カメラのはなし


唐突ではあるが、私の趣味のひとつに最近「カメラ」という趣味が追加された。そのそもはHP作成の一環としてデジタルカメラを購入したのがきっかけで、「写真」というものに興味を持ち始めたのが始まりである。

ここでは写真を勉強していって感じた事や、これは意外とみんな知らないのではと言った事、これを知っていたらもっと奇麗な写真が撮れたのにと後から悔やんだ事などを随時書き込んでゆきたいと思う。そんなの常識だ、 と言われる事も書くだろうが、それはそれ初心者のする事なのでご勘弁願いたいと思う(笑)。


episode.11

びーだぶ的デジタルカメラの選び方(FAQ)

最近こんなHPをやってるせいもありまして「今度デジカメ買おうと思ってるんだけど」と相談される事が多い今日この頃です。また人によって様々ですが、いろんな質問もされます。その度に「画素がどうの」だの 「ズームがどうだの」と、私的にはなんか違うなというポイントを尋ねられます。 というか、ぶっちゃけ殆どの人が既に買いたいデジカメは決まっていて、「それはいいカメラだよ」と私のようなカメラオタ(笑)に最後の一押しをして貰いたい場合が多いような気がします。

ま、それはそれで置いておいて。

一般の方々からよく尋ねられる内容をQ&A形式にまとめてみました。
ただしかなり極端です。誤解を恐れてはおりません。本人にはそう答えていない場合も多いです。でもかなり本音です。

Q. 画素って多いほうがいいんですよね?

A.違います。
パソコンで見るだけなら100万画素で十分です。サービスサイズの用紙にプリントするなら200万画素で十分です。A4やそれ以上の大きなプリントを前提とする人には、300万画素以上が必要ですが。

Q. 電池はどれくらい持つのですか?

A.これは機種によって、またバッテリーによって大きく違いますので何ともいえません。
しかし普通のカメラよりは遥かに持ちません。乾電池が使える機種もありますが、あれはあくまで緊急避難用です。 まともに撮りまくると、おそらく30枚ほどしか撮れないかもしれません。

Q. ズームは倍率が大きいほどいいのよね?

A. 違います。
何を持って何倍と言うかは置いておいて、一般的にズームすればするほど手ブレの危険性が増します。簡単に言ってしまうと、ズームすればする程撮影の難易度は上がります。ましてやデジタルズームなんぞ、 あれでちゃんと写せる人はある意味バケモノです。一般的には2倍〜3倍程度が無難でしょうか。

Q. 店員さんに「押せば写ります」といわれました。

A. あえて言います。
それは嘘です。

あなたの「写ります」はおそらく「ピントもあって、色もきれいに、手ブレもしてない写真が撮れます」(一般的に)ですよね。

そういう意味では、大嘘です。
ここで店員さんの言う「写ります」は、メモリーに「何がしかが記録されます」と言う意味です。もちろんデジカメも民生商品ですから、できるだけ「押せば写ります」状態に近づくように、 3点オートフォーカスだとかオートホワイトバランスだとか様々な機能を搭載しています。でもまだまだ「押すだけで素晴らしい写真がバッチリ撮れます」ようなカメラは売っていません。 ましてやマニュアルも読まず、シャッター半押しすら知らない人には(失礼ですが)自分の想像どおりに撮れる事はありません。 せめてマニュアルは読んで理解しましょう。

Q.雑誌には解像度の比較が載ってたよ。

A.殆ど意味はありません。
私もよく見ますが、あの手の記事はピクセル等倍とかで、実際我々が手にするサービス版のプリントと比較すると少なく見積もっても5倍は大きく引き伸ばしています(300万画素クラスで)。 そしてその一部を切り抜いて比較記事として掲載してるのです。
実際にそんなデカイプリントを必要としている人ならともかく、サービス版ではそんなもん小さすぎて見えまへん。サービス版なら誰にも違いは見分けられませんです。

Q. やっぱり多機能の方がいいよね?

A. 違います。
もしあなたが「その機能を知っていて、どんな事が出来て、どんな時に使うのか」を理解している方でしたら別です。調べ倒して十分に吟味して下さい。 しかしそうでないなら、オート一発のみの方がコストの面で優れています。訳のわからないボタンやダイヤルが、ごちゃごちゃついているだけうっとうしいです。
私ならそちらをお勧めします。

Q.出来るだけ長く使えるものがいいな。

A.そんなものはありません。
大体よくて3年くらいで、いろんな意味で使えなくなります。

ここが銀塩カメラとの大きな違いですが、デジカメは現在の所まだまだ発展途上の製品です。逆にいえば陳腐化のスピードも凄まじく速いです。一時期スマートメディアという媒体が体勢を占めたように思われましたが、 今では高画素化に伴うファイル容量の肥大化で、殆ど出る幕もありません。もっと極端な事を言えば、jpegと言う形式ですらいつまであるかは疑問です。PCの入力装置という側面を持つデジカメは、 やはりPC的な流れから逃れられる事はないと考えます。 そういう意味で、フィルムがあれば問題なかった製品とは大きく違うのです。

Q.パソコンが使えないとダメだよね?

A.違います。
撮ったデータをカメラ屋さんに持っていって下さい。ちゃんとプリントしてくれます。それも現像料がかからないので、プリント代だけで済むので結構安いです。 焼き増しや引き伸ばしをしないのだったら、帰ってきたデータを削除すればOKです。 また一から撮れます。 それだけです。普通のカメラと同じように使えます。
パソコンは、その画像を保存しておいたり、レタッチや合成をしたり、また自分のプリンタで印刷したりしたい人が使えばいいのです。 プリントして終わりの人には無用です。まったく恐れることはありません。
ただし事前にいらない画像は削除して下さいね。じゃないとトンでもない枚数がプリントされる事になりますよ。

episode.10

ライヴはタイヘン!

えー、以前から当HPをご愛顧頂いている方々はご存知だと思うが、私は友人にバンド関係者が多い。そのお陰でいつもライヴを撮らして 貰っては、速報としてHPに公開している。今回はその中で身に付けたノウハウや心構えなどを公開しようと思う。ただ撮影としては、結 構特殊な撮影ジャンルになると思うので、参考にはなりにくいとは思うが、ヒントなりをつかんでいただければこれ幸いである。

まず、ライブ写真は頼まれた写真の場合、前提として「自分以外の誰かに渡す写真」と言う事を深く理解しておく事が大切である。自分 がいいと思っても、渡す相手に喜んでもらえなければ意味がない。また、記録的な部分も大いに含まれるから、失敗して全滅ではお話に ならない。かといってわざわざ頼まれる訳であるから、他の人が撮った写真と違った部分も撮れないと、自分的に意味がないし満足感も 味わえない。
つまり考え方として撮影全体を「相手の事を7割、自分の事を3割」くらいで臨むように心掛けている。

で、実践に移ってゆくが、ライブ写真とは写真的な条件で見ると、かなり厳しい撮影であることが多い。

とにかく全体的に基本的に暗い(たまらん)

当然ながら、屋内での撮影とかストリートライブでも夜間に行われる事が多い。これがとてつもなく苦しいのである。以前にも書いたが ブレ対策や露出対策などの基本的な写真の技術が問われる。

ライトなどのピンポイントな光源がある

コイツが実にやっかいなシロモノで、真っ黒の背景にピンポイントで強烈な光が画面上に飛び込んでくる。コイツのお陰でカメラの露出 計が大幅に左右されてしまい、折角測光しても次の瞬間には露出が大幅に狂うのである。特にリバーサルフィルムを使っている時はマジ にシャレにならない。現像してみると、真っ暗なカットや飛びまくって訳わからんカットのオンパレードである。

そこで対策としてネガフィルムの場合思い切って感度800のフィルムを400に設定して撮る事をよくやる。露出オーバーに強いネガの特性 を活かして、全体的にオーバーで撮ってしまい、後でプリント時に調整してもらう。逆に言うと露出アンダーのカットは仕方がない、と 切り捨てる覚悟で撮る事によって全体的に当たりを増やすのである。プラス1段しても光が足りないようなシュチュエーションは、もう さすがにお手上げと割り切るしかない。

撮影出来るポジション場合は限られている

これに関してはご想像どおりだが、花や自然を相手に撮っている訳ではないので かなり撮影ポジションが制限される。下手をするとその場所から一歩も動けない 事もありうる。無理に動いて他の観客とトラブるようでは、もう撮影どころで はない。故に出来るだけ下見を行い、リハの時に必要なカットは押さえて置くの が賢明だろう。実際の現場では、楽しむ事より撮影的なベストポジションを見つ けておくのは言うまでもない。

余談だが普通ライブ写真の時、いろいろな意味で三脚は使えない。一脚が使えた としても逆にアングルに制限が出来てしまうので、やはりライブは手持ち撮影で 望むのが一般的だろう。どうしても低速シャッターに苦しめられるので、補助器 具を使いたい所だが、今の所あまり有効な手段が見つからないのが現状である。

被写体は激しく動いている

これは特に中望遠系からのアップめの写真の時に影響がある。ただでさえ低 速に振られがちな撮影の中で、激しく動く人物を写し込むのは困難を極める。暗 い状況ではAFでもピント合わせが難しい上に、意外と人間の動きは早いと来た もんだから、もうタイヘン。経験値で言うと人物をピタリと止めるには最低でも 1/125くらいのシャッタースピードは確保したい。ただ、日中の陽射の下なら何と いう事はないスピードだが、ことライブ撮影ではかなりの努力と条件と準備が必 要である。大光量ストロボが使えるなら何とかなるのだが、補助光なら ともかく主光源としてストロボを使うのは、基本的に押さえのカットだけに止め たい物である。

撮影機材はこんな感じ

上記の前提に従って写真的な事を考えると、まず全体的に明るいレンズを準備す る事が有効であろう。少々焦点距離が過不足したとしても、それよりも明るさで 選んだ方が良い。前述の通りかなり厳しい光源での撮影となるので、ここは稼げ るだけ稼いでおきたい。

レンズ構成としては、舞台そでからの撮影でかつ、そこそこ自由に動けると言う 前提で考えてみる。そうなるとまず欲しいのが広角、それもどちらかといえば超 広角(20mm以下)である。遠近感は強調されてしまうが、それでも絵としてステ ージ全体を捉えたい場合、有効な武器となる。本来なら下がって撮りたい所だが、 狭いハウスやホールでは、一度その場所を失うと他の人に埋められてしまう恐れ がある。
あとUP撮影用に中望遠系が一本欲しい所だ。場所にもよるが100mm前後が あればいいのではないかと思う。逆に300mmクラスの超望遠レンズは手持ちが前提のラ イブ撮影では、手ブレやピンボケの可能性が高いのであまり向いていない。

総合的には、私は以下の機材構成を基本としている。

1.一眼レフのカメラ
2.17-35mmF2.8の超広角ズームレンズ
3.90mmF2.8短焦点レンズ
4.外付けのストロボ

これにストリートなどのさらに光源が少ない場合は、50mmF1.4の大口径短焦点レンズ を追加しておくと、最悪ストロボと併用して証拠撮影程度の撮影は可能である。

そしてフィルムだが、ここは最低でもISO800は用意したい所である。いくら明 るいレンズを使っても、それだけでシャッタースピードを稼ぐのは厳しいもの がある。確かに800だと100に較べて発色、粒状性で見劣りするが、押さえも押 さえられないと話にならない。仮にストロボを使うにしても、感度が高い方が より光がまわる。リバーサルだと400以上によいフィルムがないので、400を1段 から2段増感させて使う事が多い。

実際の撮影について

撮影パターンとしては以下のような感じである。

1.正面からの全員が入ったショット
2.横からのライブ風景
3.それぞれ出演者のシングルショット
4.雰囲気重視のイメージショット
5.その他

を中心に構成してゆくことが多い。順番はともかくこれでセット物として渡せる のかなと思っている。

1.は基本であり出来るだけ失敗しない事をメインにシャッターを切る。 ポイントは人物だけでなく、まわりのスピーカだとか照明なんかも一緒に 入れるような形で取り込む。そうすれば全体的な雰囲気も伝わり、どんな 所で演奏したのかもわかる。
ただあまり広く取り込みすぎると、どんな バンドか後々分かりづらいので、人物が判別できる程度の大きさがいいと 思う。これが押さえのショットにもなり、全てこれからの派生となる。 レンズ的には距離にもよるが、基本的には広角系のレンズで被写体ブレし ないように、最低1/90程度のシャッターが切れるようにしておきたい。

2.は1.からの派生だが、これもきちんと写す事を中心に 挑みたい。特にドラムやキーボードは正面からでは写りにくいので、出 来るだけ回り込んで、きっちりと写しこみたいものである。レンズなど は1.と同じでいいと思う。

3.はメンバーの個人的な思い出に直結するショットであり、受け取る側 からすると裏の本命である。ボーカルやギターは比較的写しやすいが、ド ラムは大体奥まってセッティングされているので撮りにくい。それ故ドラ ム、キーボードを中心に撮り始めるのがいいと思う。
レンズは中望遠系の 明るい短焦点レンズがオススメである。基本的にはウエストアップ以上の 写真を撮る事になるので、それより小さく写ってしまうレンズだとシング ルショットになりにくいので注意。
あと余裕があれば2人くらいで絡んでいるショット(ボーカル+ギターなど) でアップ気味があればカッコイイ。さらに2人分同時に撮れるので、2人に 渡せるからこれはオイシイかも。

4.は撮る方の趣味や好みを思いきり生かした撮影になる。1.から3.で 押さえを撮っているので思いきり遊んでみるのである。誰が写っているのか 分からなくても雰囲気がよければそれでいいし、ブレまくっていても逆に迫 力が出ていれば問題なし。私が良くやるのがライトが直接入る位置に潜り込 んで、メンバーをシルエットにして逆光で撮るとか、わざと遅めにしてギタ リストの激しい動きを表現したりする。
ここではレンズも撮り方も自由に思いついたアイディアでバシバシ撮るべ し。全滅したって構わないのだから、百発一中でカッコイイのを狙 おう。逆にいえばここで思いきり遊ぶ為に、1.から3.をきっちりと撮る事が大 事なのは言うまでもない。

5.は他の人では撮れないショットを狙ってみる事が多い。よくやるのがリ ハの時に何枚か撮っておくと、後で見たときにより深い思い出となるだろう し、逆にリハでないと撮れない写真も多い。それに前述のドラムの写真はこ の時に、ステージ上で思いきり近づいて撮ってしまうのも手である。あと出 演直前の緊張した表情や控えでギターをチューニングしている姿など、ステ ージ上では見られない姿を撮っておくと、全体的により引き締まった写真構 成になるのである。ここはスナップ的に撮るもよし、マクロ的に狙いを定め て撮るもよしである。思い切って白黒で撮って、ライブ中との差を表現して もよいかもしれない。ここで撮る写真は全体の構成の中で、名脇役となるシ ョットを意識して撮ればいいのである。ただ打ち上げは記念写真的に なりやすいので、個人的にはあまり撮りたくないのだが。

いかに劣悪な条件であろうとも・・・(まとめ)

ライブ写真でも出演者から頼まれた撮影はかなりのプレッシャーになる。トラブルや ミスで全滅でもしたらもう二度と撮り直しはきかない。大体にして出演者の皆さんは そのステージの為に、ステージ時間の何十倍もの時間と練習を重ねて来ているのであ る。その彼らの努力を無駄にしないように、そしてその晴れの舞台を 永遠にとどめられる様に、全力で撮影に挑んでいるつもりである。

例え彼らがその後解散してしまったとしても、写真は残る。そこに彼らの素敵な瞬間 が刻まれている。それは彼らがその時スポットライトを浴びていた証であり、それ に費やした努力の証拠なのである。そんな大切な写真を信頼されて任されるのであるから、 撮る時は精一杯全力で撮影に挑みたい。

episode.9

LOMOのススメ

怪しきロシアンカメラの魅力。

唐突ではあるが、よく写真とは字の通り真実を写すものと言われる。当然ながらカメラも真実をありのまま正確に映し出すように作られている。やれレンズの解像度がどうだの手ぶれ防止機能がどうだのと、写真機が作られて以来「いかに真実を写すか」と言う命題に向かって世界中のカメラメーカは邁進している。そして今日でもその巨大なベクトルは留まる所を知らない。

しかしいつの世にもはみ出し者はいるものである。この巨大なベクトルをさらりと無視して、我関せずとばかりにひなたぼっこでもしているようなカメラが存在する。以前に2万円くらいで売っていたので何の気なしに買ってみたのだが、最近やっと使えるようになってきたので、ちょっとここで紹介させてもらおうと思う。

今回紹介するロシアンカメラ「LOMO」(ロモ)。
写真に興味がある人ならば、ひょっとすると聞いた事くらいはあるかもしれない。若い世代を中心に多くの愛好者が存在し、インターネット上にはLOMO関係のHPも数多く見られる。POPな感じで洒落たモノが多く、結構センスがいいモノも多い。女性に愛好家が多いのもその一端かもしれない。もし本文を読んで興味が出られた方は、是非訪れて頂きたいと思う。
*注:ここでは筆者が所有しているLOMO社の代表的コンパクトカメラ「LC-A」を「LOMO」と呼ばせていただく。

で、そのLOMOとは一体どういうカメラだろうか。勿体つけずに言うと「記憶が写せるカメラ」であると思っている。正確に言えば「記憶的写真」が「撮れてしまう」カメラとでも言えばよいだろうか。ともかく不思議な写真が撮れてしまうカメラなのである。

話を進める前にここで私の言う「記憶的写真」を説明しておきたい。
よくよく考えてみると、人の記憶というものは素晴らしく曖昧である。だからこそ美しい思い出はより美しくなるのである。記憶という物を写真的に考えてみるとどうだろう。まず基本的に記憶というのは動画に近いと思う。なぜなら人間は常に光景という物を静止画では捉えていない。生きている時間分だけビデオを回しっぱなしにしているようなものだ。

例えばビデオを再生していて一時停止にすると、今まで綺麗に見えていた画像が急に粗くなってしまう。動画は静止画の連続投影だが、その一枚一枚の画質は低くても問題ない。また記憶は何か中心になる被写体についての情報は多いが、その他の背景などは余り憶えていないのではないだろうか。逆に光だとか色彩だとかのイメージのほうが却って憶えていたりする。
と言う訳で動画の中のいち静止画として捉えると、記憶的な写真とは、粗くて色彩は鮮やか、そして中心になるもの以外ははっきりと写っていない。言い換えれば体験した動画を様々なフィルタを通して断続的な一枚のイメージに変換する。それを心の中に保存したものが「記憶の中の静止画」ではないだろうか。

さて話をLOMOも戻そう。
LOMOの最大の特徴としてピントはマニュアルである。それも4つのZONEしか切り替えられないので精密なピントは無理である。当然ながらAFなんか付いていないので、つまりぶっちゃけた話、殆どピンボケなのだ。これはある意味驚異的である。何せある程度ピンボケを前提にしながらシャッターを押すわけだ。一眼レフ+AFしか使ったことのない人間にとっては恐怖さえ感じるかもしれない。「ピントが宙を飛んでいる」と言ったヤツがいるが、上手い事言った物である。

さらに最大の特徴2はレンズにある。 レンズは35mmで人間の視覚(画角)に近い。そしてLOMO最大の特徴である写りの特徴であるが、画面中央部が一番明るくて、四隅に向かって急に暗く(黒く)なる、いわゆる落ちの激しい描写をする。と言えば聞こえはいいが実はこの写りは一般的に質の悪いレンズに良く見られる現象である。各メーカはこの落ちを少なくする為に日夜設計に励んでいる。カメラ雑誌などでも「高いシャープネスを誇り、広角ながら周辺光量の低下を極限まで抑えた素晴らしいレンズである」と言う風にレンズを誉めるモノである。

だがしかし、そんな些細な事はLOMOの前では何の意味もない。それどころか、である。
LOMOはカメラの紹介にこの周辺光量の低下を「トンネル効果」と称して、わざとそういう風にしているかの如く説明しているのだ。この逆説的なアイディアを知った時、唖然としたものである。ライカやツアイスを頂点として世界中の名レンズを集めているコレクターの人たちから見ると、箸にも棒にも掛からない安物のレンズである。いやひょっとすると、レンズと言うと怒られるかもしれない。

しかしLOMO社はこの弱点を逆手にとって、素晴らしい特徴であると言い切る。こんな荒業を使うのは世界広しといえどLOMO社とマイクロソフト社くらいではないだろうか。
しかし確かに言われてみると、これでレンズが普及タイプの落ちのないレンズだとすれば、本当にただの特徴のない安物のカメラと言えよう。なんだか凄いぞ。

さて外見はAPSカメラのようにコンパクトサイズだが、ふんだんに金属を使ってるせいで重量感だけはある。というより今風のエンジニアプラスチックなんぞはなから眼中になさそうな感じ。ぱっと見は「ちょっとクラシカルでオシャレ」と言えばいいだろうか。少なくとも国産の安物ズームコンパクトなんかに較べると、ズバ抜けてカワイイ。

一応自動絞りなので、ネガを使う分には問題ないだろう。ダイヤル式でISOの設定が出来るのでリバーサルの撮影も可能といえば可能である。ただ測光装置は間違っても分割測光ではないだろうから、いわゆる「野生の露出」が必要かもしれない。

さて実用的な部分に触れてみよう。まず言い切れるのは記念写真を撮るのには向いていないと云う事。間違ってもスタジオでモデル撮影なぞもっての外で、下手すればモデルごと遠い記憶になってしまう。 あくまでLOMOは「LOMO的な写り」の写真が欲しい時に、わざわざ撮るものである。一眼レフを使っていると、その機能からピントを意図的に外すという事は、なかなか抵抗がある。どこにピントを持ってくるかは考えられても、全部ピントを外すという事は勇気がいる。ましてやオートフォーカスと言うものはどこかにピントがきてないと、シャッタすら切れないのだから。

LOMO写真のHPを見ていると「LOMO三ヶ条」なるものが書いてあった。何でもコレさえ気をつければあなたもLOMOグラファーだそうである。買う前はケンカ売ってんのかと思ったが、今考えればなるほど理屈に適ったものであると思う。 ちょっと引用させてもらうと、ざっとこんな感じであった。

1.撮影時にファインダを覗いてはいけない。

2.ピントは常に3mに固定すべし。

3.両手で撮ってはいけない。片手で撮れ。

口あんぐり、である。カタギのカメラ教室なんぞに行けば、決してやってはいけない三ヶ条ではないか。日々精進を重ね、あまねく写真道を追求するカメラじじいが見ると絶対に発狂するに違いない。

だがしかし、ことLOMOを使う場合は理にかなっていると言える。パラフィクス修正もされていず、手ぶれ警告ランプしかついていないファインダと言うにはおこがましい程の穴を覗いたからと言って、何かメリットがあるとは思えない。それならば35mmという焦点距離を頭において、ノーファインダで自由に撮影するほうが、翻ってシャッターチャンスに強くなるという物だ。

ピントも片手撮りも同様である。どうせ何をしてもピントなんか合わないのである。かえってそういう事に気を使えば使うほどLOMOの良さを打ち消してしまうのではないだろうか。もっと言えば、LOMOで写ってくるものは写真と言うより絵に近いかもしれない。非写実的なのだ。

写真を撮り続けていると、当然ながらスランプに陥る事もある。何を撮っても先が見えてしまうと言うか、ファインダを覗いても魅力的に見えなくてシャッタを切れないのだ。そういう時にこのLOMOをオススメしたい。何しろ現像から上がってくるまでどうなってるか全く想像が付かないのだ。初心に帰ってドキドキ感を味わってみると、逆に一眼レフでの撮影にもまた新鮮さが戻ってくる。そういった楽しみでアタマをリラックスさせてみるのも悪くない。

episode.8

マクロレンズは超オススメ!

私もそうだが一般的に最初に一眼レフを買った時、一緒に買う(ついてくる)レンズは恐らく広角側と望遠側の普及版ズームレンズだろう。これはこれで軽量だし、コンパクトカメラでは殆ど味わえない超望遠域(300mm)の撮影まで使えるので充分楽しい。

しかしながら。一眼レフの特徴のひとつに「レンズが交換できる」と言うのがある。つまりボディは先に買っておいて、レンズは後から買い足すと言う事が可能なのだ。
しかしながらレンズという物はご存知の通り、単体で買うととんでもなく高価が多い。だいたいの人はカメラを買ってから、「・・・ひょっとしてレンズって、ボディより高いん?」と言う事に気がつくのである(笑)しかし一度踏み入れた道、どうしても次のステップに進みたいと思うのはもうこれ万国共通の人情と言うものだろう。普及版レンズを使い込んでしまえば、その思いが強くなるのは尚の事である。しかしまた資金という物はすべからく貴重な貴重なものであり、ましてや投資額もそれなりの金額になる訳だから、次のレンズの選択には異様に迷うのは当り前である(体験済み)。それこそ星の数ほどありそうなレンズの中から悩みに悩んだ末、私が決断したのが「マクロレンズ(以下マクロ)」なのである。後になってこの決断は正解だと思っているし、同じように悩んでいる人がいるならば、少しでも参考にしていただければ幸いである。

さて。
マクロレンズと普通のレンズは何が違うのだろうか?
いろいろあるが普通のレンズとの一番の違いは、最短接写距離が短いと言う事だろう。 この最短接写距離というのはフィルム面から被写体までの距離の距離を示す。この距離が短ければ短いほど、当然ながら被写体は大きく写る訳だ。100mmクラス以上のマクロレンズになると等倍撮影が可能となる。等倍とは実際のモノの大きさが、そのままフィルム面(プリントではない)に写る事を指す。つまりフィルム面で同一サイズと言う事は、プリントするとイコール引き伸ばす訳だから、とんでもない大きさに写っている事になる。感覚としては虫眼鏡というか、顕微鏡のノリだろうか。カタログとかで「1:1(等倍)」だとか「2:1(1/2倍)」だとか表示されているのは、この事である。
50mmマクロでは1/2倍が多い為、あまり大きくは撮影できない。資金に余裕があるならばマクロは100mm以上がほとんど等倍撮影が可能なので、そちらを購入する事をお勧めする。ズームマクロというのもあるが、これまた等倍まで寄れるモノはない。私見だが、なんといってもマクロ接写の醍醐味は「1:1」撮影であり、等倍の迫力は凄まじいものがある。是非、スペックは等倍にこだわって欲しいと思う。

あと、被写体からの距離が短い(近い)と言う事は、背景がめちゃめちゃボケやすいと言う特性がある。と言うより前後ピントの合う範囲が異様に狭い。100mmマクロで最短距離で撮影すると、実際にピントがきているのは前後1cm程度だと思う(絞り開放時)。後は前ボケと後ボケが延々とファインダに広がっているのである。

もうひとつ。絞りの事を言うと、一般的にレンズは開放値から2,3段絞った所の描写が一番美しく設計されている。しかしマクロはボケを有効に使う事が多いので、絞り開放での撮影時に一番美しい描写が出来るように設計されているのだ。また絞りを開けると光量が充分に得られる為、シャッタスピードも早く出来てブレ防止に繋がる。さらにはピントが狭いと言う事は、それだけ前後をボカすことが出来るわけで、より美しい写真が撮れる訳だ。

実際の撮影について言うと、たまにマクロを使って接写をしているにもかかわらず、手持ち撮影で地面に寝転びながら撮影している人がいる。私的に言わせてもらえばこいつは一体何をしてるんだ?状態である。
前述の通りマクロで接写をすると、ピントがめちゃめちゃ狭いのである。ということは狙った所にピントを合わせて固定してから撮影する為に、三脚の使用が前提となるのだ。やってみれば分かると思うが、花の撮影の場合、ピントをシベの根本に持って来るか頭に持ってくるかで画面がゴロっと変わってくる世界である。手持ち撮影では画面構成の確認すら出来ない。手ブレだとかそういう問題ではないのだ。故にマクロ名人イコール三脚使いの名人と言っても過言ではないとすら思う。
もし貴方がマクロを買う時は、同時にしっかりした開脚がきく三脚をお勧めする。開脚が出来ないと、地面に咲く花を横から撮る事が出来ないのだ。出来るだけ最低地上高が低い三脚がいい。三脚ワークを鍛えない事には狙った画面までレンズを持っていけないのだ。繰り返しになるが「マクロ接写と三脚はセット」と思うべしである。

まとめると、マクロの基本は「最短(撮影距離)」+「(絞り)開放」+「三脚」と、この3つに集約されると思う。で、出来れば「等倍」が加われば最強である事は言うまでもない。あ、ちなみに上記を読んで鋭い人はピンと来ると思うが、マクロで接写をする時は「基本的にAF(オートフォーカス)は使えない」と思ってよい。何故か。まず三脚を立てる、と言った時点でAF撮影の基本であるフォーカスロックが使えない。マクロ接写以外ならばフォーカスロックしてから画面を固定すれば使えないこともないが、なにせピントが1cmしか合わないのである。ピント合わせてから画面を動かしたりしたら、いったい何処にピントが合っていたのかもう再現は不可能である。その為マクロはMFで使いやすいように、ピントリングが大きく回しやすく設計されている。これであの微妙でかつ絶妙なピント合わせが可能になるのだ。

ちなみにデジカメはその機能特性から4cm程度まで寄れることが多い。この場合の撮影倍率がいくらになるかは分からないが、とんでもない事になっているに違いない。故により基本を忠実に守る事が肝要である。何せ等倍というのはレンズが1mmブレればフィルム上も1mmブレる訳だから、もう何が写っているのか良くわからんと言う世界なのだ。あな恐ろしい。

世の中にはズームレンズや望遠レンズ、短焦点レンズなど、様々なレンズがある。その中でマクロレンズは分野としては特殊なレンズであり、マクロでしか見えない世界がある。それ故、撮影方法も普段の撮影とはかなり異なる。しかしながらこの世界を十二分に堪能する為に、基本を知って、すべき事をきっちりやることを忘れないようにしてゆきたいと思う。

最後にお勧めのマクロレンズを一本。タムロン社90mmマクロF2.8。
これは私も持っているレンズなので堂々とインプレが出来る(笑)。さて、このレンズの最大の特徴はなんといっても安い所である。純正品ではなくレンズメーカ品なので、割引率も結構良くて実際4万弱で購入する事が出来た。それでいて90mmで等倍撮影が可能なのである。同等の純正品がン万円する事を考えれば安い。何、一生モンと思えばお買い得である。なんたってレンズは使っても磨り減らないのだから。描写について言えば絞り開放時はもちろんの事、絞り込んで使ってもシャープさは損なわれないと思うし、ボケ具合は柔らかな光彩がふわっと出てるような気がして、めちゃ気に入っている。
それとこれは雑誌に書いてあったのだが、普通のマクロは接写せずに普通の使い方をすると描写が硬くなるらしいのだが、このレンズはそんな事もなく短焦点90mmF2.8レンズとしても自然に使えるそうだ。実際の所、私はこのレンズでオネーチャン写真もバンバン撮っている。プラス最短が短い事ということは、あとちょっと寄りたいと言った時に威力を発揮するのだ。オネーチャン写真でいう「ちょっと唇をアップで撮りたい時」とか自由自在だ。こういうワザは、特に最短がどうしても長くなる大口径ズームではなかなか出来ない。これは非常に便利だ。

ただし欠点もある。AFで使った時にイマドキのレンズとしてはAFのスピードが遅い事だろう。というかMFが基本で設計されているレンズにAF機能をくっつけただけ(としか思えない)なのだから、当り前といえば当り前である。だから例えば目の前を横切る人をAFで撮ろうとすると、90mmという焦点距離も災いして、ピントが合う前にファインダから振り切られてしまうといった事も良くあるので、あまり動きモノにチャレンジはしない方がいいと思う。

episode.7

フィルムについて

写真を撮ろうと思えば用意するものはなんだろうか?やはりカメラである。当たり前だ。だが、それだけでは写真は撮れない。そう、フィルムというものが同じ様に必要なのである。カメラは一度買ってしまうと、値段的なこともあってそうそう買い換えられるわけではない。だがフィルムは写す度に必要になるだけの、いわば消耗品なので気軽にいろいろな種類のフィルムを使えるので気軽である。また、ひとくちにフィルムといっても様々な特徴を持ったフィルムが売られている。その辺を理解しながら、目的に合わせて使い分けると、今よりもさらに楽しい写真が撮れるのではないだろうか。今回はその辺を詳しく紹介しようと思う。

フィルムの種類について

フィルムには大きくわけて「カラーフィルム」と「白黒フィルム」がある。この辺は読んで字のとおり、カラーフィルムは写せばカラー写真が撮れるし、白黒フィルムで撮れば、白黒写真が撮れるのである。ただ注意しなければならないのは、普通のプリントショップに白黒写真を出すと、カラー現像の処理が出来ないので同時プリントの値段や納期ではプリント出来ない。さらに今時は白黒現像のほうがコストは高いのである。

さらにカラーフィルムには「ネガフィルム」と「リバーサル(ポジ)フィルム」と言う物がある。「ネガフィルム」は一般に写真屋さんやスーパー、コンビニなどでいつでも買えるフィルムの事である。これは「プリント」を目的としたフィルムで、ネガだけ見ても色が反転しているので、それだけでは写真としては成り立たない。それに対して「リバーサルフィルム」は現像した時点でスライドになっているので、投影機やルーペを使えばプリントせずに鑑賞できる。また、発色の良さから印刷用の原版としても利用されている。もちろんその現像されたポジフィルムからのプリントも可能だ(ダイレクトプリントと呼ばれる) プロからアマチュアまで使われている高性能なフィルムである。ただしリバーサルはラチュードと呼ばれる色への許容範囲が狭いので、露出がコントロール出来ないと、カメラまかせの測光では思った発色が得られにくい。その意味から、コンパクトカメラ等の露出補正が出来ないカメラには向いていない。

さらにフィルムにはサイズと言うものがあって、通常のカメラは「35mm」と呼ばれるサイズである。最近は「APS」用のフィルムもあるので購入の際、一応気を付けたい。ちなみに両者は完全にカートリッジからして大きさが違うので、互換性は全くない。その他には中版とよばれる大きなフィルムもあるが、ここでは省略する。

そしてここが大きなポイントとなるのだが、フィルムには「感度」と呼ばれる要素がある。感度とは簡単に言うと「一定の光に対してどれだけ感光するか」という数値である。数値が大きい程、多くの光を受けられる事になる。パッケージを見ると「ISO100」とか書かれているのが、そのフィルムの感度である。一般的にコンビニ等で売られているものは「ISO100」または「ISO400」が多い。それに対して高感度フィルムと呼ばれるものは「ISO800」とか「ISO1600」である。

以前にも書いたが、感度が高いと言うことは同じ被写体を撮る時「シャッタースピードが速く切れる」という利点を持つ。と言うことは夜間や雨の日、または室内等でも手ブレを起こしにくい。さらに一般的に焦点距離が長いほどレンズは暗くなってゆくので、ズーム機能のついたカメラでフルズームを使うときは有効である。

だがしかし、逆に言えば高感度になればなるほどプリント時に粒子が粗くなる。ISO800クラスになると、サービス版でも粒子の粗さが気になってくるところだ。特に風景などのシャープさが求められるプリントでは全体的に色みのないボケたような印象になってしまう。そういう意味で高感度フィルムはスナップ写真などの、写実性をあまり求められないジャンルに向いていると思う。何せスナップなどは一瞬を切り取るような撮り方をするので、高速シャッタが使えないと、かなり撮影条件が限られてしまう。その点高感度フィルムは写実性を犠牲にしてまで、スピードをあげているのだ。こういうときに使わない手はない。

と言うことは逆に言えば、夜景や花の写真等シャープでかつ色みを大事にしたい写真を撮る場合、ISO50やISO100などの感度の低い高密度粒子のフィルムを使うとよい。そうすれば素晴らしく美しい写真が撮れるのである。ただし低感度フィルムは当然ながらシャッタースピードがバリバリ遅くなるので、三脚などの手ブレ対策は必須となる。

私の使ったフィルム

上記の話を踏まえた上で、私が今まで使ったフィルムについて述べて見る事にしよう。ただ私はAPSや中版のカメラを持っていないので、ここでは35mmフィルムについてのみにさせていただきたい。

FIJIFILM「SUPERIA400」(カラーネガフィルム、ISO400)

このフィルムは昨年夏に発売された現在FIJIFILMの主力商品である。もちろんISO400なので、どんなカメラやレンズを使っていてもそれなりにシャッタースピードで困る事はない。さらには画質面で従来の400より粒子が細かいので、ISO100に比べても、キャビネまでなら遜色はないと思う。また発色も400とは思えない美しさなので、どんな時にもこれ一本あればとりあえずなんとかなる。そういう意味で汎用性に優れたフィルムとだ思う。また、日本中どこででも入手できる事から、旅行等でコンパクトカメラに入れて気軽に撮るにも向いていると思う。私の現在のメインフィルムである。

FUJIFILM「REARA ACE」(カラーネガフィルム、ISO100)

夜間や風景など、三脚を前提として画質を優先させたいときに使っているフィルム。一般的には人物などのポートレートに向いているらしい。感じとして他のISO100のフィルムに比べ、粒子の細かさが優れているように思える。絞り込んだシャープなプリントが欲しいときはこれがお勧めかなと思う。色もしっとりきれい目に写るような気がするので、夜間で照明の光を綺麗に撮ったときはイイ感じだった。カタログには蛍光灯下で撮影しても、独特の緑カブリがおきないらしい(試した事はないが)。
ただ欠点としては他のISO100に比べて入手しにくいのと、価格が高めなのであんまり気軽に使えないところか。しかし、このフィルムできちっと撮れたフィルムを引き伸ばした時の美しさは、ヤミツキもんである。

KODAK「コダックゴールドこれ1本」(カラーネガフィルム、ISO800)

このフィルムはISO800と言うことで高感度フィルムの部類に入る。夜の街を撮る時や望遠レンズ(200mm〜300mm)でスナップ写真を撮るときに使う場合が多い。特徴としてはISO400に比べて1/2、ISO100に比べて1/8のシャッタースピードが使える事である。日頃から手ブレ対策に苦しんでいる私としては、この差はかなりでかい。ちょっと日が翳ったり夕方になったりすると、どうしても光が足りなくなるのだ。そんな時「これ一本」ならばもうひと粘りが出来るのである。そういった意味である程度失敗が出来ない時やムリ目の状況の時によく使うフィルムだ。さすがにコンビニではあまり見かけないが、ちょっとした写真屋さんに行けば手にはいるので何かと重宝する。ただしそれと引き換えに、プリントの画質のほうはやはり荒れ気味になってしまう。どうしても色がザラついた感じになり、これで花の接写や風景を撮るとちょっときつい。それゆえ引き伸ばしを前提とした撮影では、さすがに使う勇気はないのが正直な所でもある。
ただ、最近このシリーズは次期フィルム「コダックゴールドMAX800」が発売されるらしく、それにともない生産終了になるらしい。私も手持ちの在庫が切れ次第、新製品に移行しようと思っている。新製品では画質の改良がされている事を切に願うばかりである。そうすれば最強のフィルムになるのだが・・・。

FIJIFILM「TREBI」(カラーリバーサルフィルム、ISO100)

これはFUJIFILMからカラーリバーサルの入門用として最近発売されたフィルムである。前述のように、リバーサルは美しい発色が得られ、プリントしなくともスライド等で鑑賞できる。そういった利点を生かしたいときや、とりあえず使って見たいという時には最適だろう。一度これで夕焼けを撮って見てダイレクトプリントしてところ、さすがと唸らせられるプリントであった。
確かにフィルム本体も高いし(24枚で600〜700円程度)、プリントの納期もかかるが、あの発色を一度見てしまうとやめられそうにない。早く上達して、完全に使いこなしたいものだ。なお、他にリバーサルとしては有名なFUJIFILM「PROVIA」「VELVIA」KODAK「コダクローム」KONIKA「森羅」などいろんな種類がある。その中で「TREBI」は印刷用の原稿を前提としていないので、ネガ自体がクリア発色なのでプリントしたときも青っぽくならない。それぞれ発色に特徴があるので、腕前や状況と相談して使い分けたい。

FIJIFILM「NEOPAN100 PRESTO」(白黒ネガフィルム、ISO100)

日本国内で入手し易い白黒フィルムとして有名なのが、このフィルムである。AGFA等の外国メーカの白黒も使って見た事があるのだが、プリントのシャープさとかで私的には「NEOPAN」が好みである。やはり白黒フィルムの特徴はすべての光が白黒のトーンで表現される所にある。これは腕前にもよるのだが、都会の寸景だとか人物だとか「さも意味ありげ」な写真が撮りたい時に使うと効果的である(苦笑)
カラーで撮ると見慣れた風景だが、白黒で撮ると見ている人に「このシーンは実際はどうなんだろう」とか想像させる部分が多くなる。そこがミソである。これが風景や花だと想像しやすいので、かえって効果としてはいまいちなのである。
それと白黒フィルムはカラーに比べて現像しやすいという特徴もある。その為、愛好家の間では自分で現像からプリントまで行う人も多い。とはいえ暗室を作ったり、引き伸ばし機を準備したり、また現像液の管理を行ったりとそれはそれで大変な作業ではある。白黒自家プリントはあくまでカラーと比べて簡単と言う意味であり、ワンルーム暮らしの私などではちょっとそこまでガッツが無いのが実情である。ただ、部分的な焼きこみや印画紙を変えてコントラストを調整したりと、かなりの部分を自分でコントロールできるので極めたい人にはチャレンジしてみるのもいいかもしれない。<br> 他に有名な白黒フィルムとしてはKodak「トライーX」があるが、あまり入手しやすいとは言えない。ちなみにNEPOANにはISO400、1600と感度がいろいろ揃っていて、荒れたプリントが欲しい時にはもってこいである。

KODAK「T400CN」(白黒ネガフィルム、ISO400)

これは変り種FILMとして紹介するが「カラー現像機で現像が出来る白黒フィルム」なのである。正確に言うと「現像がC41(一般のカラー現像)方式で出来る」フィルムである。そういう意味では分類としては本当はカラーネガに分類されるのかもしれない。つまりこれで撮ると、その辺のプリントショップで同時プリントの値段と納期で白黒プリントが手に入るのだ。
実際上記「NEOPAN」や「トライX」等の本物?の白黒フィルムは一般的にお店からそこが契約しているラボに送られて、そこで現像〜プリントまでされてまた店に送り返される。その為納期も2,3日かかる上に費用も同時カラーより高いのである。それが普通のプリントと同じ感覚で白黒が撮れるのは大変ありがたい。実際使って見ると、プリント自体は若干青みがかった感じの仕上がりになったような気はするが、まぎれもない白黒プリントである。

他にも「セピア専用フィルム」だとかいろいろあるが、いろいろ試して見ると面白いと思っている。繰り返しになるがレンズやカメラはそんなに安いものではないし、ライカなんぞ買ってしまった日にはほとんど一生モンである。その意味で限られたハードのなかで、気楽に安く写真の可能性を広げてくれるのがフィルムなのである。もしあなたがコンパクトカメラしか持っていないとしても、それを全く嘆く必要はない。むしろフィルムなどを変えてみて、よりお気に入りの写真が撮れれば、それは間違いなくあなたの勝利なのであるのだから。一度自分の使っているフィルムを変えてみる事をお勧めする。感度を変えてみるだけで、また違った世界が広がるに違いない。


episode.6

プリントショップについて

さて最近チャレンジ編が多かったので、久々にノウハウ編を一発。
写真というものは、当たり前だがカメラでシャッターを切っただけでは写真にならない(除くデジタルカメラ)「現像」という過程を経て初めて「写真(プリント)になるのである。いくらいいレンズやカメラを持ち込んで撮ったとしても、最後のこの過程で失敗すれば当然傑作は生まれない。

そこで我々一般フォトグラファーは、カラーの場合この過程をプリントショップに依頼している。そしてその対価として現像料、プリント料、引き延ばし料などの作業料を支払う。つまり「写真」というものは必ず人の力を借りなければ楽しめないものなのである。

実際フィルムに写った画像を印画紙に焼き付ける事は、少なくとも一般市民の我々が自宅で気軽に出来る事ではない。比較的簡単な機材で出来る白黒フィルムの現像でさえ、都会暮らしのマンションではかなり辛い。そういった意味でも、機械化が進んで省力化されたとはいえ、彼らの技術やセンスがなければ傑作も駄作になってしまうのである。

写真というのは「プリント(もしくはネガ、印刷)」という目に見えるものになって初めて評価できるのである。「いい写真」「お気に入りの写真」を撮りたいと思うのならば、機材や撮影技術だけでなく「現像〜プリント」という最終行程まできっちりと心を配るべきではないだろうか。

そもそもプリントは同じネガからプリントしても、店によって色味が違う事は周知の事実だ。だが実際依頼する時は、値段と納期だけで結構安易に出してしまったりする。そういった意味で、実際プリントショップと言われる「現像〜プリント」を行ってくれるサービス店をどのように利用すればいいのだろうか。実際に調べたり聞いたりしてみた事を現時点でまとめてみたいと思う。

あるプロカメラマンの言葉によると「構図やピント、ブレの問題は撮影者の責任。色は現像技術者の責任」だそうだ。まぁそこまで極端だとは思わないが、カラーネガの場合、確かに色については、ある程度店によって違いが見られる事が多い。焼増しを同時プリントで出した店と、違う店でしてもらうと色味が違っていて「あれ?」と思った事はないだろうか?

実際現像してくれる店と言っても大きく3種類に分かれるみたいだ。それぞれの特徴をまとめてみた。

1.一般的なプリントショップ

だいたい店にカラーネガ現像機を構えていて、その店の人がその機械で現像〜プリントまでを行ってくれる。店内に現像機を備えているので、30分や1時間でプリントまで可能。価格は現像料+プリント代×枚数分というパターンが多く、そんなに安くはない。あらゆる街角にある「町の写真屋さん」である。

2.大量量販プリントショップ

店には受付の人のみがいて、大量処理の工場でまとめて現像される。一般的に価格は安いが、納期は2日程度かかる。コンビニエンスストアなどのプリントもこの方式。品質はその工場の質に左右される。

3.プロラボ

私も行った事はないが、主にプロクラスが利用する現像所。ここの売りは技術の高いスタッフがフォトグラファーの要求に応えて現像〜プリントまでを行う。一般の現像所では行えない増感処理や繊細な技術力がいるマスク焼きなど、クオリティの高い作業を提供してくれる。当然ながら現像所自体が少なく、大都市圏などに多い。価格や納期は行った事が無いのでわからないが、そんなに安くはないと思う。実際私も試した事が無いので、今回は紹介のみにとどめておく。

ここで注目したいのは「写真と言うものは、現像してくれるプリントショップによって色は変わる」と言う事である。これは1、2共に共通だが、それぞれショップで使われている現像機材には様々なメーカー、機種が存在している。当然ながら技術者のその機械への習熟度や機械の特徴によっても左右される。そしてここが肝心な所だが、同じ機械であっても、「そのプリントにどういう修正をかけるか」はその技術者のセンスにかかっているのである。

「俺、現像出した時に修正なんか頼んだ事無いぞ?」と言う貴方。
実は写真と言うものは、何も言わなくてもショップの方でそれなりの修正が加えられているのである。緑は緑らしく、人は人らしく、山は山らしくショップが気を利かせて色彩を修正してくれているのである。無補正のプリントもお願いすればやってもらえるとは思うが、聞く所によると素人が撮った場合、ほとんどとんでもない代物らしい。そこでショップが仕上げの段階で色を乗せる事で、なんとか写真らしくもっていってくれるのである。

話は戻るが、それでは1と2の最大の差はなんだろう。それは2では、プリント技術者と直接話が出来る事ではないだろうか?カラーネガというのは色修正に対して、かなりの許容性を持つ。だからプリント時にセピアっぽくするだとか、白っぽく仕上げるという事がプリント時に簡単に出来るのだ(とはいえもちろん何でも出来ると言う訳ではないが)。

私は人の写真が多く写ってるフィルムを同時プリントに出す時、「人の肌色を綺麗に出して下さい」と一言お願いする。そうすると、プリント技術者は肌色以外の部分を多少犠牲にしても、肌色の色味を中心に現像出来るのである。

何も言わずにお願いしても、技術者は緑が多い写真ならば緑をいい色にしてくれるし、海の写真ならば海の色を綺麗に出すように色を補正してくれる。だが撮影者は実際撮影する時その場面を見ているので、どういった色が適切か分かる。しかし技術者はカラーネガに写っている色しか分からないのだ。だからその辺の修正は技術者の持つ一般的なイメージが基準であり、技術者の好みやセンスに委ねるしかないのである。美容院にいって「適当にカッコよくカットしてくれ」と頼んでいるようなものである。これでは美容師もどのように切って良いのかわからない。

そこで一言「肌色を優先に」といえば、技術者も一般的なイメージ+撮影者の好みや大事にしているポイントがわかるので、よりお客の好みに沿ったプリントが出来るのである。もちろん一発で客の希望のプリントが仕上がる事は滅多にないだろう。そこで焼増しを頼んだり、以前に焼いてもらったプリントを持参して「肌はこんな感じで」とコミュニケーションを増やす事で撮影者の好みを理解してもらう。時間も費用もかかるが、そうする事でイメージ通りに仕上げられたプリントが手に入るのである。これはもう店や技術者との信頼関係であり、一朝一夕では手に入るものではない。またその店にいい技術者がいるかどうかも大きな問題だ。これはだれか知人などにプリントを見せてもらい、それから判断するのが手っ取り早いだろう。

経験的にいうと大量量販プリントショップでは、そういった指示を断られた事がある(もちろんその店で出すのは止めたが)。仮に聞いてくれたとしても、受付の人(=プリント技術者でない人)がどこまであの微妙なプリント調整を把握して、技術者に伝えてくれるか疑問だ。もちろん全部の大量量販プリントショップを批判するつもりはない。だが、実際私が出した時は、使われている印画紙の質も悪く(紙自体がザラついている)私の望む写真は出来上がってこなかった。結局いつものショップに焼増しで対応してもらうハメになった。

結論として現像に関するお金は結局「プリント技術を買う」ということなのだ。質の良いプリントを手に入れようと思えば、当然ながら支払う対価は大きくなるのである。帰ってきたプリントを見てパッとしないなと思い、そのままお蔵入りしてしまうプリントのいかに多い事か。もちろん色の失敗を見抜く目も必要だが、どうしても一次プリントはセレクトする時に大事な基準になる。その中からいいプリントをチョイスして、引伸ばしや焼直しをかけてもらう。そこで「色の失敗だけで(=修正可能な範囲で)実は構図やピントは素晴らしい写真」を見落としてしまう可能性を私は恐れる。折角よい写真が撮れたのに、そんな自分の手の届かない部分で損失を被るのはゴメンだ。

まだまだ初心者の域を出ない私ではあるが、それでもお気に入りのプリントが手に入った時の喜びは格別だ。私はその喜びを得る為に、自分でできる限りの努力や工夫を続けて行きたい。


episode.5

Jリーグを撮ったぞ!

さて初心者は初心者らしく、色んな課題にチャレンジと意気込んで次に挑戦したのがスポーツ写真である。やっぱり私にとってスポーツといえば「Jリーグ」。早速機材を抱えて大阪は長居陸上競技場へと向かった。カードは「セレッソ大阪vs横浜・Fマリノス」である。好調同士の対決だ。

プランとしては、撮影場所はスタンドからになるだろうから、手持ちのレンズ(といっても二本しかないが)から最大望遠が可能な75〜300mmの望遠レンズをチョイスした。幸いにも当日は晴れだったので、光は充分にあるだろう。時間帯も4時〜6時なのでなんとか自然光で撮影できそうだ。

ズームレンズは(これはコンパクトカメラも同じ)基本的に、ロングになればなる程暗くなってしまう。そういう意味で望遠レンズを使うにはもってこいの日である。ただでさえ高速側のシャッタースピードを使うから、光は出来るだけ欲しい。って言うか、カメラ始めてからコレばっかり言っているような気がする(笑)。
あと三脚も用意した。混んでいる試合ならば、三脚なぞ立てる場所は無いのだが、さすがに昨今のJリーグ。後の方に行けば楽勝さと、あまり気にもせず持ち込んだ(ちょっと哀しい)。これが後の方で違った威力を発揮するとは・・・。

場所決めと作画の為に、早めに会場入りしてみたら、「ピッチサイド見学ツアー」なるものが実施されていたのである。どうも試合前の空き時間を利用して、希望者のみピッチサイドでピッチ(グラウンド)を見学させてくれるのである。ここはピッチから観客席まで数十m離れている上に、高さがあるのでどうしても遠くなってしまう。我々サポーターにとっては、例え選手がいなくとも、ピッチと同じ高さで目の前の芝を見学できると言う事は貴重な体験なのだ。偉いぞセレッソ大阪&長居陸上競技場。
関西のJの競技場は陸上と併設ばかりなので、ピッチがトラックに遮られて磐田や鹿島みたいに近くで試合が見れないのだ。横浜の三ッ沢球技場なぞ、観客席から暴徒が10円玉を放り込んだら選手に当たり、試合が中断した事もあるくらい近いのである(これは良くない例えだけどね)

係員に導かれて、専用通路を通ってグランドサイドへ向かう。ここでは持参のデジカメで行程を撮影して行く。するとすぐにグランド内に出られるので、すばやく中から見た風景を撮りまくった。その後ピッチサイトへむかい、グランドの芝を撮影しようかと場所取りをする。ピッチは影もあるもののまだまだ秋の日差しを受けて、綺麗な黄緑色に輝いてる。

するとどうだろう。周りが急にざわめいた。何事かとグランド内を見回すと、なんと選手がトレーニングウエアのままゾロゾロと出てくるではないか!そうだった、試合前には練習と言うものがあるのだった。係員の方を見ても特に追い出しにかかる気配も無い。という事は、このまま至近距離から撮影できるという事ではないか!

どうすべきか3秒考えてから、すぐさまデジカメを仕舞い込み、愛機EOSを取り出した。できるだけ大きく撮影したいので、高倍率ズームレンズの方が圧倒的に役に立つ。試合中を遠くから高速側のシャッタースピードで撮影するつもりだったのだが、予定変更。ここで手持ちのフィルムを全部使い切る決断。三脚は場所的に狭くて使えないのが、少しでもブレを押さえたい。そこで三脚を足だけ伸ばして折りたたみ一脚として使う事にする。

目の前には城、三浦淳、柳相鉄、川口など、キラ星スターがリラックスムードでアップをしている。はやる心を押さえつつ、お目当ての「中村俊輔」と「井原正巳」を探す。いた!俊輔は軽くドリブルしながらこちらの方に向かってくるではないか。瞬間を切り取ったような写真が撮りたかったので、シャッタースピードを1/90に設定して、バシバシシャッターを切りまくる。
しかし、前からこちらに向かって走ってくるのでオートフォーカスではピントが合った瞬間にすぐにピンボケになってしまう。我がEOSにはコンティニアスAFといって、被写体の動きを予測してずっとその被写体にピントを合わせてくれる機能があるのだが、なにしろ使った事が無いので不安だった。これで失敗するのはちょっと悔しいので、止まった時とか低スピードの時を狙ってシャッターを切る。時折こっちを向いてくれたりするし、こちら側まで走ってきてくれるので助かる。遠くに行っている間に近くに来る選手を撮る。また俊輔がこちらに来る。すばやくまた俊輔を撮る。ひたすらこれを繰り返した

結局10分くらいの間にフィルム3本くらい撮りまくった。フィルム交換に若干手間取ったが、なんとか次のお目当ての井原様も、それなりにいい写真が撮れた手応えを感じたので満足だった。4本目に交換した所で係員から終了の声がかかる。ピッチ上ではまだ選手がアップを続けていた。GKの川口のオイシイ場面が目の前で繰り広げられていたが、さすがに時間切れでどうしようもなかった。

思いがけない撮影で精神力を使い果たしてしまったので、スタンドに戻った時には疲れ果ててしまった。また先ほどまで至近距離から撮っていたので、今更スタンドから望遠を使って撮る気にもなれず、ゲームを観戦していただけだった。実際ゲーム中は観戦に夢中だったので、写真の事は忘れていたのだが、ゲームが終了した途端、一刻も早く現像したくて一目散に家に戻った。

近所の馴染みのフォトショップで同時プリントに出す。1時間プリントでお願いする事にした。費用はかかるが、とにかくどんな風に撮れたか早く見たかったのだ。それにここは1時間プリントでも結構綺麗に仕上げてくれる。これでなんとかその日の内にプリントが見られるのである。1時間後にショップに取りに行くと、店長が「イイ感じだよ〜」と言ってくれるので大きく期待が膨らむ。手にとって数枚チェックして見ると、何枚かはイイのが撮れている感じだ。思わず顔がニヤける。
家に帰ってじっくりとみてみると、5枚に1枚ほどイイ感じが混じってる。特に俊輔は撮り倒したので、それなりにいいショットもある。手ブレや被写体ブレも多いが、あの条件下では今の所こんなモノであろう。引き延ばしに出す写真を選んで、その日は至福のままベッドに滑り込んだのである。

さて、今回それなりの写真が撮れたと言う事は、結果的に大きいしノウハウも得た。
勝因としてはまず一番大きかったのが、「近くで撮影できた」と言う事であろう。どれだけいい機材を持ち込めたとしても、しょせんスタンドからではあの写真は絶対に撮れない。これに勝る条件はないだろう。それから天気が良かった事も勝因として挙げたい。これで比較的余裕をもってシャッタースピードを上げられたので、動いている被写体に対して対応出来たと思う。
それから勝負ポイントを絞った事も成功の一因と思っている。今回は俊輔を中心にしてフィルムを惜しむ事無く撮り続けた。これがあの選手もこの選手もと、フラフラしていたら、これだけ撮り切る事は出来なかったと思う。何せファインダ越しに、激しく動き回る人物を捕らえつづけるのだ。望遠レンズを使ったので、何度フェイントを食らって振り切られた事か。う〜む、さすが五輪代表の司令塔である。それゆえ限られた時間の中で、1人の選手を追いかけた事は結果的に成功したと思う。

最後にこのような素晴らしい企画を立てたセレッソ大阪に応援のエールを贈りたい。来年も絶対行くぞ〜。


episode.4

ズームレンズだっ!

「ズームばっかり使ってると、写真ヘタになるよ」
ある本に書いてあったのだが、これはよくいわれる事らしい。今、世間 はレンズ付きフィルムやコンパクトカメラを含め、ズーム機能が花盛り である。にも関わらず、こういう事が言われるのは何故だろうと思って いた。

そもそもズームレンズとは、一本のレンズの倍率 を変化させ、近くの物 から遠くの物までをカバーするレンズだ。一眼レフ用のレンズでは「7 5mm〜200mm」というように焦点距離で変化率を表現する。また コンパクトカメラなどでは「3倍ズーム」と言うように倍率で表現され る場合が多い。ちなみにズームレンズの反対側に位置するのが単焦点レンズである。単焦点とは28mmとか135mmとかいうように、焦点 距離が一定なレンズの事を指す。一見単焦点はズームに劣る様に思える が、そうとも言えない。単焦点はレンズを稼動させる部分が不要なので、 軽量でかつズームより描写性の高いレンズが使われてる場合が多いのだ。

ここでちょっと焦点距離視野の話をしておこう。
焦点距離が大きくなると言う事は=物が大きく見える、これは誰にでもわかる。しかしファインダの大きさはカメラに固定されているのだ。と いうことは=同時に写せる広さ(視野)も狭くなるのである。実際、同じ物を同じ実距離で、焦点距離を変えて見るとわかりやすい。被写体は 拡大されるが、その周辺にあるものは視界の外に飛び出してしまう。
一般的に人間の視野は50mmレンズと同等の視野と言われている。だ から50mmレンズは標準レンズと呼ばれ、この焦点距離から写真の勉強を始めるのがよいらしい。

ここで問題の核心に近づいていく。
写真の構成要素として、一般的に良く言われるのが「絞り」、「シャッタースピード」、「露出」の3要素である。ここではややこしい事は省 略して「絞り」に注目して話を進める事にしよう。
レンズの特性として、「同じ距離の物を覗き込んだ時、絞り値が同じで あるならば、焦点距離が長いレンズのほう(ロング側)が背景などがボ ケる」というのがある。この場合のボケというのは「悪いボケ」ではな く「被写体以外がうっすらとボケて、綺麗な写真が出来るよいボケ」で ある。上手い人はこの「ボケ」をコントロールして、素晴らしい写真を 撮るのだ。

ここでズームレンズを何も考えずに使うと、ついつい被写体のUP具合 ばかり気になってしまう。逆に言うと「ボカし(絞り)」の事が考慮に 入れられないのだ。歩いて近寄れない距離ならばどうしようもないが、 別にスームを使わなくても2、3歩近寄ればいい場合だってある。それ を横着してズーミングでカバーしてゆくと、当然ボケ具合も変化するが それをよしとしてしまう所に問題がある。

これを防止する為の方法も紹介されていた。それは一度ファインダを覗 き込んだら、ズームリングには手を触れないように心掛ける事だ。

1.まず被写体を見て、構図を決めてどれくらいのズームだなと決める。
2.ズームをセットする。
3.それから初めてファインダを覗き込んで確認する。
4.それで構図が決まらなければ、一度ファインダから目を離してから、歩
くなり、ズーミングを変更するなりする。
5.そしてまたファインダを覗き込んで、構図確認をする。
6.上記を構図がOKになるまで繰り返す。

だそうだ。実際やってみたのだが、最初のうちはメチャメチャ時間が掛かる ので苦労する。ただ慣れてくると凄い武器になるだろうと感じた。パッと見ればピタリと構図が決まるのでチ ャッターチャンスにも強くなる。すると後は絞りとシャッタースピード を気にすれば良いので、結果的に実力が上がっていく、という調子だ。

実際の所、ズームレンズは便利だし、たくさんの交換レンズを持ち歩か なくて済むので、写真の可能性を大いに広げるアイテムだ。 だから、その特徴を知りぬいた上で自分の「作画」に活かすと、より素晴らしい写真が撮れるのではないだろうか。
うむむ、精進せねば・・・。


episode.3

動物写真苦戦記

写真雑誌やフォトコンテストで必ずと言っていいほどよく見かけるのが 動物写真である。 自分のペットや動物園での愛らしいショット、はたまた野生動 物の迫力あるショットなど、動物の写真は見ていて何か生き物の不思議さや 愛らしさを感じずにはいられない。中には人間の目では決して捉えられない 姿や場面を収めたショットも多くあり、動物は被写体としても非常に素晴ら しい。

とはいえここにも知っておくべき写真的がポイントがいくつか存在する。考 えてみれば相手は 日本語の通じない相手だ (あたりまえだが)。ここでは自分なりに気がついた事を書き記しておこうと思う。実は先日、知人のお宅にお邪魔をして、ハムスターを接写する機会に巡り会えた。だがしかし、その時の叫び声のほとんどは以下のとおりである。

「じっとせんかいっ」
「こっち向かんかいっ!」
「走るなぁ〜!」

まず動物写真というのは当然ながら相手は動物である。それゆえじっとしていない。おまけに敏捷なので一瞬を捉えるのに物凄く苦労するのである。撮影中真剣、どこかに縛りつけたろかと思ったくらいだ(笑)これが全ての攻略ポイントの基礎となる。

対策としてはまず撮影を日中の明るい間に行った。室内撮影なので光はいくらあっても足りないと言うことはない。目一杯の自然光+ 部屋中の照明を使 った。何故かと言うとこの時はデジカメを使ったのだが、暗いとカメラがシ ャッタースピードを自動的に遅い目に設定してしまうのだ(この辺はコンパ クトカメラと共通だと思う)。
小動物相手に遅いシャッタースピードだと、ブレるどころかフレームの中を 一瞬で走り去ってくれたりしてイライラするだけだ。よしっ、と思った瞬間 にファインダから一瞬で消えられた日にゃもう、って感じである。

次に行なった事は下に出来るだけ大きい白い紙 を敷き詰めた事だ。これは 入ってきた光を出来るだけ反射させてフレーム内の明度を上げようと言う 試みである。 本当は白が多いとは写真が暗めになる(=露出がアンダーになりやすい) のだが、この際明るさには代えられない。とにかく 少しでも光を稼ぎたかった のだ。それに下を広くして統一しておくと、カメラアングルも決めや すいし、走り回られてもなんとかなる。

いざ撮影してみると、いろいろ考えた効果もそれなりにあった。しかしそ こまでやっても光の当たり具合によってスローシャッターに切り替わって しまうのだ。散々苦心した結果、日中だろうがなんだろうが フラッシュを強制発光させて撮影をするとうまくいった。 これはカメラの機種にもよるが一般的にフラッシュを発光させると、カメラ側で強制的にシャッタースピードを最高速側に調整してくれるのだ。光が強くて動物が驚く事も考慮して、フラッシュの発光部分をトレッシングペーパーでマスキングして光を弱めた。さすがに至近距離でフラッシュを当てるのは可哀相だ。ただし、この技はレンズ付きフィルムでは不可能な技である(シャッタースピード固定の為)。

それでも活発に動き回ってくれるので飼主と相談した結果、餌を上げたら どうだろうと言うことになった。食事をしている時は少なくとも、走りなが ら食うわけにはいかないだろうと言う訳だ。ここで大好きなひまわりの種 を上げてみる。するとどうだろう、 食べるのに一生懸命で、その場にじっ として手だけ動かしてるのだ。やった、今がチャンスとばかりにガンガン 撮影する。ここで高速側のシャッタースピードが威力を発揮した。迷って いる暇はない。実際時間にして10秒程もないのである。スロー側で撮影 されては2枚も撮れない。デジカメはただでさえ撮影間隔がどうしても長 くなるのだ。苦労した点がこんな所でも役に立ったのである。
こうして合計数十カットもの撮影が何とか終了した。苦労は多かったが自 分なりに得るものも多かったと思う。

さて仕上がってからの画像を見て気がついた所を書いておく。
やはりブレやピンボケが出るのは仕方ない所だ。何度シャッターを切った 瞬間にフレームから脱走された事か。あと被写体が小さいのでついつい 近寄りすぎてしまうが、それらは100%壊滅だ った。やはりレンズの 最短焦点距離だけはマニュアルなどで確実にチ ェックしておきたい。慌てて写すとついつい被写体に寄ってしまいがちに なるので、常に距離だけは意識して寄りすぎないようにしないとフィルム の無駄である。もしAF(オートフォーカス=自動ピントあわせ)が出来 るカメラならば出来るだけ細かく半押しなどして、細かくピントをチェッ クしたい。AFならば最短焦点距離もチェックしてくれる筈である。

最後にペットは飼い主 が撮るのが一番と実感した。やはり日々の暮らしを 共にしている人には勝てない。何故ならそのペットの可愛い所や憎たらし い所(=シャッターポイント)を知り尽くしてるからである。撮っている 間もファインダを見ながら「 もっと本当はかわいいんだろうな」と思って いた。やはり写真はそういう素晴らしい一瞬との出会いによって作り上げ られるものだと思う。

もしペットを撮ってやろうと思っている方がいたら、是非朝からカメラを もってずっと一緒に過ごす事 をお勧めする。表情や仕種がいい感じになっ てきたとき、すかさずカメラを構えてパシパシ撮ろう。今回私は限られた 時間の中での撮影だったのでいろいろと手段を講じた。だが朝のやさしい 光での姿から昼間の高い光、夕方のオレンジの光に映るペットは今まで貴 方も気が付かなかった様々な表情がそこには写っている事だろう。

その写真達はきっと貴方にしか撮れない、愛情いっぱいの写真になる筈だ。


episode.2

写真の天敵 「手ブレ」

プリントショップから仕上がってきたプリントなんかを見るといまいち スッキリしないな〜と思うような写真が意外と多いのに気づく。プリン トを見ると充分明るいのに、色も悪いし、シャープさが全然足りなかっ たりして全然よくない写真ばっかりになってる。ピンボケだなと思って いたのだが、写真通の友人に見せた所これは「手ブレ」 だと指摘された。 そう、ここで初めて私は手ブレという存在に出くわしたのである。以降、 現在に至るまで、こいつのお陰で未だに無駄なフィルム代とプリント代 をドブに捨てているのである。

そもそも手ブレとは何か?
読んで字のごとく、手がぶれる事によって写真もブレてしまう事である。 いちおうその世界では初心者の代表的なミスとされ、どんなにいい構図 や色を出しても、ちょっとばかりのブレを見つけられた時点で「失敗作」 の烙印を押されてしまうのである。では「手ブレ」と「ピンボケ」の違 いは何であろう。
プリントをよく見れば分かるのだが「ピンボケ」は 意図した所にピントが合ってないだけで、どこか違う所に必ずピントが あっている筈である。それに比べて「手ブレ」は全体的にボケとしてい て、画面のどこにもピントが合っている所がない。これで見分けるのが 一般的だろうか。

では手ブレは何故起こるのだろうか。一番単純に考えてみると写し手が 動きながら写真を撮った、というのが簡単な答えだ。確かに走りながら 撮影していてはまずまともに写らないだろうし、ピョンピョン飛び跳ね ながら写してもツライものがある。じっとして撮ったつもりでも腕が震 えていたりして、その動きがカメラに伝わった時点でアウトなのだ。

でも普通に構えて撮っただけでもちゃんと撮れたりするのもあるよ、と いう声もあるだろう。そう、ここがポイントなのだ。

ちゃんと撮れた写真をよく見て欲しい。それらブレていない写真は青空 の下とか遠景だとか、比較的良い撮影条件での写真が多くないだろうか? それと内臓フラッシュを使った写真も比較的手ブレは少ないと思う。 逆に夜とか雨の日とか、近くのものをズームで撮影したりした時とか 厳しい撮影条件の時に多く見られると思う。

これらの現象は全て 「明るさとシャッタースピードの関係」に起因する問 題と思われる。

「シャッタースピード」とはこれまた読んで字のごとく、シャッターを切 ると内蔵されているシャッター機構がシャッター幕を開いてフィルムに光 を当てる。そしてシャッター幕を閉じる。その幕が開いてから閉じられる までの時間が「シャッタースピード」なのである。

これはカメラの性能にもよるが、高性能だと1/16000秒というのか ら30秒くらいまでを段階的に調整出来る。一般的には手ブレが発生する のは1/60秒以下のスピードとされるので、理論的にはそれ以上のスピ ードに設定して撮影すれば問題はない筈である。
しかしながら手ブレは現実に発生している。何故だろう。それが「明る さとシャッタースピードの関係」というややこしい問題なのである。

シャッタースピードは上がれば上がるほどその瞬間を捉えられる。だから 手ブレが発生しても、ブレより短いスピードでシャッターが切れるので手 ブレはフィルム上に記録されない。だがしかし、 早いシャッタースピード になればなる程、フィルムに当たる光の量は少なくなる のである。

シャッタースピード高速=明るい(多い)光が必要。
と言う事は、低光量=低速シャッタースピードが必要。
という式が成り立つのである。

つまり晴天の日だとか高感度フィルムを使用している時でないと、高速シ ャッタースピード時に必要な光がフィルムに当たらないのである。

そこでさらに問題なのが、一般的なコンパクトカメラではシャッタースピ ードはユーザが設定できないようになっている。カメラがその被写体の光 量を算出して自動でスピードをコントロールしてくれるのである。一見便 利な機能ではあるが、問題は室内だとか夜間だとか光量が低い時(条件が 厳しい時)だと カメラは勝手にガンガンとシャッタースピードを落として しまう のである。そしてスピードが1/60秒を下回った時、手ブレが発 生するのである。夜景撮影では大体1/8〜15秒もの間シャッターを開 放しているので、まず人間の手では撮影は不可能だ。こうなるともう置き 撮りか三脚を立てるしかないのである。
というわけで撮影条件が悪くなればなるほど手ブレは起きやすくなるとい う事が言える。これを克服する為にはそれなりの手段を講じなければなら ない。

まず正しいカメラの構え方を見につける事である。しっかりと脇を固めて 顔にカメラを押しやる事。これで結構防止できる。それもさらに台や立ち 木等を利用して出来るだけ安定させる事を考えよう。 他の手としては高感度フィルムを積極的に利用する事も有効だろう。IS O400以上のフィルムを使うとよい。夜間に撮る事がはっきりしている 場合は思い切ってISO800のフィルムも積極的に利用するのも手かも しれない。あとで大きく引き伸ばす事を前提にしなければカメラはフィル ム感度をベースに光量の自動計算を行なうので早いスピードが使える。 一眼レフなどではf2.0などの明るいレンズを使うのが一般的だろう。 ただし明るいレンズは異様に高価なので私には無理だが(笑)

ちなみにISO100というのはこの場合使われている フィルムの感度 を示す。
一般的にはISO100、200、400が良く使われていて、 レンズ付きフィルムのみならず普通のフィルムを購入する時にもよく見 かける数値である。このISOは数字が多いほど感度が高い。つまり 「少ない光でも敏感に写せる」という事だ。その結果、暗い所でもより 短いシャッタースピードが使えるのである。
欠点としては感度が高いほどフィルム価格が高くなる事と、高感度フィ ルムはフィルム自体の粒子が荒いので大きく引き伸ばしたりすると写真 がざらついた感じになってしまうのである。ただし通常のキャビネ版程 度ならほとんど判別できないと思う。
ただしいくら高感度とはいえ、ISO400では暗闇や星空の手持ち撮 影が可能という訳ではないので、高感度だからといって他の手ブレ対策 は怠らないようにした方が良いと思う。


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