目次に戻る  トップページに戻る  ←前の作品へ  次の作品へ→
  黄昏の大地母神


わたくしはまう、さういふものには飽き足りてしまつたのです。まう沢山、堪忍して頂戴。

嘘ダ/さうぢやない。おまへは自分をさういつて欺いてゐるだけだ。
光触媒とバイオインフォマティクスと有機ELと文化記号論。 書聖王義之の筆跡を喰らへ。
さうだ、喰らふがいゝ。 まつたく君にひつやうなことだ。 序でに、四書五経五行繁縷仏の座、総て呑み込んで仕舞ひたまへ。

修身斉家治国平天下、貴方に与へたら途ンでも無いものになつてしまひさうね。いゝわ、わたくしが呑み込んであげる。総てわたくしが呑み込んで差し上げませう。呑んで、滋養といたしませう。世界も、貴方も、わたくしの中に。総て平らげて、それでも平然と立つてゐることにいたしませう。たつぷりと時間をかけて滋養をはぐくんで、それから、吐き出して差し上げますわ。総てが渾然一体となつてまるく球になつた……。それはねんまくと溶け合つて、迄度、豊かな壌土となるのでせうね。

おまへはおそろしい女だ。

目次に戻る  トップページに戻る  ←前の作品へ  次の作品へ→