◆ No.208: フランスに戻る (2007.4.16) ◆
ホンコンからパリ行きの飛行機に乗って、飲み物のケータリングでコーヒーを頼んだら、座席のテーブルが完全に水平でないかったのと、たまたまスチュワーデスの置き所が悪かったのとで、コーヒーがそのままひざの上に滑り落ちる。
着ていたコートはコーヒーでべたべた。さらに、コーヒーはまたの間から座席に回りこみ、パンツまでべたべた。
スチュワーデスはしきりに謝っていたが、機内にはそういう事態ためのものは載っていないのか、どうしようもなさそうな雰囲気だ。
まあ、しょうがないか、と、あまり気にしないことにして、おもらししたような状態でそのまま座っていたが、目の前のモニターに、『キャセイパシフィックで快適な旅を!』というキャッチフレーズが映ると、少々むかつく。
日本に帰ったとき、『ああ、帰ってきたー!』と嬉しかったが、パリに戻ったら戻ったで、やっぱり、『ああ、帰ってきたー!』とやっぱり嬉しく、へんな感じだ。
シャルルドゴール空港。飛行機から入国審査に向かっているところ。
エスカルゴの殻の中みたいな通路。出口に近づくに連れて明るくなっていく。
この演出(?)、ケ・ブランリー美術館の入り口の通路から受ける印象に似ている。
空港出口。そうそう、昨年、ここでオレンジーナを飲みました。
なんだか、ふりだしに戻ったような、変な気分。
ロワッシーバスの車窓から、日の出が見える。
ああ、やっともどって来た。霧の中のサンルイ島。
インスタントラーメン、手羽先やごはんの真空パックなど、食い物
ばかりのスーツケースをゴロゴロやりながら、アルコル橋を通過中。
(ちなみに、行きのスーツケースの中はほとんど空だった。)
昼少し前にアパートにやっとのことで戻り、とりあえずコートとジーパンを洗剤液に浸してベットに横になると、そのまま夕方まで眠ってしまった。
明日はレッスンなので、夕方、あわてて少しだけフルートを吹いてみたが、こちらのアパートの部屋で吹いた瞬間、こちらで教えてもらった吹き方の感覚みたいなのが、一気に戻ってくる。
日本でも試験に備えていちおう練習はしていたのだけど、日本に帰ると、がんばって吹いてしまったり、技術的なディティールが気になったり、そういう、渡仏前の傾向に戻ってしまうみたいだ。
こちらでは、日本より楽に軽く吹いている。細くて少ない息で、軽いタンギングで、曲全体を眺めながらさらさら吹いているようなかんじで、ああ、こういう感じだった、と思い出す。
長いこと練習した部屋には、練習してきた記憶みたいなのが部屋にしみこんで残っているんだろうか? そういえば、日本では、ひたすら努力して、訓練して、みたいな練習をしていたからなぁ・・・。
この感覚、日本に帰ったときに忘れないようにしないといけないなぁ。
そのあと、重い体をひきずって、モノプリにとりあえず食料を調達に行く。
いつもの顔なじみのチーズ屋さんで、いつものコンテを買おうとしたら、「こっちのコンテはどう? こっちの方が強いんだけど。」と薦めてくれたので、きょうはそっちを買ってみた。
|