2002年3月の読書日記

01日    梨木香歩「春になったら苺を摘みに」
01〜06日 萩原規子「白鳥異伝」
06〜07日 萩原規子「薄紅天女」
08〜27日 池波正太郎「真田太平記(全12巻)」
28日    遠藤周作「満潮の時刻」
29日〜   宮本輝「彗星物語」


02/03/29 (金) 宮本輝「彗星物語(上)」角川文庫pp.1-227

何を読もうかと思ったけど、宮本輝にした。時期柄(←小説に没頭しすぎるのはやばい)読んだことのない本は避けたかったし。ということで、しばらく宮本輝を読み返してみようかと。

手始めに、「彗星物語」。これ、宮本輝にしては珍しく、彼独特の陰鬱さがほとんどない作品。ほとんど本を読まない我が妹が珍しく喜んで読み終えた本でもある。なんたって、主人公一家の飼い犬がかわいい。賢くて臆病なバカ犬。我が家の今は亡きバカ犬どもを思い出すわ〜。



02/03/28 (木) 遠藤周作「満潮の時刻」新潮文庫pp.1-295

今日は遠藤さんの「新刊」。まさか、この時期になって新刊コーナーに遠藤さんの小説が並んでいるのを見れるとは思わなかった。もちろん、最新作というわけではなくて、これまで未刊だった作品みたい。書かれた時期は、「沈黙」の頃とのこと。

作品自体は、そんなに完成度が高いわけではないし、名作というわけでもないと思う。遠藤さんは、この本を書きながら自分の考えをまとめていこうとしたんじゃないかな、という気がした。主題的には「沈黙」に近い、というよりも、「沈黙創作日記」みたいな感じ(れっきとした小説だけど)。

あ、遠藤さんらしい「もの悲しさ」が漂ってる作品でもある。なんだか遠藤さんの作品を読んでると、僕の頭の働きは活性化してくるみたいだ。論文を書く時期にはいいかもしんない。



02/03/27 (水) 池波正太郎「真田太平記 第十二巻」新潮文庫pp.1-523

ついに、「真田太平記 全12巻」読了。小さい時から何度も読んでるけど、やっぱり今度もおもしろかった。大長編小説の楽しみを堪能させてくれる作品。淡々とした語り口だけど、話にのめり込ます技術はすごいものがあると思う。やっぱ名作だね。これも。



02/03/26 (火) 池波正太郎「真田太平記 第十一巻」新潮文庫pp.83-518

大阪夏の陣も終わった。幸村始めこの物語の最初から登場してきたほとんどの人々も散っていった。惑わず自分の信念を通す潔い生き方は、やっぱかっこいいな、と思う(優柔不断な我が身を省みて)。

そして、話は最終巻へ。



02/03/25 (月) 池波正太郎「真田太平記 第十巻」新潮文庫pp.109-510
                 「真田太平記 第十一巻」新潮文庫pp.1-82


大阪冬の陣が呆気にとられるほど簡単に終わり、とりあえず束の間の休戦状態に。そして、いよいよ、クライマックスへ。今回は、向井佐平次や滝川三九郎みたいに、立身出世にはまったく興味をもたない人々に惹かれるなあ。



02/03/22 (金) 池波正太郎「真田太平記 第九巻」新潮文庫pp.1-498
                 「真田太平記 第十巻」新潮文庫pp.1-108


9巻読み終わって、10巻突入。いよいよ、大阪入城が近づいてきた。

やっぱ、この本、おもしろい。内容はほとんど覚えてるのに、未だになんかわくわくしてくる。それに、歴史のいろんな面を考えるのはけっこう楽しい。勝者の論理とか、敗者の論理とか、を具体的に考えれるし。何を目的とするかは、人によってさまざまだし。平和を求めるか者も、立身出世を望む者も、武士の心意気をよしとする者もいて、それぞれの生き様と自分を照らし合わせて楽しめる(何書いてるかわかんなくなってきた・・・)。



02/03/20 (水) 池波正太郎「真田太平記 第八巻」新潮文庫pp.1-575

8巻も読み終わった。関ヶ原戦後の束の間の平穏のなか、真田昌幸の死が近づいてきた。また一人役者が減るんだな・・・。

小さい頃戦国時代物を読んでいたときは、やっぱり戦がメインで、戦と戦の間は退屈だったけど、今だと戦と戦の間も楽しめるのが不思議。自分だったら、どうするかな、とか考えながら読むと、わりとおもしろい。



02/03/19 (火) 池波正太郎「真田太平記 第七巻」新潮文庫pp.351-467
                 「真田太平記 第八巻」新潮文庫pp.1-190


7巻を読み終わって、8巻の途中まで。関ヶ原の戦後処理も終わって、真田父子は紀州九度山へ。草の者のリーダー又五郎も戦死して、人が少なくなって寂しくなってきたなあ。



02/03/18 (月) 池波正太郎「真田太平記 第七巻」新潮文庫pp.1-350

今日は7巻の途中まで。関ヶ原が終わったとこ。歴史っていうのは、ちょっとしたことで変わる可能性があるんだよなあ、と改めて思う。偶然の積み重ねでできてるのが今。そう思うと、なんか感慨深い。・・・歴史は必然か?偶然か?、ってよく言われることだけど。



02/03/15 (金) 池波正太郎「真田太平記 第六巻」新潮文庫pp.1-498

第六巻、読了。関ヶ原前夜まで。にしても、石田三成の不甲斐ないことよ。情けない奴。・・・と、読むたび思うんだけど、冷静に考えてみると、この本の登場人物で一番僕に近いのは、こいつのような気がする・・・^^; 必死に決定的に違うところ探そうとしたけど、見つからなかった・・・



02/03/14 (木) 池波正太郎「真田太平記 第四巻」新潮文庫pp.391-540
                 「真田太平記 第五巻」新潮文庫pp.1-486


四巻&五巻読了。秀吉が亡くなって、世の中不穏に。だけど、この長い物語はようやく中盤にさしかかったところ。



02/03/13 (水) 池波正太郎「真田太平記 第四巻」新潮文庫pp.1-390

今日は、第四巻の途中まで。少し天下の情勢が落ち着いたかと思いきゃ、裏側では、真田の草の者(豊臣側)vs甲賀忍び(徳川側)の争い開始で、忍び同士の戦い激化。かなりはらはらどきどきの描写が続く。



02/03/12 (火) 池波正太郎「真田太平記 第三巻」新潮文庫pp.1-539

第三巻読了。緊迫した第1次上田合戦も、はらはら→拍手喝采のうちに終わり、秀吉の小田原攻めも終わって、平穏な時代に・・・。と思ったら、次巻は朝鮮出兵なのね・・・。



02/03/11 (月) 池波正太郎「真田太平記 第二巻」新潮文庫pp.1-484

第二巻も読了。一日で読み終わっちゃった。もう何度も読んでる本だし、会話が多いから、テンポよく読めるから、読み進むのが早いわ。

そして、最大の見せ場の一つ、第1次上田合戦へ(第三巻)。
↑関ヶ原の時の第2次上田合戦の方が有名だけど、痛快さにかけては第1次の方が上。なんせ、真田親子3人勢揃いで、徳川軍撃破なんだから(第2次は信幸が徳川についた)。



02/03/10 (日) 池波正太郎「真田太平記 第一巻」新潮文庫pp.409-474

第一巻、読了。本能寺の変、まで。さあ、これからだ(真田家の場合)。


02/03/09 (土) 池波正太郎「真田太平記 第一巻」新潮文庫pp.275-408

今日は少しだけ。特になし。(←うわ、手抜きだ・・・・・・)



02/03/08 (金) 池波正太郎「真田太平記 第一巻」新潮文庫pp.1-274

さて、何を読もうかと本棚を物色してみたけど、いまいち、読むのに頭を使う本を読む気にはなれない。これは明らかに、「勾玉三部作」ショックだ^^;。

そこで、手に取ったのが、「真田太平記」。ショック療法ということで。どういうことかというと、この本も、のめり込み度にかけては、勾玉三部作にはひけをとらないから。僕は中学生の時から、繰り返し読んでる本。たぶん、でくさん他にとっての勾玉三部作の役割を果たしたのが、僕にとってはこの本。長さは勝ってるし(なんせ全12巻)。

で、久しぶりに手にとってみても、やっぱおもしろい。忍び同士の駆け引きシーンなんて、目が離せないわよ。基本的に争いごとは嫌いな僕だけど、真田軍の関ヶ原での徳川軍足止め、とか、大阪夏の陣での奮闘ぶりを見ると、やっぱ血が騒ぐのよね(笑)。

それに、この作品のうまいところは、どうしても合戦と合戦の間が間延びした感じになりがちな戦国歴史小説にあって、合戦と合戦の間は、忍び同士の戦いで目を釘付けにするところ。このあたりは、冒険小説のはらはらぶりに通じるところがある。勾玉三部作も冒険小説と言えないこともないし、なんとなく勾玉三部作と似たところあるかも。女の子にオススメするのは、ちょっと抵抗あるけど、男の子たちにはオススメ。

そういや、この作品は、20年近く前のNHKの大河ドラマの原作にもなったけど、この大河ドラマもまたおもしろかったんだわ。なんたって、キャストがはまりすぎ。真田昌幸=丹波哲朗、真田幸村=草刈正雄、は原作のイメージにあまりにぴったりでびっくりしたわ。

しばらく、このサイトの常連の人たちとは趣の違う読書日記が続きますが、ご勘弁を。・・・実は、戦国時代と三国史マニアのむらさきでした。



02/03/07 (木) 萩原規子「薄紅天女」徳間書店pp.103-484

読み終わっちゃったよ。またしても目が離せず、といった感じで。すぐに入り込んじゃうし、入り込むと抜け出せない。まいったね、こりゃ。

ということで、とりあえず、勾玉三部作は一気に読み終わってしまったい。さて、明日からは何を読もうかな。そろそろ、電車の中で専門書も読むようにしたいから、あまり入り込まない本を選ぶことにしよう(笑)



02/03/06 (水) 荻原規子「白鳥異伝」徳間書店pp.421-598
                「薄紅天女」徳間書店pp.1-102


「白鳥異伝」読了。

この作品も期待通りの方向に話を持っていってくれるから、わくわくする。「こうなればおもしろいのに」と思った通りに話が展開するから、楽しめる。いわゆる「大人の本」だと、期待通りの方向に話が進むことはめったにない。それはそれで、現実的な厳しさを考える上では必要なこと。でも、こういうわくわくする物語もいいよね。子どもだけに楽しませるのはもったいない。



02/03/05 (火) 萩原規子「白鳥異伝」徳間書店pp.207-420

うーーむ、まいったな・・・。おもしろい。というかおもしろすぎる。今、本を閉じようとしても、目を離せなくて困った。まいったな、こりゃ。いっそ一気に読み終えたかったけど、「薄紅天女」は研究室においてあるので、今夜読み終わってしまうと、明日電車の中で読むものがなくなっちゃうんだよな。



02/03/04 (月) 萩原規子「白鳥異伝」徳間書店pp.32-206

うーむ、思わず読みふけってしまった。こんなに先が気になる本も、それほどないことでしょう。この本、分厚いからまだ半分も終わってない。まだそれだけ楽しめるということで、うれし。うっし。



02/03/01 (金) 梨木香歩「春になったら苺を摘みに」新潮社pp.1-189
           萩原規子「白鳥異伝」徳間書店pp.1-31


はい、皆さん、お待ちかねの梨木香歩さんの新刊ですよ〜。もう出てますよ〜。

って、僕も昨夜、「梨木さんの新刊読んだ?」っていう渉くんからのメールで初めて知ったんだけど。「あ、もう出たのか」と、今日、本屋を覗いたら、あるある。で、即座にゲット。

内容に興味のある人も多いでしょうから簡単に。これはエッセイです。
帯(裏側)の文面を書き出しておきましょう。

著者が学生時代を過ごした英国の下宿。かつてそこには、児童文学者ベティ・モーガン・ボーエンこと女主人ウェスト夫人とさまざまな人種や考え方の住人たちとの、騒動だらけでとびきり素敵な日々があった……。夫人の「理解はできないが受け容れる」徹底した博愛精神と時代に左右されない手仕事や暮らしぶりは、生きる上で大事なことを、そっと心に落としてくれる。

はい、僕はこの本をほぼ読み終わりかけた時に、この帯読んでびっくりして腰抜けそうになりました。だってさ、ウェスト夫人が、ベティ・モーガン・ボーエンなんて、本文中にはどこにも書いてなかったんだもん(僕が見落としただけ?)。それに、文中では、ウェスト夫人って、人のいい(人間のできた)下宿屋のおかみさん以外の何ものでもない感じだったのに・・・。

梨木さんの略歴には必ず「英国に留学、児童文学者のベティ・モーガン・ボーエン師事」って書かれてるじゃない? だから、イギリス住まいについてのエッセイなら、どんなふうに師事したのか、書かれてるはずだって楽しみにしてたのよ。だけど、読んでると、そういうことにはいっさいふれられてないから、ちょびっと残念だったのよ。なのに・・・・・・・!

僕は、「師事」っていう言葉の響きからして、そうとう厳しい文学修行を受けたんだと思ってた。師匠&弟子みたいな感じの。でも、そうじゃなかったんだなあ。本の書き方だけを師事したんじゃなくて、生き方そのものの師事だったんだ・・・。目から鱗だ。

で、内容なんですけど、比較的「堅い」感じのエッセイです。文体もそれなりに硬いです。「である」調も使っているぐらいに。梨木さんってやっぱりまじめな人なんだな、と僕的には好感。でも、海外滞在の多い(アクティブな?)人だったのはちょっと意外。

梨木さんのこれまでの作品で訴えられてたことについて、ストレートな言葉で表現してる箇所もあって、「あ、僕の知ってる、梨木さんだ」と何度か思ったりもしました。梨木さんマニアにはオススメします。梨木さんの作品をこれまで読んだことのない人は、この本よりも先にそっちを読んでください。

てな、感じ。作中で、梨木さんに対する呼びかけは「K・・・」ってなってるんだけど、これはどうして? 「Kaho」じゃなくて、本名なんでしょうね。いや、よくしらんけど。



  
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