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リベリオン
(原題:EQUILIBRIUM/2002年/製作:ヤン=デ=ボン/監督、脚本:カート=ウィマー/主演:クリスチャン=ベール)
あらすじ
世界に壊滅的な被害を与えた第三次世界大戦の後、人類は独裁者『ファーザー』(ショーン=パートウィー)の元、リブリアという国家を形成。『プロジウム』という薬品を使って、争いの元となるありとあらゆる感情を抑制し、平和で清潔な世界を構築していた。
感情を持つことは許されず、それを呼び覚ます文学、芸術作品も徹底的に排除される世界。
それらの作品の所持や、ペットの飼育など、感情に関わる行為は全て、『感情犯罪』として取り締まられる。
主人公、ジョン=プレストン(クリスチャン=ベール)は『感情犯罪』を取り締まる国家の捜査官、『クラリック』(Creric、聖職者)。
4年前に妻が『感情犯罪者』として処刑されて以来、息子、娘との3人暮らしである。
彼は直感的に感情の発露を察知する能力をもち、『クラリック』にのみ習得を許された拳銃体術、ガン=カタ(GUN=KATA)の最強の使い手として、第一級の評価を受けるエリートだった。
感情犯罪者のアジトから持ち出したイェーツの詩集を読んだことで、感情に目覚めたパートナーのパートリッジ(ショーン=ビーン)を、感情犯罪者として処理するプレストン。
上昇志向が強く、同じく直感的に感情を察知する能力を持つ新しいパートナー、ブラント(テイ=ディッグス)や、『プロジウム』の使用を拒否する女性感情犯罪者、メアリー=オブライエン(エミリー=ワトソン)との出会い、『プロジウム』を使用し忘れてしまった偶然、感情犯罪者のアジトで発見したレコード……。
こうした出来事を通して、プレストンの中に失われたはずの感情が甦り始める。
止まることなく、ボレロのように終始クレッシェンドで進んでいく感情の目覚め。それをひた隠しにしようとするプレストンの苦悩。将来は父のようなクラリックになりたいという息子にすら感情を気付かれてはならず、自宅すら心休まる場所ではない。そして、使用していないプロジウムを誰にも気付かれないように隠す。
やがて、レジスタンスのリーダー、ユルゲン(ウイリアム=フィッチナー)との接触を経て、プレストンは『ファーザー』体制の打倒を誓う。
感情を押し隠しながら、最強のガン=カタ使いとして。
公開が終わってから感想上げるのもどうか、と思わないでもない。が、まぁ一つお付き合いの程。
まず素直に、面白かった。
ネタバレを避けようとすると、肝の部分が全然語れなかったりするのだが、TVのスポットCM等では、ガン=カタに重点を置かれていて、アクション映画としての側面が大きく取り上げられていた。
だが、この映画の肝は、ジョン=プレストンの感情への目覚めと成長の物語である。
上のあらすじでは今ひとつきちんと表現できなかったが、プレストンの目覚めは、実に丁寧に、美しく、描かれている。
『戸惑い』から始まった感情が、徐々に高まっていき、それがあるきっかけで一気に目覚めを迎える。
そのきっかけのシーンについてはネタバレになるので、具体的に書くことはしないが、実に象徴的に、美しく表現されていて、この映画でも屈指の名シーンと言える。
また、プレストンを演じるクリスチャン=ベールが非常にいい。序盤の表情の無い、ひたすら冷酷なクラリックから、戸惑い、目覚め、感情を持って見る世界の新鮮さ、メアリーとの触れ合い、そして世界を変えるという使命を帯びた戦士としての目覚め。
特に4年前の妻の処刑を思い出し反芻する辺りや、『ある悲劇』を通して初めて感情を爆発させるシーンなど、かなり難しい役どころだと思うのだが見事に演じきっている。
また、ヒロインメアリーは、『感情犯罪者』として収監されているため、プレストンと会うのは取調室となるわけで、当然ベッドシーンなど無い、というかありえない。だが、それを逆手にとって二人の感情の高ぶりを手元の演技のみで、表現しているのは秀逸だ。
脇を固める面々も、ユルゲンの影がえらく薄いが、悪役である副総裁デュポン(アンガス=マクファーデン)、野心家の新パートナー、ブラントはしっかりと『いやらしさ』が出ていて、非常に良い。
さて、売りになっていたアクション、ガン=カタだが、序盤のアジト突入から随所で発揮され、プレストンの超人性が遺憾なく発揮されている。
ただし。スピードの速さで展開がわかりにくいのは、アクションとして許容するとしても、多人数相手のアクションシーンで、見切れが多く感じたのがいささか残念だった。
この手の映画は、適度にB級テイストなのが非常に良い訳で、下手に売れて続編とか作られちゃうと困ったことになってしまうことが多いわけだが、出来ればまた、もっとスケールアップしたガン=カタを、そして愛や家族のために戦うジョン=プレストンの姿を見てみたい、と思う。
まぁ、From dusk till dawnの続編シナリオ通りだったりしたら、すごく燃えるよな〜。
いずれDVDやビデオになると思うが、この駄文でちょっとでも興味をもったなら、レンタルでもいいから是非見て欲しい1本。