#24 Hokkaido 2052.6マイルの軌跡
やはりの道北
「もうそろそろいきますわ〜!」 翌朝彼の関西弁で目が覚めた。 睡眠不足と疲労でオレは熟睡状態だったのだろう。 寝ぼけ眼でもそもそと起きて彼を見送る。 「気をつけて〜!」 あっ、連絡先聞くの忘れた〜、あが〜! オレもあんまりのんびりもしてられないのですぐさま撤収。 9時前に出発。 今にも泣き出しそうな空を嘆くがお天道様には勝てない。 雨のオロロンラインを水飛沫を上げながら走る。 直線や丘陵、アップダウンの続く道は見事なのだが、この天気では写真を撮る気力も薄れる。 ハイペースで進むが対向の大型車の水飛沫がすごい。 そりゃそうだ、相対速度200km/h以上なんだから(笑 バシャっとシールド越しの視界を一瞬遮り、思わず、 「バカヤロぉ〜!!」 乾いた声が大地に響く前に掻き消された。 「ちっきしょーぉ・・」 今日は最悪天気が悪くてもいい場所なので、移動日とポジティブに考えて先へ進む。 宗谷丘陵も四国カルストの時を思い出させるように濃霧・・。 ここだけは晴れて欲しかったんだけど。 その丘を下ると眼下に宗谷岬の碑が見えた。 「来ったぞ〜ぉ〜!!」 ウチから1500km弱、東北道に落としてきたタイヤカスは決して無駄ではなかった。
この時期の宗谷岬はライダーまばら。 食堂に入り最北端ラーメン。 つぶ貝・カニ・ホタテ・エビなど魚介類ふんだんにのったラーメン。 インチキくさそうだがまさにその通り。 スーパーで売ってる3食入り生ラーメンにゆでた魚介が載ってるだけ。 値段が高すぎるし・・。観光地じゃなかったら3秒で潰れるな・・。 まあ魚介はそこそこうまかったからいいけど。 さあて前回同様ここからはひたすら東の縁を南下。 っとそのまえに出光安田石油で給油。 今回も最北端給油証明書と貝殻キーホルダーをもらった。
東海岸は荒天で波も荒立ち猛り狂い! ってそんなひどくはないけど鉛色が視界の中を多く占める。 ハイペースで疾走。 あんまりずーっと走ってるとつまらないので牧場に侵入して牧草ロールに乗ってみる。 遠くに乳牛達が草を食むのどかな景色・・。
カメラをセッティングしていると何やら背後に気配が! 「まっ、まさかスナイパー?」 とそんなわけはなかったが、さっきまで遙か遠くにいた牛たちがオレに寄ってきたのだった。 その数5,6頭。その眼光が鋭く気圧されそうだ。
闘牛であろうと乳牛であろうと赤には反応するらしい。 そうその時オレは赤いタイチのカッパを着ていたのだった。 本気で怖いので背中を向けずにじりじりと後ずさり。 そそくさと退散・・。マジ怖かった・・(大汗)。 一気にサロマ湖。(もちろんセイコーマート休憩と給油休憩はあり) 5年前すこぶる楽しくお世話になった「藤屋シーフロンティア」さんをあてにして とりあえずは砂州の先端三里浜へ。 だあれもいない・・・。人っ子一人いない、寂しすぎる・・。
引き返して記憶を頼りに藤屋シーフロンティアへ。 あったあった!!と喜んだのもつかの間、店舗閉まってる・・(泣)。 残念だが人の気配も全くないので諦めるしかなかった。 ちなみにこの日はどこも店を閉めていてホタテにはありつけなかった、最悪。 焼きホタテ大好物のオレとしては、鈍器で後頭部を殴られたような感じ。 漁期はまだの筈だしシケだからなのかな?汽水湖だから関係ないような気もするが・・。 それとも床屋みたいに決まった定休日(禁漁日)だったりするのかも?
とりあえず寝床がないので、今は廃線となり駅舎を無料宿泊所にしている芭露駅へ。 数ある北海道赤字路線のひとつ、湧網線の駅。
だーれもいないと思いきやビール缶や荷物がごろごろ転がってて、いかにも「ヌシ」がいる雰囲気・・(汗)。 おまけに長渕剛のスコアブックがちらりと見えてなおヤバめ(←ちなみにオレは長渕剛のファンですがこういう旅ではちょっと・・)。 諦めてキムアネップ岬キャンプ場を目指す。 真っ暗な道中に看板発見。 とそこへさっき抜いたスティードのにーちゃんが停まる。 「キャンプ場ってこっちですかね?」 「ん〜、たぶん・・」 とりあえず行ってみる。突き当たりにキャンプ場発見。 夜遅くに(たぶん19時位だったと思う)どかどかとうるさいバイク2台ですいません・・。 サイトはだだっ広く雑草的芝のサイトでどこにでも張ってくれといわんばかり。 ど真ん中に張る。
設営を済ませハラヘリなのであてもなくコンビニ探しへ。 真っ暗な中に個人経営のコンビニ風発見。 「魚肉ソーセージ、プロセスチーズ、ポテチ」というソロツーおなじみ3種に ビールとカップ麺を追加しキャンプ場へ戻る。 カップ麺だけをとりあえず食い休憩室へ。 ここのキャンプ場は24h明かりの灯る休憩室があってライダーにはうれしい限り。 しかも18時までならシャワー室も使うことができる。至れり尽くせりだ。 休憩室にはやはり先客がいる(笑)。さっきのスティード君ともう一人ライダーがいた。 3人とも携帯電話などを充電しつつ明日の予定を練る(感謝の言葉以下省略)。 スティード君は初北海道、2週間の予定で名古屋からフェリーに乗りまだ前半戦だという。 テントに戻り荷物の整理をしようと蛍光灯ランプをセッティングし明かりをつけると、 「うわっ!!」 水辺にあるキャンプ場であることをすっかり忘れ開放状態だったのだ。 そこへ蚊が入ってきていた。 更なる敵の侵攻を食い止めるべくすべてのファスナーを閉めタバコに火をつける。 今回蚊取り線香なんてものは持ってきてないので違う煙で対抗だ。 自分自身も目が痛くなるほどになると蚊の動きも弱ってくる。そこをすかさず仕留める。 ひとしきり格闘した後メッシュにして空気を入れ換える。 疲れたのでそのまま眠る。
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