英雄−HERO−

監督:チャン=イーモウ(張藝謀)/脚本:リー=フェン(李馮)、チャン=イーモウ(張藝謀)、ワン=ビン(王斌)
主演:ジェット=リー(李連杰)、トニー=レオン(梁朝偉)、マギー=チャン(張曼玉)

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あらすじ

 時は紀元前200年頃、春秋戦国時代末期。
 中国は七つの国に分かれ、互いに覇を競っていた。
 その中で最大の強国、秦。そこを治める秦王(チェン=ダオミン:張道明)は、数多の刺客に悩まされつづけていた。
 地方役人の無名〔ウーミン〕(ジェット=リー:李連杰)が、秦王に拝謁を賜ることになった。
 最強の誉れ高き3人の刺客、残剣〔ツァンジェン〕(トニー=レオン:梁朝偉)、飛雪〔フェイシエ〕(マギー=チャン:張曼玉)、長空〔チャンコン〕(ドニー=イェン:甄子丹)を討ち取ったと言うのだ。
 刺客を恐れる秦王は、100歩より内側の距離に何人も立ち入らせないが、無名は功により、数々の金銀財宝や封土とともに、10歩の距離まで近づくことを許される。
 証拠の品である刺客たちの武器を検分した秦王は、無名に問う。天下に聞こえた槍の達人たる長空、たった2人で宮廷に攻め込み、3000の兵を蹴散らした残剣、飛雪を如何なる方法で倒したのか、と。
 無名は、長空は10年にわたり培った実力を以って、恋人同士である残剣、飛雪は仲違いさせる計略を以って討ち果たした、と語る。
 しかし、秦王は無名の言葉に嘘を見た。3年前に相まみえた残剣からは、器の大きさを感じ取っていたのだ。
 残剣は、嫉妬で身を誤るような、器の小さな男ではない。お主も、田舎の小役人などではあるまい。
 秦王は、自らの考える『真相』を語る。それを聞きながら、無名はただ静かに座っている。秦王から10歩の距離で。



 さて困った。
 上にもっともらしく書いてあるんだけど、正直、あらすじなんかどうでも良い映画だ。
 あなたが武侠小説好きであるならば、想像していたアクションシーンがこんな風に表現されている!という映像を目的に見に行くのも良いかもしれない。
 実際、全編にこれでもか、と言わんばかりにちりばめられている決闘を中心とした剣戟シーンは、数少ない例外(無名vs残剣湖上の戦い。悪いけど、すごく間抜けに見えた)を除いて、ひたすら美しく、格好良く描かれている。
 特に、序盤の無名vs長空、飛雪vs如月〔ルーユエ〕(チャン=ツィイー:章子怡)は、作品中でも一二を争うシーンだろう。
 ただまぁ、それを見るためだけに1800円払うのは………どうだろうねぇ。
 なんというか、撮りたい映像の為に、全体の構成を破綻させちゃってる感じ。
 映像の美しさ、話のわかりづらさ――正確に言うと、わかりづらいのは主要登場人物(無名と秦王)が何考えてるのか、って事なんだけど――は、噂に聞くウォン=カーウァイ(王家衛)監督の『楽園の瑕−東邪西毒』を彷彿とさせる………って、未見なんだけどね。
 個人的に気になっちゃったのは、時代考証。
 春秋戦国時代末期は、軍隊は戦車中心の部隊編成だったのではなかろうか、とか、如月が曲刀の二刀流なんだけど、この時代まだそんなものないんじゃない? とか。
 まぁ、日本人が作る時代劇にだって、いいかげんな時代考証のものはあるわけで、そういう映画じゃないから良しとしときましょうか。
 無名との会話の中で、文字統一を思いつくとか、変にリアルなところはあるんだけどね。
 他にも突込みどころは満載(ラスト近く、誰も100歩以内に近づけないはずなのに、文官どもが秦王に掴みかからんばかりに接近してみたり)で、とにかく困った映画。
 登場人物はそれぞれ、映像の上では非常に魅力的に仕上げられている(残剣の格好良さ、飛雪の妖艶さ、如月の清純さ。長空は影薄いし、ジェット=リーは相変わらず泥臭さが抜けないわけだが)だけに、もうちょっとわかりやすい娯楽を目指しても良かったんじゃないか、と思うところ。
 まぁ、わざわざ1800円払って見るもんじゃない。レンタルでじゅーぶん、だねぇ。



 あ、あともう一個。決闘シーンで全編にわたってしつこく出てくる金属音。人によってはかなり不快なんじゃないかなぁ。
 まぁ、アレは武侠小説ではおなじみの、『剣に気が満ちて刃鳴りを起こす』の表現なんだろうけど。

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