◇ 雑記 ◇


ギターと合わせ (2008/5/3)

6月の演奏会の準備のために、東京までギターのTさんとの合わせに行ってきた。
ギターとのアンサンブルは、ピアノとのアンサンブルとは違った難しさと面白さがあって、いろいろとおもしろい。
難しさといえばまずはリズムで、ギターのアタックの音の反応が早いためか、ギタリストのリズム感が鋭いためか、フルートのリズムの重さがずっと気になっていたのだけれども、それは、苦労の甲斐もあってか、だいぶ解決してきたような気もする。
それから、ピアノの包み込むような分厚い響きに対して、薄くて軽やかなギターに合う音色を見つけるのも少し苦労したのだけれども、それも少し解決してきた気がする。ギターの響きにうまくフルートの響きをのせるためには、本当に軽くてしなやかな音色が必要なようだ。
ギターとのデュオで面白いのは、例えば、ピアノとフルートのための曲をギター用に編曲したような曲。ピアノとフルートで聞きなれた名曲が、ギターとのアンサンブルによって、軽くて颯爽とした別の表情を見せてくれたり、独特の哀愁を帯びたような響きを聞かせてくれたり・・・そうした、ギターとならではの新しい世界が見えてくるところが楽しかったりする。


名古屋駅新幹線ホームにて。
練習のチェック用に買ったばかりのソニーのレコーダーで遊んでいるところ。


全然関係ないが、最近フランスから来た郵便物。
あけてみると、住民税の支払い命令書で、しかも、知らない間に
滞納分10%も加算されており、それを税を期限内に納めよという
内容のもの。それが、いまごろ突然送られてきた。
ちなみに、日本に届いた時点で支払期限は過ぎている。
フランスの銀行はもう閉めてしまっているので、支払い方法は
現金しかなく・・・つまり、支払う意思はあっても日本からの支払い
手段がなくて、どうしたらよいものか困っている最中。


桜 (2008/4/1)

気がついたら、もう、桜が満開の季節。
この間、突然の祖母の死と葬式があったりして、ふと空を見上げてみたら春が来ていた、みたいなかんじだ。

狂ったように一斉に咲いてあっという間に散ってしまう桜を見て、いつも連想してしまうのは、桜の花みたいにばっと開いてばっと終わってしまうコンサートの本番のこと。
そういう人生は、わるくないなぁと思うけど。

さて、来週はうちの生徒さんたちの発表会。みんながんばって練習している。
それから、6月の演奏会の準備もそろそろ始めなければならない。
そろそろ気持ちを再起動させたいところだ。


うちのすぐ近くにて。お昼時。


正月・ギター (2008/1/10)

フランスへ行く準備に始まって、なれない海外生活、帰国してからのリサイタル・・・と、ここ数年間、息をつく間もなく走り続けてきたよう感じだったのだけど、元旦から10日間ほど、だらだらとしていて、この、突然ぽっかりと穴が開いているような、なんだかゆるみきった時間にちょっと戸惑っている。
とはいっても、こんな日々も今週いっぱいで終わりだと思うけど。

今年は、6月あたりにギターとのデュオを何公演かやる予定で、近頃、ギターの楽譜を集めたり、CDを取り寄せたり、のんびりとギター研究などもやってみている。

楽器というのは、それぞれ楽器の特性があって、吹いたりはじいたり弾いたりの発音の原理上の違いも大きいが、それに加えて、その楽器特有の音楽的なくせみたいなものがある。
たとえば、ピアノは楽器の中でのいちばん音楽的バランスが取れていて、比較的癖のない楽器だと思う。それゆえに、ピアノの音や音楽が生理的に嫌いだ、という人はまずいないんじゃないかなぁ。
ヴァイオリン等の弦楽器は、ピアノに比べると癖があるが、でも、やっぱり音楽的なバランスはかなり取れているほうだと思う。

それに比べると、管楽器は楽器ごとの個性が強烈で、それぞれかなり楽器特有の癖を持っている。はっきり言うと、ちょっと音楽的バランスが悪い。
たとえば、フルートは、派手なヴィブラートをかけたがるとか、とかく速いスピードで吹きたがるとか、鳴りにくい低音域を無理に鳴らしたがるとか・・・自分もフルート奏者のくせにこう言うのもなんだが、フルート奏者の音楽ってかなり変なところがある。

たとえば、クラリネットとか、ホルンとかのリサイタルを聴いた時にそう思ったりするんだけど、ぼくには理解不能なへんてこな音楽表現が多々あったりする。たぶん、その楽器をやっている仲間内にはわかる技術的なアピールなのだろうけれど、フルート奏者のぼくには理解できない。
たぶん、フルートだって同じで、フルート奏者にしかわからない技術的アピールを一生懸命やっているのだろう。

つまり、それぞれの楽器の奏者は、それぞれの楽器の仲間内でしか通用しない、音楽的な鈍感さを持っているんじゃないかと思う。

* * *

なんだか前置きが長くなってしまったが、ギターである。
先月、たまたま、急に、地元のギターの人とボランティアの演奏をする機会があった。
ギターと演奏するのは2回目だ。

ギターというのは、フルートと比べると音量が小さくて、バランスの取れたアンサンブルをするのはけっこう難しい。
それから、ギターは、独特の音色の選択のセンスとか、リズムというのか拍感というのか、そういうのを持っているような気もする。
よくわからない部分もあるけど、うらやましい部分もある。
なんだか、いろいろ興味深い楽器だ。
たぶん、ギターと比べて、フルートのリズム感覚はかなりどんくさいんだと思う。
・・・いや、リズムの感覚というよりは、音のアタックの感覚なんだろうか?
よくわからないが、自分が持っていないいろんな感覚を持っているのは確かだ。

ということで、このあたり、どうやって折り合いをつけるのか、6月までに、自分なりになんらかの答えを見つけて、フルートとギターでしかできないような、新鮮味のある音楽を作ってみたいなぁ、と思っているところ。




正月に食べたガレット・デ・ロワ。
ちょっとなつかしいパリの味。


目次に戻る