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No.232: 予備選抜試験当日 (2007.5.10)

ああ、とうとうこの日が来てしまった。
わかってはいるんだけど、いつかこうやって当日が来ちゃうんだよね。
自分がいつか死ぬ日とかも、ある日、こんな感じで当日を迎えちゃうんだろうかね・・・などとつまらないことを考えながら、音楽院に向かう。

サル・コルトーの控え室は、試験とかコンクールとかの控え室の、あの、なんともいえない、独特のいや~な感じ。
この感じは、普通のコンサートの本番前の緊張感とはぜんぜん違う種類のものだ。
こういうところで練習しても、どんどん体が固くなっていくだけなので、ちょっとホールで音出ししてみたり、写真を撮ったり、部屋の近辺をうろうろしたりして、時間をつぶす。

サル・コルトーで吹いた感じは、とても美しい響きを持っていながら、とても細かいニュアンスまですべて客席に届く感じ。
これは、つまり、いいところも、悪いところも、全部客席に聞こえてしまう、ある意味ちょっと怖いホールだ。

さて、30分ほど遅れて審査員がホールに入っていって、順番に中に呼ばれて中に入って演奏する。吹いている子の演奏を聴いてると、みんな、ふだんのレッスンのときと違って、すごい気迫で、うまい!
いやー、フランス人の子が強いのは分かるけど、他の子たちも、女の子ひとりで海を渡ってここに来ちゃうような子たちだから、そりゃ、やっぱり当然強いよね。

自分の番が、突然回ってきて、先生(ぼくの先生)が呼びに来たので、行こうとすると、なんと、ぼくの楽譜がない。
きっと忘れてきたんだと思って、「楽譜忘れました」と言って、もう試験が終わった子に「貸して!」と言って楽譜を借りてホールに出て行くと、別の子が「あったよ!」と言って顔を出してくれたので、「ああ、ありがとう!」と言って、小走りで取りに行って・・・、という恥ずかしい光景を、審査員先生の前で披露してしまう。

肝心の演奏の方は、2~3箇所、技術的に一瞬あやうい状態になったところがあった。
その瞬間、『このまま崩れてしまって、このたった5分間で台無しにしてしまったら、フランス行きを応援してくれた家族やいろんな人たちの努力まで無駄にしてしまう』などという、ぜんぜん音楽的でないことを(0.1秒ぐらいの間に)考えて体勢を立て直して、なんとか最後吹いた・・・みたいな感じ。
特に大きなミスはしなかったものの、少なくとも完璧な演奏ではない、という、微妙な感じだ。

帰りに、いっしょに試験を受けた子に、「結果はいつ分かるの?」と聞いたら、「たぶん土曜日だと思うけど、こんどの火曜日かもしれない。」という、なんともあいまいな感じ。
うーん、試験結果発表まで、フランス的にはそんな感じなんだねー。

家に着いたら、もうくたくた。
あ、でも、あした、室内楽のレッスンがあったな・・・
早く寝て、早く起きなきゃ。



サル・コルトーの控え室。
そう、あの、試験前の緊張感漂う、さむーい雰囲気の中、
セルフタイマーで自分の写真を撮っている変なぼくです。

そんな感じで写真撮っているぼくを、不審そうに見ている子がいたので、
「この写真、家族に送るの」と言ったら、「じゃ、私が撮ってあげる」と言っ
てくれたので、「じゃ、みんなといっしょに撮って」と頼んで撮ってもらった
写真がこれ。写ってるのは、たまたま居合わせた台湾の子と朝鮮の子。
この前メール・アドレスを交換した子に、この写真を送る約束をする。
(人の写真を勝手に載せちゃうのもあれなので、小さい写真にしました。)



試験会場のサル・コルトー。審査員の先生方が時間になっても
現れないので、みんなで勝手に出たり入ったり吹いたりしてた。

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No.231: 試験前日 (2007.5.9)

うちの母にメールしてみたら、フランスで暴動があったらしいけど大丈夫かね、といっていた。
調べてみたら、サルコジ氏が大統領選で当選したしたため、7日の夜から8日にかけて、バスティーユ広場に数百人のデモが集まって、周囲の店や看板を壊したり、車両を焼いたり、果てには警官隊とぶつかって200人以上が拘束されたりしていたらしい。
その日は、ずっと家の中でビデオを撮ったりしてながら練習していたけど、家のすぐ近くでこんなことが起こっていたんだなぁ・・・。

サルコジ氏は移民に対する締め付けが厳しいため、在仏日本人にとっては、滞在許可書の更新が面倒になるのではないかとか、住宅手当てが出にくくなるのではないかとか、そのあたりが気になっているようで、在仏日本人の集まっているネットなどでは、そのあたりをしきりに討論している。
特に、滞在許可書については、更新できないと国外に退去しないければならない。しかも、出る、出ないの基準は、政治によって大きく左右されるので、日本人は気をもんでいる。
ぼくは今年帰ってしまうので関係ないのだけど、仮にもうまだ滞在する立場なら、さしあたって今年9月に滞在許可書が更新できるかどうかは大きな心配事になっていたはずだ。

* * *

きょうは、自分の演奏を録音して問題点をチェックしたり、比較的のんびり練習する。
前日にじたばたしてもどうしようもないし。
こんなのんきなことを言っている場合ではないかもしれないけど、明日、サル・コルトーで演奏できるのは楽しみだ。

予備試験曲はクーラウで、発表があったときは、正直言って、『なんだ、えらく簡単な曲だな』と、たかをくくっていたのだが、でも、やり始めてみると、かなり大変だった。難しかった。そして、勉強になった。
変奏曲部分は、延々と16分音符(あるいは32部音符)がずらずらと並んでいるだけの、まるでエチュードのような譜面なのだが、先生からは、その中から常にメロディーラインが浮き出るように演奏するように、と指導された。
そんな中で教わった大事なことは、聞き手に音楽を分かりやすく伝えるために、(マニアックなことをせずに)シンプルに曲をまとめるということ。そして、シンプルに吹くためには、シンプルで音楽的なリズムが大切だということ。


 

きょうはレトルト。こっちの米を食うのははじめて。
えらくぱさぱさしていて、日本の米とは別の食い物という感じだか、
その、ぱさぱさ感がけっこううまかった。
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No230: フルートのレッスン (2007.5.8)

きょう、12時40分くらいにレッスンに行くと、先生いわく「遅刻したね。」
「いやいや、してません。ぼくは12時50分からです。」と答えると、先生、『まったくー』という顔をして・・・、どうも、ぼくが12時15分と12時50分を聞き違えていたようだ。
「あ、間違えました。すみません。」

そのあと、「あさっての試験は6時30分までに来るんだよ。」(6時30分=スィズールトロント)とおっしゃっているので、「はいはい、分かりました。」といって手帳に書いていると、先生、指でこいこいやっている。
それで、手帳を見せに行ったら、「違う。16時30分!」(16時30分=セズールトロント)と、また『まったく~』という顔をして、手帳の数字を書き換えてくれている。

試験会場は、なんと、サル・コルトーのようだ!
うわー、あの伝統のあるホールで吹けるなんて、試験といえども楽しみ。
サル・コルトーで吹くって事は・・・、と思って、「正装する必要はあるんですか?」と聞いたら、「いや、普通の服でいいよ。彼女のようなスカルでなければ。」とうしろを指差しているので、見てみたら、台湾人の女の子が、黒字に金のでっかいどくろのTシャツをきていたので、みなで大笑いする。

課題曲の方は、「いいよ!」とおっしゃってくれる。
「ビデオ!」の件は、やりすぎで直立不動になっていたみたいで、「少しは動いていいんだよ。動きすぎなければいいの。」とおっしゃっていた。
「シンプルに!」の方もやりすぎだったみたいで、「もっと音楽的に吹いて!」とおっしゃっていた。


試験も近いので、体調管理のために、きょうからちゃんと昼飯を食うことにする。(じつはいままで抜いてました・・・。時間とお金の節約のために。)
これはいつものパン屋さんにあるサラダなんだけど、きょうはチーズのサラダだった。なんと、ウワサの青かびチーズも入っていたが、食べれないほど強烈でもなかった。
ところで、このプラスチックの容器のふた、ぼく的にはポイントが高い。というのも・・・



この容器、2月に見たパレ・ド・トウキョウの作品に使われていた容器だ!

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No.229: ビデオ! (2007.5.7)

フルートの先生が、「ビデオ!」と言っていたので、レッスン前にいちおう撮ってみてみるかな、と思って、本当に撮ってみる。
そしたら、動きの方は直っていて問題なかったのだけど、肝心の演奏の方がちゃんとできてないじゃん!
なんか、できているつもりだったのに、ちゃんとできてない。
余裕をかましている場合ではなかった。
で、きょうは必死でいろいろ直しだす。

昨日はフランス大統領選挙の投票日で、結果でたらしいが、それどころではない。


「ビデオ!」

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