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S-76Cについて

H-60シリーズで成功したシコルスキー社が、その確立された技術をベースとして新たな技術を盛り込んで開発したのが、本機S-76シリーズである。

このS-76は、コーポレートジェット機並みのキャビンを広さを持ち、最高速度178mph、航続距離450マイル以上という性能を有する高級ビジネスヘリである。

この高性能と、2系統のデジタルオートパイロット、グラスコクピット等による全天候性を発揮して、救難活動や報道、輸送業務に多く活躍している。

先端技術はメインローターにも注がれ、これはチタニウム・スパーとノーメックス・ハニカム・コアにGFRP外皮を重ねた4枚ブレードで、後退角付きケブラー製翼端を持つ。また尾部ローターもクロス・ビーム型の複合材製4枚ブレードである。

本機における概観上の大きな特徴は、引き込み足(車輪)を装備していることである。このため、地上でのハンドリングに優れているとか、最高速度や進出距離の向上に寄与している(海上保安庁装備ヘリ中最速・最長)といった点で、海上保安庁内でも評価されている。

SARタイプが装備するレスキューホイストは200フィートのケーブルを持ち、600ポンドの吊り上げ能力を持つ。また、スライドドアは125ktでも開くとされている。

本機は主にA、B、Cの3タイプでシリーズ化されており、それらにA+、A++、C+などの派生型がある。モデル間の大きな違いは搭載エンジンである。各タイプと初飛行日、搭載エンジンをまとめると以下のとおりである。

タイプ初飛行日搭載エンジン
A1977.05.13Allison 250-C34
B1984.06.22Pratt & Whitney of Canada PT6B-36A
C1990.05.08Turbomeca Arriel 1S1
C+1994.**.**Turbomeca Arriel 2S1

主なカタログスペックは以下のとおり。(数値はC+のもの)







胴体長13.22 m





エンジンC  :Turbomeca Arriel 1S1 × 2基
C+:Turbomeca Arriel 2S1 × 2基
胴体幅  2.13 m
胴体高  3.58 m離陸出力856 shp
全長16.00 m巡航出力794 shp
全高  4.42 m30秒出力980 shp (OEI)
全幅  3.05 m搭載燃料1064 L
ローター径13.41 m





乗員2名 (IFR)






最大速度155 kt (287 km/hr)乗客12名 (IFR)
巡航速度155 kt (287 kt/hr)キャビン長2.46 m
進出距離
(139kt,4000ft)
最大        :813 km
到達後30分確保:680 km
キャビン幅1.93 m
最大離陸重量5,306 kgキャビン高1.35 m
自重3,128 kg面積4.18 m2
ペイロード2,178 kg容積5.78 m3

S-76シリーズは、2004年3月時点の公表で、44カ国192オペレータによって530機以上が運航されているとしている。

また、現時点でC++とD型が計画されている。C++はギアボックスその他を換装し、エンジンをArriel 2S2に換装したモデルである。このArriel 2S2は2S1に比べて出力が6%ほど増加している。

D型は以前から開発がアナウンスされていたモデルで、機体形状を大幅に変更し、エンジンをPratt & WhitneyのPW210C(1000 shp)に換装することになっている。このD型には、シコルスキーが総力を挙げて取り組み結果キャンセルとなった米陸軍向け多用途ヘリRAH-66の技術が注ぎ込まれてるとされ、機体形状も全体的に卵形のような流線型の物となっている。


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