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No.181: パリでムラマツ (2007.3.20)

きょうは、まずはフルートのレッスン。
コンチェルトで難しくて吹けないところがあって、楽譜のそこの部分に「ここは次回」とフランス語で書き込みしていたんだけど、それを先生に見られてしまって、大笑いされる。
レッスンあと、先生が『今日と明日、フルートのムラマツがバスティーユに来ているよ』と教えてくださる。

次は室内楽のレッスン。
例のダマーズの曲、かなり難しいところで「軽く!軽く!」といわれて、それはわかってるんだけどー、と思いつつ「ここ、難しいんですー」というと、「あーらごめんね。私、じつは難しいことは知っているのよ。」といって、また笑われる。
日本でもそうだったけど、どうやらぼくは、フランス人から見ても笑えるキャラのようだ・・・

そのあと、室内楽の楽譜をサンラザールの近くのアリオーソに買いにいって、その足でバスティーユにでかけて、そのムラマツの展示会場とやらを探し出すと、なんと、フルートの先生が先にきていて、フルートを吹いてらっしゃる!
小さな部屋での展示だったけど、東京のムラマツのそうそうたる技術者が3人来ていた。
そこで、先生に、なんだか逆に「私の生徒のアツィーローを紹介するよ。」とかいって紹介してもらっちゃう。
そして、さらには、ちゃっかり、ムラマツの技術者に、自分の楽器の調整までしてもらって、帰ってきたのだった。


また、音楽院から楽譜屋のあるサン・ラザール方面に歩く。サン・ラザールからアパートまで歩いて帰ったこともあるので、音楽院からアパートの間を、地図がなくても歩けるようになった。
音楽院→サンラザール駅→オペラ座→ルーブル美術館→パリ市庁舎→シテ島→サンルイ島、という道順。


バスティーユへはいつも歩いてきているのでの、メトロできたのは初めてなのだけれど、駅が運河の上にあった。(ちなみに、この運河の反対側はバスティーユ広場になっている。)
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No.180: サンルイ橋 (2007.3.19)

明日はレッスン。きょうも缶詰で練習したあと、もう買い物に行く気力も晩飯を作る気力もなかったので、マックに出かける。
最近、春らしく暖かくなってきたと思っていたのに、きょうはまた息が白くなる寒さ。


マックへ行く途中、BHVの裏に「BHV HOMME」という新しい店が開店しているようなので、ちょっと寄り道。男性用ファッションの店のようだ。
閉店間際に、ちらっと中ものぞいてみてみた。
写真の壁面ディスプレイは、植物でできているようで、かなり美しいもののような気がするのだが、暗くてよく見えなかったので、また昼に見てみたいと思っている。


市庁舎とポンピデゥーの間にあるマック。大き目のチーズバーガー(ロワイヤル・チーズ)を食べて帰る。
寒い夜道をぶらぶら歩きながら、パリ滞在が楽しく思えるのは、きっと、目標があるからなんだろうな、などと思う。
なんだかんだいって、けっきょく、この膨大な課題が自分の気力を支えているんだ、と思う。


寒風が吹くサンルイ橋の端っこで、ぼろを着たおじさんが座ってアコーディオンを弾いている。
このおじさん、この時間帯によくここにいて、ピアフのシャンソンなどを弾いている。誰もいなくなっても黙々と引き続けている。
3拍子の物憂い短調のメロディーがときどき長調に転調する瞬間、ほんのつかの間の希望の光のようなものが見える気がする。
ぼくは、このおじさんのアコーディオンの音色が好きだ。
寒い橋の上で、しばらくの間おじさんのアコーディオンを聞いて、小銭を少しだけおじさんの前において、短い挨拶をかわして、アパートに帰る。

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No179: 日曜日 (2007.3.18)


午後7時のサンルイ島。だいぶ日が長くなってきた。


きょうも一日、缶詰で練習。エチュードもメソードもコンチェルトも仕上がらない。
タバコすいたい。
そして、夜の7時すぎから、室内楽のメンバーとリハーサル。
ダマーズのソナタを合わせてみたのだけれど、これがけっこうおもしろい。
そして、思っていたよりけっこう難しい。
いい意味で、軽くて軽くて、フランスらしい楽しい曲だ。
聞き手に、難しさを微塵も感じさせないように、鼻であしらうようにさらっと吹きこなしてしまいたい。

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No.178: 隣人たち (2007.3.17)

きょう、また日が暮れるころにアパートを出て、途中で室内楽のメンバーに届け物をしたりしながらスーパーに向かっていると、「FREE HUG」という看板を持った若いの(男も女もいる)があちこち歩いていて、いきなり抱きついてこようとするので、「え?わからない。」と言うと「FREE HUGだ」と言っていて、抱きついてこようとするのだが、見た感じ新手のスリというわけでもなさそうだし、変な宗教っぽい雰囲気でもなかったので、よくわからんままに、よくわからん人たちと抱き合ってきた。
後を振り返りつつ歩いて行くと、彼ら&彼女ら、ホームレスだろうが誰だろうがかまわず抱き合っているようだ。

スーパーについたら、イースターのチョコレートがたくさん並んでいた。
スーパーのかごを探していたら、どうぞと渡してくれる知らないおじさんがいる。
西洋梨を押しながらよっているマダムが、「なによ、これ!」と、いきなり話しかけてくる。
帰りに、また別の知らないおじさんにかごを渡す。
道ですれ違うおばあさんに先に道を譲ると、小さな声で「ありがとう」と言ってすれちがう。

たぶん、もう一生会うこともないだろうこんな人たちが、なんだか好きだ。
白いのや、黒いのや、黄色いのや、コワいマダムや、ホームレスや、いろいろいるが、みんな好きだ。

市庁舎の壁に刻まれている『自由・平等・博愛』の文字は、あながち偽善ではない気がする。

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