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Aq.もにゅがきちょ* | ||
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..aqueous "monyugaki" notebook.. |
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夏の車窓 |
彼方なる畑の隅に車が朽ちてゐる。此方なる草陰で虫の骸が風に揺れてゐる。ゐる。かわいてゐる。 雨に泣く窓、曇り顔を映す空。遠く青空が透けているのに。 ツンと上を向いてすました乳房Aと太陽系第三惑星の中心に惹かれて素直なふにゃらけた乳房Bは繋がっている。 A-B間の座標上の任意の点a・bを用いて線A-Bの式を求めよ。(12点) 渇望する人、人、人──みな大地に依つてゐる──かれら生身の体そのものが潤いを裡に籠めているのだ、もろともにかわいてはならぬ。 喉の渇きをコントロールせよ。あらゆる渇きをコントロールせよ。やがてすべての司とならむ。 統合/分解 インテグレート/ディスインテグレート 繰り返し、形を変えて、……結局、たいして変わらぬこの世界。おっきく見ると、不変普遍不偏! だったら、塔の上で観測者になる。→つまらん! おいらも混ぜてよ、統合/分解! ぐっちゃぐちゃー! そうして世界をこさえるんだ! 満天の星の気配に目ざめれば川の音近しぬばたまのくろ、かみのごとく勁くながるる |
女神の疵 |
明星の傍で燃え尽きる月。燠火。今日の傷に滲む血。 ヴィナスの足下ダイアナの疵痕は弥彦さまの頭上に鎮む |
味噌汁 |
鼻から味噌汁がつるつると紡ぎ出される味噌汁で鼻がツンツンする鼻からつるつると紡ぎ出される味噌汁をつるつるっと巻き取って君の頭に「はい」と載せると、君はとても怒る。 |
偏頭痛 |
うおぉ頭がもげそうだ! とか云っていたら本当にもげたので君にあげよう。 君の部屋で、屹度、僕は君に愛の約束を囁くだろう。 頭の無い僕に出逢ったら、君は、どうか僕を導いておくれ。 |
よくある写真集 |
おじいちゃんちのおふろのきおく恋コロン髪にもコロンヘアコロンの壜 愛と愛の透き間を満たす液体に愛を繋ぐシナプスを辿り、 人間の不幸は己がうまれたときの情景を覚えていない原罪。 草間弥生は水玉に埋もれて死んでゆくのだろう。美しい棺桶だ、私も是非。 水玉にまみれた草間が仕合せならば己が手の汗にも幸せはあるか。 青年は会田誠で自慰できぬ少女は絵に描いた純粋少女。 芸術家の自慰は波間漂い腐敗した精液からヴィーナスの如誕生。 猫は有袋類ではありませんドラえもんのポケットは取り外し可能。 いきをしたいまのみこんだひとくちのくうきにふくまれるせいぶんをこたえよ。(3点) 恍惚と彼女のしっぽをなでさする彼女はとろけ琥珀に溶ける。 |
宇宙スペクトラム |
団塊の世代て都市伝説でしょ。渋谷駅前の交差点はリアルに人間多いけど。 「IT革命はインターネット革命の略」だと時の首相が言ったから、IT革命はインターネット革命の略。 ウルトラマンは宇宙人らしくなってきた。仮面ライダーはバッタじゃなくなってきた。 一国の首相が「未曾有」を「みぞうゆう」と読んだなら、「未曾有」の読みは「みぞうゆう」です。文句言うな。 このあいだ田中は田中でいいけれど俺は俺じゃだめだと思った。 嘔吐して吐いても吐いても吐ききれぬ己の胃袋の深淵に立つ。 「そういうのいいかげんうざいよもういいから私のことはほっといて」嘘。 みずからの終焉の地をさだめ猶、より遠くまで至らむと欲す。 惑星に吸着されてる人と街と草木と風と月と渚とetc... 日蝕って太陽と月が重なるんでしょ、いつもより明るくなるの? と問う子ぞ存らまほしかる。 |
クラムボン |
クラムボンが笑っているうちに、 僕らは地球を廻しに廻す。 はねて/4800rpm かぷかぷ/7200rpm ぶんぶんぶんぶん地球を廻して、 理想郷まであと何マイル? |
ETC |
カードが挿入されていません。 と女の声がしきりに訴へるので、 代わりにおちんちんを挿入してやつたら、 まんまと喰はれた。 ぼくのおちんちんは、 それきり、かへつてこなかつた。 |
詩論 |
己が生まれ出でたちゃんと呼吸が出来るこの素晴らしい世界を総ての感覚で知覚し捉えようと、あらゆる細胞が盛んに活動している。 curiousな眼差しとぶんぶん振り回す両手と力勁く布団を蹴飛ばす足と見事な90度逆毛トサカと表情豊かな口許。 甘えんぼでさみしがりな娘が可愛い。 詩の窮極を目指すならば白紙に至る。 自明。 中途半端な位置に漂つてゐるから、 形なく捉へられない此の世のかけらを、 言葉で鎧つて捉えとゞめやうとするのだ。 言葉を弄するほど愚かしい。 言葉でいゝのか。その程度のものなのか。さうぢやないだらう。何処迄も足らないだらう。そんな筈がないと知つてゐるだらう。 中途半端な位置に漂つてゐるから、一寸佳く出来たものに飛びついて縋つてしまふのだ。さういふ作品で安心できて仕舞ふのだ。 その完成度は、中途半端な位置に漂つてゐる人間といふものゝなすものであつて。 中途半端でない、白紙。 なにもないという脆さ以上に、絶対的超越的な位置に在って、ただただ強い。 人に何ができようか。 それ以上ができようか。 Like a teenager discovery What's more delightful than this? (ANGRA『Z.I.T.O.』) 思春期に行われる世界認識の再構築。 否、生まれたばかりの嬰児の脳のなかで常に繰り広げられている、 この世とはいかなるものなのかを捉え認識しようとするいとなみ。 それ以上に煌々耀々と強烈な光を発し続けるものがあろうか。 それ以前。胎内での知覚。 それ以前。…… 無の境地とは、一体、何処にあるのか。 どんなに愚考と言葉を弄しても、嬰児の脳細胞の内で那由他の星空のように煌くあまたの詩篇には遠く及ぶまい。 眠る嬰児のみる夢を、取り戻すことはできまい。 世界というものを初めて己が眼で見る感動、生じた莫大な規模の情報処理を夢に託し夢に変換したさまざまの夢。 中途半端な位置に漂うことしかできなくなった大人がどんなにどんなに努力をしても、そこに戻り至ることはできまい。 一体、何ができようか。 そのものを語るならば、白紙。 そのものを描くならば、視るならば、捉え発せむとするならば。 ほかに、何ができようか。 安易な表現をして糞溜めにのたうちまわるのか。 それが詩人だ。あゝさういえばさうだつた。 さういう絵だつた。 まつしろな白紙のまんなかで小さくうごめく孵化直後の幼虫のやうに、詩人。 嬰児のやうだが、断じて違う、といふ苦しみと怒りとともに、吐息といふガスをこの大気にほんの僅かに混ぜて。息絶え絶えに息づいて僅かずつ熱く呼吸をして生きる。 それが詩人か。 白紙になれないぢやないか! |
生きた証 |
この1週間、僕が生きた証。 おしっこの重さと、うんちの重さと、 呼吸量と、汗と、涙と、はみ出た涎と、鼻水と、 目やに鼻くそ耳かす垢、伸びた爪と髪の毛抜け毛 エネルギー代謝量と、あと何だ。 あと何だ。 何かいろいろしたはずだ。 仕事、遊び、その成果、関わった人たち、その人に繋がる人たち、その人たちの上記もろもろ、出した生ごみ、資源ごみ、電気水道ガスガソリン化石燃料工業製品、踏んだ土、削ったアスファルト、身体を出入りした化学物質やら電磁波やら、その他大気中のいろんなもの…… 地球規模? 宇宙規模? の存在? いや、まぁ、日曜をまたいでたまったごみを捨てれば それで済んじゃうんだけどね。 それで、また新しい1週間を生きる。 |
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