなどが夕方や休日になると、そこでサッカーを 楽しんでいる光景を見た。
その頃の日本は石ころが転がった河原や空き地、よくても学校の土のグ ランドしかなくて、代表選手でも芝が張ってあるグラウンドでボールが 蹴られる事はまれだった(川淵氏は元日本代表DF)。それに比べてな んとうらやましい事だろう。それ以来、心の中で憧れる風景はヨーロッ パの街の風景であり、私の長年の夢だった。 日本もこうなったら、なんと素晴らしい事なんだろう。

芝の上でボールが蹴られる。
少しでもサッカーをした事がある方ならお分かりだと思うが、土の上と 芝の上でプレーするのは死ぬほど違う。まず転んだりスライディングし ても全然痛くないし 、擦り傷を作る事も無い。土の上ではGKなぞ、い つも両太股の側面は「ビフテキ」と呼ばれる傷 を作っている。

それからボールがコントロールしやすいので技術の幅が広がる。土の上 ではボールは地面に密着しているが、芝の上では数ミ リ浮いた状態である。 これはよりボールの下面を蹴る事が可能であり、強い回転が掛か る為、色々な種類のキック(パス)がやりやすくなる。そして試合では 浮き球やカーブの掛かったボール等が蹴りやすいので、よりゲームが高度になり、展開も面白くなる。また芝は抵抗が 大きい為、着地したら上に跳ね上がるボールや足元で急に減速したパス などが可能な為、結果としてやっていても非常に楽しいのである。そし て何よりサッカーの本質的な楽しみを味わえるのだ。

確かに今でも我々一般の草イレブンが、芝の上でプレ ーする事は未だにまれである。 だがここ数年少しずつではあるが公共施設にも芝のグラン ドは増えつつあると聞くし、少年サッカーでも試合で上の方に行けば芝 のグラウンドで試合が出来るようになってきた。そして何より福島県に 「Jビレッジ」 と呼ばれる国内最高のサッカー施設が出来た。ここは専 用の芝のグラウンドが10面あり、宿泊施設も 完備されている。代表合宿 もよくここで行われているほどの設備を誇る。さらに素晴らしい事に 予約さえ出来れば「Jビレッジ」は我々一般市民も利用できるのだ(も ちろん有料だが)。つまり我々も代表と同じ芝の上 でサッカーが出来、同じ宿舎で合宿が出来るのだ。

今、経済の波に飲み込まれて決してよい状態ではないJリーグだが、こ うやって少しずつサッカーに関する環境が整って行きつつある。そして いつの日か川淵氏の夢見た日が来たその時、Jを含めて日本に サッカー(スポーツ)文化の花が満開に咲き 誇るだろう。私もそんな夢に乗っかっていきたい。

コラム:川淵チェアマンについて
先に断っておくが、筆者はかなりの川淵シンパである。現在これだけ サッカーが好きでいられるのも彼のお陰だと思っているし、今でも彼 に日本の首相になってほしいと常々真剣に考えている位である。だか ら「アンチ川淵」の方は読み飛ばして下さい。

さて、川淵三郎氏。
Jリーグの産みの親にして、日本サッカー界の重鎮である。彼の功績 を数えればキリがないが、共同開催にはなったがW杯誘致、各年代の 強化、Jリーグに止まらず日本サッカー協会の副理事として運営の手 腕など、彼がいなければ間違いなく日本サッカーは今の姿ではなかっ たであろう。某有力チームの企業オーナーの恫喝とも思える行動にも 決して屈する事無く、ひたすらに自分の信じる理念を貫く姿は頼もし いの一言である。その表情には、厳しさとどこか人情深いやさしさ とが同居する。

また、そんな彼だからそれなりに有名な逸話も存在するのである。

彼はTV番組に出演した時、たまには一緒に観戦して下さいとあるサポ ーターから提案を受けた。通常チェアマンは貴賓室から観戦するのだが、 そんな所にいても分からないでしょうと言う提案だった。
するとチェアマンは、その次の試合にいきなりサポーター席に乗り込み、 サポーターと同じ席で観戦をし始めたのである。そして今後はJリー グを観戦する時、貴賓客が来る時以外は貴賓室からではなく自腹でホー ムチームのサポーター席に陣取って試合を観戦すると公言したのである。 我々サッカーファンはそのフットワークの身軽さと行動力に唸ったもの だった。

ただしこれにはオチがあって、また悪い事にいざチェアマンが観戦をは じめたとたん、それぞれのホームチームが5連敗してしまったのである。 始めは「チェアマンの前でええとこ見せよと思ったやろ〜」とかみん なで笑っていたのだが、5連敗目あたりになるとサポーターも笑ってら れなくなってきた。
そしてとうとう「川淵チェアマンが来ると負ける」 という悲しいジンクスがついてしまい、最初のうちは大歓迎だった各 チームのサポーターもさすがに敬遠気味になってしまった。しまいには影 で「・・・(げ、チェアマン来てるやん)」と言われるようになって しまったのである。それからはさすがのチェアマンも自粛せざるを得な くなってしまい、最近はサポーター席で彼の姿は見られなくなってしま ったらしい・・・。ああかわいそチェアマン(T_T)

ま、そんなカワイイ面もあるチェアマンであるが今後も彼の活躍に期待 したい。来年はシドニー五輪、そして2002年にはW杯を韓国と共催 するのである。時代は彼の手腕をまだまだ必要としているのだ。 チェアマンになってから1日たりとも心休まる日が無いとは思うが、な んとか重責を果たして欲しいものだ。

「日本にはJリーグがある」と同時に「我々にはカワブチがいるぜ!」 と胸を張って言いたいものである。

頑張れ川淵チェアマン。
俺達がついてるぜっ!

第一章:「国どうしのケンカ」(サッカー観戦の基礎知識)

まずサッカー観戦するにあたって重要なのが「ゲームの価値」 である。
これはプロ野球文化に馴染み深い我々日本人にはわかりにくい部分では あるのだが、ここをまず理解して頂きたい。これを理解しないと何故選 手はういうプレーをしているのかが分からなくなり、イライラするので ある。

<サッカー界における価値観−大会編(ナショナルチーム)− (びーだぶ的考察)>

A代表とは

ナショナルチームとはいわゆる「日本代表」や「フランス代表」「ブラジル代表」 といった「その国を代表するチーム」の事を指す。それぞれの大会に合わせて年齢 別にチームが編成される事が多い。U−21代表(22歳以下の代表)等がそれに あたる。
そしてその中で最高峰の位置に存在するのが「A代表」と呼ばれるチーム である。A代表は全てのカテゴリーの中から選抜された選手で構成される最強チー ムでなければならない。
故にその国のサッカー選手全ての憧れであり、またその国 のサッカーシーンの中心部に存在する。A代表がカウンター戦術中心のチームにな れば、その国のクラブチームはもとより草サッカーのチームまでがカウンター戦術 を好んで採用する。そんなものなのである。

ちなみにA代表の資格はサッカーの場合「その国の国籍を保有する者」でかつ 「その国以外の代表として国際試合に出場した事がない者」となっている。これは 自国の強化を図る為に外国の優秀な選手を引き抜くという事を禁止しているのであ る。
日本では帰化選手として有名なのが 「ラモス琉偉」「呂比須ワグナー」(共に ブラジルからの帰化選手)だが、彼らはもちろん上記の条件を満たしている。逆に いえば今をときめく中田英が例えどこかの国に帰化したと しても、その国の代表選手にはなれないのである。

大会とナショナリズム

基本的に国際大会になるとそのゲームは 「国家間のケンカ」と思ってさしつかえな いと思う。思い切りナショナリズムを刺激された人々が「おめ〜らの国なんかにゃ 負けへんで!」という思いをそれぞれの代表に託して応援する。
例えば私も韓国サ ッカーなんかは結構好きだし、韓国代表に好きな選手もいる。だがしかし「日本vs 韓国」を見ている時は120%日本を応援する。韓国を応援する気は1%も起こら ない。だから国際大会で負けた時は日本人が相手の国に全て見下されたような気がし て、次に勝つまでは悶々としたコンプレックスを背負ってしまう。3連敗なんかし た日にはその国の旗を見るのも嫌になるだろう。
これまた、そんなもの、なのである。
だからこそ、国際大会は熱いのである。

では主だった国際大会を解説してみる。
特に格付けはこの際物凄く重要な要素であろう。

あまりにも偉大な大会−ワールドカップ−

まず一番偉い物。それは何と言っても「ワールドカップ」
これしかない。
全世界のサッカーに関わる人間にとってこれ以上価値のある物は存在しない。 優勝した国は次回開催までの4年間、世界中のサッカー界の王者として君臨する。 その国を抜きにしてサッカーは語れないし、その国の選手の株も一応に 上昇する。一般市民ですらサッカーの盛んな国に行けば、その国の人に「優勝 おめでとう」と声を掛けられたりする。もはやサッカーという競技の枠を超え て、文化、民族、国家レベルの出来事となっている。それに伴い動くお金の量 も一回で小国家の年間経済よりもその額は大きい。
そんな規模の大会だから、それにまつわる様々な面白い話も世界中に存在する。

A代表の選手選考に現役の大統領が口を挟んだと言うのは序の口で、 ある中東の国では出場を果たせば選手は国王から家とベンツを貰えるが、また逆に 出場を逃したりしたら国内で鞭打ちの刑が待っていたりするという噂が流れた。
また偵察の為相手国内に入国しようとした某東アジアのコーチが既に空港内で身分 がバレており、理由をあれこれつけられて入国管理局で追い返されてしまったりと、 まあワールドカップに関するその手の話題には事欠かない。

凄いのになると前回ワールドカップ初出場を果たしたジャマイカに至っては初出場 を決めた試合の日をを、その日からたった一週間で国民の祝日にする法案を可決し てしまった(日本もするべきだと思うぞ)。さらに極めつけは、元々 険悪な国同志が予選でのゲーム結果が火種となって、交戦状態になったという有名 な伝説さえ存在する。

これらから分かる通りワールドカップという存在は大会それ自体はただのスポー ツ大会だが、それを取り巻く環境は政治、文化レベルなのである。

また、この大会は4年に一度しか開催されない。
だからここで不名誉な成績を残すと4年間は世界中から低く思われてしまうし、 それはその国民全体が恥じ入る事に通じる。そんな たかがスポーツ大会くらいでと思う かもしれないだろう。だがそこがサッカーという競技の恐ろしい所だ。世界で一番 人気があるスポーツという事は、そういうことなのだ。
日本がジョホールバルでフランスワールドカップへの切符を手に入れた時、 ある日本人TVレポーターが「おめでとうございます」と祝辞を述べた。だが 私の感覚で言うと「おめでとう」ではなく「やったぜ!」になる。つまり二人称の 出来事ではなく一人称の出来事なのである。世界中、アホばっかりですな(苦笑)。

大陸王者を目指せ−「欧州選手権」と「南米選手権」−

その次に偉い物といえば何だろうかと考えた時に出てくるのがやはり「欧州選手権」と「南米選手権」であろうか?
これはそれぞれサッカー文化が根強い地域で行われる大会である。特に南米選手権 は今年日本代表も招待されて惨敗してしまったというホロ苦い記憶も新しい。
欧州選手権はW杯の2年後、つまり4年に一度、オリンピックと同じ年に開催され る。また予選期間が長い為、W杯が終わった数ヶ月後には欧州選手権予選が始まる 為、各欧州の代表チームはなかなか休息が取れない。ごくろう様ですな。
それぞれの地域(欧州、南米)の覇者を決めるという意味合いが大きいが、 それといわゆる「因縁の対決」カードが組まれやすいという事も人気のひとつであ ろう。たとえば南米選手権の決勝戦が「ブラジルvsアルゼンチン」にでもなった りしたら、その日は両国民の半分以上が仕事なぞさっさと放棄してこの対戦を見守 るであろう。
その試合に勝った方はいいが、負けた方はシャレにならない。準優勝と いう好成績を挙げたにもかかわらず「よりによって決勝でxxxに負けて世界中に 恥をさらしやがって」とファンやマスコミはそのチーム(特に監督)を許さないだ ろう。
それはその国民にしか分からないナショナリズムなのである。

年齢制限は辛いよ−オリンピック−

さて、やっとここで出てくるのが「オリンピック」 である。
日本ではメキシコ五輪で銅メダルをとった過去の栄光がある為、最近まで日本で はワ−ルドカップはあまり認知されずに、オリンピックに注目されてきた。 ただ過去ならばまだしも、バルセロナ以降出場選手資格をU−23にしてしまっ た事もあり上記の大会よりは注目度が低い。実際はユース(U−21)大会の 兄貴分的な扱いの雰囲気だろうか。やはりA代表が出てこない大会はどうしても その格は甘く見られる。

ちなみにオリンピックにおける私的最大の出来事は、なんといっても1994年 アメリカはアトランタ五輪で日本五輪代表がブラジル五輪代表を1−0で破った 「マイアミの奇跡」 であろう。
守護神川口を中心に、中田英、前園、城、服部ら Jリーグ若手選手を中心に結成されたこのアトランタ組と呼ばれるチームは、こ ともあろにロナウド、ロベルト・カルロスら10億円プレイヤーを擁する当時世 界最強と呼ばれたブラジル五輪代表相手に守り抜き、カウンターでもぎ取った1 点を守り通したのである。
翌日ブラジルの新聞紙上には大きく 「?」が白抜きで書かれ、全ブラジル国民が騒然としたらしい。ああ、気持ちよ かったぞ。

コラム:「ブラジル代表について」
黄色いユニフォームに身を包み、颯爽と世界大会のピッチを翔けて行くブラ ジル代表は名実ともに世界最強軍団と目される集団である。その黄色いユニ フォームから「カナリヤ軍団」と呼ばれるこのチームは過去にはペレ、ジー コ、ファルカン、ドゥンガ、現在ではロナウド、リバウド、ロベルト・カル ロス等世界的な名選手を擁し、共に常に世界のサッカーシーンをリードしき た。 ピッチに入場する時全選手が手を繋ぎながら入場してくるのも有名な話。
伝統的には変幻自在なドリブルと多彩なパスワークを駆使した攻撃的なスタ イルで世界中からもファンは多いが、近年になってより組織的なプレースタ イルを採用し、攻守にバランスの取れたチームも出現してきている。

「セレソン」。
ブラジル語で「代表」を指すこの言葉は、そのまま世界中から「サッカーブ ラジル代表」を指し示す言葉として認識されている誇り高き集団は、今後も各 時代において世界のサッカーを進化させる中心地としての役割は大き いが、ブラジルなくしてサッカーを語る事が出来ない事もまた事実である。 それゆえ「マイアミの奇蹟」は素晴らしい偉業だった(実はこれが 書きたかっただけだったりして)。

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