ブラン・ヴァン・ヴェルデ展
出会い:ベケット/ジュリエ/ヴァン・ヴェルデ

ジュネーブ美術歴史博物館版画室所蔵の版画55点に加え、
ベケットとヴァン・ヴェルデの間で交わされた手紙や写真を展示。
また2人と親交を結んだ詩人ジュリエの講演会やドキュメンタリーフィルムを上映し、
ヴァン・ヴェルデをめぐる人々との「出会い」に焦点をあてた展覧会。

このページの「ブラン・ヴァン・ヴェルデ展」は1996〜97年に開催されたもの。
現在は「ベケット・ライブ」公演のたびに、会場ロビーでリトグラフ展を同時開催している。

 


     
カタログより

東京 : 草月美術館/ 1996年 12月
福岡:福岡赤煉瓦文化館 / 1997年 2月
京都:関西日仏学館 / 1997年 3月

                     
  ▼展評                  
           
 
1997年2月
朝日新聞
1996年12月
読売新聞
1996年12月
東京新聞
 
                   

 



ベケット と ヴァン・ヴェルデ

  サミュエル・ベケット
Samuel Beckett
(1906−1989 アイルランド生まれ)
 
ブラン・ヴァン・ヴェルデ
Bram van Velde
(1895−1981 オランダ生まれ)
 
顔写真を見る
 
顔写真を見る
詩人・小説家・劇作家。1937年よりパリに定住。45−51年、代表作とされる小説3部作『モロイ』『マロウンは死ぬ』『名づけえぬもの』を執筆。広く世に認められるのは45年執筆され、53年パリで初演された『ゴドーを待ちながら』の成功による。以後、小説、戯曲、ラジオドラマ、短編を発表。晩年の散文に『伴侶』『見ちがい言いちがい』『いざ最悪の方へ』など。69年ノーベル文学賞受賞。   画家。1924年パリに移住。抽象表現主義の作家として知られるが「わたしの描くものは絵画とは関係のないものだ」とし、絵画のいかなる流派にも属さずその独自性を貫く。現在では20世紀後半の巨匠の一人として注目され、89年のパリ、ポンピドゥーセンターでの回顧展、96年のジュネーヴ、ラト美術館での生誕100年展で、その評価を決定的なものとしている。

 
ベケット と ヴァン・ヴェルデ

二人の出会いは1937年、ヴァン・ヴェルデ42歳、ベケット31歳のときであった。
その2年後、ベケットがヴァン・ヴェルデのアトリエを訪ね交友が始まる。46年、ヴァン・ヴェルデの初の個展がパリで開催され、ベケットは美術誌「カイエ・ダール」にヴァン・ヴェルデの絵画論を発表。この論は後に『世界とズボン』として刊行されるが、そこからはベケットのヴァン・ヴェルデへの深い理解と同時に、彼自身の文学観がこの画家の芸術観に極めて近い事が見て取れる。
卓越した芸術家同士の友情は終生変わらず、長年ベケットの書斎に掛けられていたヴァン・ヴェルデの油絵は、現在パリのポンピドゥーセンターに<ベケットの絵>として所蔵。また2人でコラボレートした挿絵本に『Texte pour rien 13 (反古草紙-13)』がある