◆ 正月・ギター (2008/1/10) ◆
フランスへ行く準備に始まって、なれない海外生活、帰国してからのリサイタル・・・と、ここ数年間、息をつく間もなく走り続けてきたよう感じだったのだけど、元旦から10日間ほど、だらだらとしていて、この、突然ぽっかりと穴が開いているような、なんだかゆるみきった時間にちょっと戸惑っている。
とはいっても、こんな日々も今週いっぱいで終わりだと思うけど。
今年は、6月あたりにギターとのデュオを何公演かやる予定で、近頃、ギターの楽譜を集めたり、CDを取り寄せたり、のんびりとギター研究などもやってみている。
楽器というのは、それぞれ楽器の特性があって、吹いたりはじいたり弾いたりの発音の原理上の違いも大きいが、それに加えて、その楽器特有の音楽的なくせみたいなものがある。
たとえば、ピアノは楽器の中でのいちばん音楽的バランスが取れていて、比較的癖のない楽器だと思う。それゆえに、ピアノの音や音楽が生理的に嫌いだ、という人はまずいないんじゃないかなぁ。
ヴァイオリン等の弦楽器は、ピアノに比べると癖があるが、でも、やっぱり音楽的なバランスはかなり取れているほうだと思う。
それに比べると、管楽器は楽器ごとの個性が強烈で、それぞれかなり楽器特有の癖を持っている。はっきり言うと、ちょっと音楽的バランスが悪い。
たとえば、フルートは、派手なヴィブラートをかけたがるとか、とかく速いスピードで吹きたがるとか、鳴りにくい低音域を無理に鳴らしたがるとか・・・自分もフルート奏者のくせにこう言うのもなんだが、フルート奏者の音楽ってかなり変なところがある。
たとえば、クラリネットとか、ホルンとかのリサイタルを聴いた時にそう思ったりするんだけど、ぼくには理解不能なへんてこな音楽表現が多々あったりする。たぶん、その楽器をやっている仲間内にはわかる技術的なアピールなのだろうけれど、フルート奏者のぼくには理解できない。
たぶん、フルートだって同じで、フルート奏者にしかわからない技術的アピールを一生懸命やっているのだろう。
つまり、それぞれの楽器の奏者は、それぞれの楽器の仲間内でしか通用しない、音楽的な鈍感さを持っているんじゃないかと思う。
* * *
なんだか前置きが長くなってしまったが、ギターである。
先月、たまたま、急に、地元のギターの人とボランティアの演奏をする機会があった。
ギターと演奏するのは2回目だ。
ギターというのは、フルートと比べると音量が小さくて、バランスの取れたアンサンブルをするのはけっこう難しい。
それから、ギターは、独特の音色の選択のセンスとか、リズムというのか拍感というのか、そういうのを持っているような気もする。
よくわからない部分もあるけど、うらやましい部分もある。
なんだか、いろいろ興味深い楽器だ。
たぶん、ギターと比べて、フルートのリズム感覚はかなりどんくさいんだと思う。
・・・いや、リズムの感覚というよりは、音のアタックの感覚なんだろうか?
よくわからないが、自分が持っていないいろんな感覚を持っているのは確かだ。
ということで、このあたり、どうやって折り合いをつけるのか、6月までに、自分なりになんらかの答えを見つけて、フルートとギターでしかできないような、新鮮味のある音楽を作ってみたいなぁ、と思っているところ。
正月に食べたガレット・デ・ロワ。
ちょっとなつかしいパリの味。
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